バリタチ人狼ゲーム

泥人形

文字の大きさ
132 / 181
三日目

三日目:昼⑨

しおりを挟む
「とりま、武器が欲しいっす」
 そう宇佐霧が言ったので、僕たちは倉庫にやって来た。何でもあるこの倉庫、ホームセンターにあるような工具から日曜大工品、僕らの身長くらいの長さの角材なんかもあった。

「あ、ペンキなんかもあるんすね」
「うん。猫多の腸と一緒に廊下にばらまかれていた赤色は、たぶんこれだろう」

 よく見ると、赤いペンキの缶がひと缶なくなっていた。




「あ、トンカチ。俺これにしようっかな」
 宇佐霧がそれを手に取ると、手首をくるくると回したり振ったりして、使い心地を確かめていた。

「これ結構いい感じっすよ。適度に重いけど重すぎず、これで殴ったら、殺さない程度にバリタチを無力化できそうっす」
「宇佐霧くんは武器、それにするんだ」
「ん、まあ。とりあえず暫定一位っすね。黒崎さんもどうっすか、トンカチ」

 手軽でなかなかいい武器だとは思うけど、

「んー、僕はもっと軽い奴がいいかな」
「そっすか? 女の子みたいなこと言ってるっすね」
「あはは、違うよ。僕は今夜、生贄の間に拘束されるかもしれないから、口に咥えられるくらいの大きさと重さの凶器がいいなって」

「あーね。備えあればうれしいなって感じっすね」
 でも、と宇佐霧の表情が曇る。

「自分が生贄の椅子に拘束されるかもしれないって、黒崎さんは怖くないんすか?」
「怖くない……わけがない。でも、まだ確実に殺されると決まったわけじゃないし、たとえ殺されてしまうとしても、一矢報いたい。最後まであがきたいんだ」

 だって、僕はものすごく、あきらめの悪い男なんだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...