25 / 101
24話 日常は戻らない
しおりを挟む
8月17日???? ???
7月だっただろうか
初夏の日差しが
強い中
私達の小隊は
休みの日に
河原でバーベキューを
していた。
結婚している者は
家族も連れてきており
陸士は私の子供と
遊んでくれていた
体育会系は皆
面倒見がいい。
私はそれを微笑ましく
見ていた。
肉と野菜の焼けた
食欲を誘う匂いが
していた。
私は肉を焼きながら
妻の方を見る。
何の気なしに
妻は微笑み、
「なに?」
と問い返した。
「いや、なにも」
と私は下を向きながら
微笑んでいた。
平和で平穏で
微笑ましい日常
私は多分その時
幸せを噛み締めて
いたのだと思う。
突然何もかもが
黒く染まってなくなって
いく。
さっきまで笑いながら
過去の自慢話をし
肉を頬張っていた
筑摩曹長も
子供と遊んで
くれていた陸士も
ああ、そうだった
彼らはもう
死んだのだった…
こんな日常は……
もう戻ってこないのだ。
何もかもが黒に
沈んでいく世界で
私は意識が上に昇っていくのを
感じていた。
8月17日 1330 施設周辺
「……聞こえますか!!」
「しっかりして下さい!!
長門3曹!!!」
紀伊3尉が
ボロボロの格好で
私に呼び掛けていた。
どうやら私は
木の側に寝かされている
ようだった。
腕に圧迫止血の
跡があった。
爆発が起こった後の
記憶がない。
今も仄かに
煙の臭いがしていた。
「…あの後
どうなりましたか?」
紀伊3尉は少し
考えた後に答えた。
「爆発の後
地下室が崩れた為
突入班のほとんどが
生き埋めになりました」
「どれ程、犠牲者が
出ているかも今の所は
わかりません」
「ただいま
旅団長の指揮の元
救助活動が
続いています」
「管制室が頑丈に
できていたおかげで
我々は助かりました」
「部屋の外で
警戒していたものは
助かりませんでした…」
「小隊からは
陸士5名が死亡
しました」
紀伊3尉の声は
絞り出すようだった。
その声を聞くだけで
心労が伝わってくる。
周りからは
慌ただしく
他の自衛隊員達が
動いていた。
私は爆破された
施設跡を見る。
それが彼らの
墓標となって
しまっていた。
「あああぁああああああ
ああああああああああぁああ
あぁあああぁああああ!!!」
それを理解すると
同時に私は叫び声を上げた。
あげる。
私は震えていた。
もし、私があの時
敵として殺していれば
そう思うと言葉を紡ぐ事が
出来ずただ叫ぶ事しか
出来なかった。
現場に
黒塗りの高級車が
来ていた。
その事が更なる最悪な事態へと
移行する事になるとは
その時、私は
気付いていなかった。
7月だっただろうか
初夏の日差しが
強い中
私達の小隊は
休みの日に
河原でバーベキューを
していた。
結婚している者は
家族も連れてきており
陸士は私の子供と
遊んでくれていた
体育会系は皆
面倒見がいい。
私はそれを微笑ましく
見ていた。
肉と野菜の焼けた
食欲を誘う匂いが
していた。
私は肉を焼きながら
妻の方を見る。
何の気なしに
妻は微笑み、
「なに?」
と問い返した。
「いや、なにも」
と私は下を向きながら
微笑んでいた。
平和で平穏で
微笑ましい日常
私は多分その時
幸せを噛み締めて
いたのだと思う。
突然何もかもが
黒く染まってなくなって
いく。
さっきまで笑いながら
過去の自慢話をし
肉を頬張っていた
筑摩曹長も
子供と遊んで
くれていた陸士も
ああ、そうだった
彼らはもう
死んだのだった…
こんな日常は……
もう戻ってこないのだ。
何もかもが黒に
沈んでいく世界で
私は意識が上に昇っていくのを
感じていた。
8月17日 1330 施設周辺
「……聞こえますか!!」
「しっかりして下さい!!
長門3曹!!!」
紀伊3尉が
ボロボロの格好で
私に呼び掛けていた。
どうやら私は
木の側に寝かされている
ようだった。
腕に圧迫止血の
跡があった。
爆発が起こった後の
記憶がない。
今も仄かに
煙の臭いがしていた。
「…あの後
どうなりましたか?」
紀伊3尉は少し
考えた後に答えた。
「爆発の後
地下室が崩れた為
突入班のほとんどが
生き埋めになりました」
「どれ程、犠牲者が
出ているかも今の所は
わかりません」
「ただいま
旅団長の指揮の元
救助活動が
続いています」
「管制室が頑丈に
できていたおかげで
我々は助かりました」
「部屋の外で
警戒していたものは
助かりませんでした…」
「小隊からは
陸士5名が死亡
しました」
紀伊3尉の声は
絞り出すようだった。
その声を聞くだけで
心労が伝わってくる。
周りからは
慌ただしく
他の自衛隊員達が
動いていた。
私は爆破された
施設跡を見る。
それが彼らの
墓標となって
しまっていた。
「あああぁああああああ
ああああああああああぁああ
あぁあああぁああああ!!!」
それを理解すると
同時に私は叫び声を上げた。
あげる。
私は震えていた。
もし、私があの時
敵として殺していれば
そう思うと言葉を紡ぐ事が
出来ずただ叫ぶ事しか
出来なかった。
現場に
黒塗りの高級車が
来ていた。
その事が更なる最悪な事態へと
移行する事になるとは
その時、私は
気付いていなかった。
24
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
なお、スピンオフもございます。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる