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43話 奪還
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8月19日1050 善通寺駐屯地
我々の勝利は
目前だった。
人質の盾が
通用せず敵兵は明らかに
動揺していた。
特殊作戦群の
射撃は次々と敵の命を
消し去っていく。
空挺も次々と
敵兵を近接格闘
などで取り押さえている。
勝利は目前だった。
あと、少し家族を
助ける事が出来る。
そう思ったその時
倒れていた一人の
中国兵の姿が目に映る。
倒れたまま、
血走った目だけが
娘を追っていた。
震える手で
銃を手に取り
今際の際まで人質に
対して銃口を向けようと
している。
そしてその銃口は
私の娘へと向いていた。
脳みその血管が切れるかと
思うほどの怒りを私は
感じていた。
ふざけるな!
ふざけるな!
ふざけるな!
誰の娘にその汚い銃口を
向けているつもりだ!!
何故そんなにも簡単に
人の大事な家族の命を
奪おうとできるのか!
私は迷わず自分の銃を
その敵兵に向ける。
「楓!!!!」
私は咄嗟に
妻の名前を叫ぶ。
細かい説明をしている
暇はなかった。
妻は私に気づき目を見る。
意図を読み取ったのか
咄嗟に娘の目をふさいだ。
娘に自分が人を殺して
いるところを見られたくは
なかった。
よく意図をくみ取って
くれた。
私は引き金を引く。
反動が肩を叩き、硝煙の匂いが鼻を刺す。
数発の弾丸が命中し
その敵兵は死んだ。
他の人質に弾が
あたるかもしれないなど
考えている余裕はなかった。
娘を守れたという安堵と、
撃ったという現実の重さが、
胸の奥でぶつかり合っていた。
いつの間にか
周りは静かになっており、
戦闘が終わった事を
感じていた。
目標であった
善通寺駐屯地の奪還を
完遂した。
周囲からは
歓声があがる。
だが、私は
そんな事は
どうでもよかった。
急いで愛する妻の楓と娘の美樹のもとへと
駆け寄り自由を奪っていた
縄を銃剣で切り離した。
言葉を上手く紡ぐことが
出来ずただただ
力いっぱい抱きしめる。
唇が震え、ただただ
嗚咽と涙が零れ。
それは妻も娘も
同じようだった。
圧倒的な安堵と嬉しさで
胸が溢れそうになっていた。
本当は再会する時には
もっとかっこよく現れたかった。
そこには
自衛官としての
威厳だとかそういった
体裁を整える余裕は
なかった。
「ごめん……
ごめんなぁ……
怖い思いをさせて…
そばにいてやれなくて
本当にごめんな…」
気の利いた言葉は
口から出す事が出来なかった。
ただ、謝罪を繰り返す事
しか出来なかった。
もし私が自衛官という
仕事をしていなかったら
こうして人質に取られる
事もなかったかもしれない。
もしかしたら任務に従って
家族を見捨てていたかも
しれない。
そんな罪悪感に似た思いが
私にはあった。
娘は泣きながら、
それでも懸命に言葉を紡いだ
「お父さん……
日本を守ってくれて
ありがとう……」
その一言だけで、胸に詰まっていた後悔が
溶けていくようだった。
全てが報われるような気がした。
我々の勝利は
目前だった。
人質の盾が
通用せず敵兵は明らかに
動揺していた。
特殊作戦群の
射撃は次々と敵の命を
消し去っていく。
空挺も次々と
敵兵を近接格闘
などで取り押さえている。
勝利は目前だった。
あと、少し家族を
助ける事が出来る。
そう思ったその時
倒れていた一人の
中国兵の姿が目に映る。
倒れたまま、
血走った目だけが
娘を追っていた。
震える手で
銃を手に取り
今際の際まで人質に
対して銃口を向けようと
している。
そしてその銃口は
私の娘へと向いていた。
脳みその血管が切れるかと
思うほどの怒りを私は
感じていた。
ふざけるな!
ふざけるな!
ふざけるな!
誰の娘にその汚い銃口を
向けているつもりだ!!
何故そんなにも簡単に
人の大事な家族の命を
奪おうとできるのか!
私は迷わず自分の銃を
その敵兵に向ける。
「楓!!!!」
私は咄嗟に
妻の名前を叫ぶ。
細かい説明をしている
暇はなかった。
妻は私に気づき目を見る。
意図を読み取ったのか
咄嗟に娘の目をふさいだ。
娘に自分が人を殺して
いるところを見られたくは
なかった。
よく意図をくみ取って
くれた。
私は引き金を引く。
反動が肩を叩き、硝煙の匂いが鼻を刺す。
数発の弾丸が命中し
その敵兵は死んだ。
他の人質に弾が
あたるかもしれないなど
考えている余裕はなかった。
娘を守れたという安堵と、
撃ったという現実の重さが、
胸の奥でぶつかり合っていた。
いつの間にか
周りは静かになっており、
戦闘が終わった事を
感じていた。
目標であった
善通寺駐屯地の奪還を
完遂した。
周囲からは
歓声があがる。
だが、私は
そんな事は
どうでもよかった。
急いで愛する妻の楓と娘の美樹のもとへと
駆け寄り自由を奪っていた
縄を銃剣で切り離した。
言葉を上手く紡ぐことが
出来ずただただ
力いっぱい抱きしめる。
唇が震え、ただただ
嗚咽と涙が零れ。
それは妻も娘も
同じようだった。
圧倒的な安堵と嬉しさで
胸が溢れそうになっていた。
本当は再会する時には
もっとかっこよく現れたかった。
そこには
自衛官としての
威厳だとかそういった
体裁を整える余裕は
なかった。
「ごめん……
ごめんなぁ……
怖い思いをさせて…
そばにいてやれなくて
本当にごめんな…」
気の利いた言葉は
口から出す事が出来なかった。
ただ、謝罪を繰り返す事
しか出来なかった。
もし私が自衛官という
仕事をしていなかったら
こうして人質に取られる
事もなかったかもしれない。
もしかしたら任務に従って
家族を見捨てていたかも
しれない。
そんな罪悪感に似た思いが
私にはあった。
娘は泣きながら、
それでも懸命に言葉を紡いだ
「お父さん……
日本を守ってくれて
ありがとう……」
その一言だけで、胸に詰まっていた後悔が
溶けていくようだった。
全てが報われるような気がした。
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