バリタチ人狼ゲーム

佐藤 鈴木

零日目：佐藤 鈴木⑦

　ふたたびツイッターを開くと、


　桃尻キャッツ＠安天門　『佐藤　鈴木って何？　通名？』

　旭日旗より愛をこめて　『やっぱ在日┐(´д｀)┌』




「違うある！　ワサシはれっきとした日本人ある！　群馬県生まれあるヨ！！」

　思わずスマホをぶん投げてしまいそうになった。危ない危ない。これはワサシが持っている私物の中で、ダントツで一番高いものだ。ヒビでも入ってしまったら大変だ。

　二万五千円もするのだから、大事に大事にしないとある……。ワサシがスマホをひと撫でしてからちゃぶ台に置いたとき、チャイムが鳴った。




「はいはーい。今出るあるよ～」
　母が仕送りを送ってくれたのかな？　彼女はよく、米やレトルトカレー、ふりかけなどを送ってきてくれるのだ。嬉しい反面、少し申し訳なさもある。


　そう思ってドアを開けると、

「死ねシナチョン！」
　外にいた男に腹を刺された。

「は……？」
　じわりと、服に赤いシミが広がっていく。外に着ていく服じゃなくてよかった、なんて少し安堵してしまった自分に悲しくなる。


「いぇーい！　チンポ騎士バーカ死ね！」
「ざーいにち！　ざーいにち！　ざーいにち！」

　ワサシを刺した男の他にも二人の男がうしろにいて、下品な言葉を叫んでいた。三人とも、中年男性だ。


「君たち！　なんてことをするんだ！　警察呼ぶあるよ！！」
　幸い、カッターナイフで刺されたから傷は浅い。しかし、痛みで力が緩んでしまい、その隙に三人の男が中に押し入ろうとしてきた。

「ダメある！！　やめなさい！！」
　必死に中に入られまいと、押し返す。もみくちゃになって、気づいたときには男のうちの一人が階段から転がり落ちて頭から血を流して倒れていた。