【完結】ワーカホリック聖女様は働き過ぎで強制的に休暇を取らされたので、キャンピングカーで静養旅に出る。旅先で素敵な出合いもある、、、かも?

永倉伊織

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第4章 サジタリアス領編

第83話 新たな道を目指して

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「ひぇぇーーーーーー(汗)」

「ねぇねぇニハチ~、あの荷車を引いてるのアイリーンさんだよね?」


影猫の肩に乗っているリルちゃんが影猫の小脇に抱えられているニハチに声をかけるも、ニハチは初体験の高速移動におっかなびっくりで返事をする余裕も無いらしい。

影猫が街道を疾走する事約3分、荷車を引くアイリーンに追いついた。


「アッ、アイリーン待ってくれぇ~、、、うっぷ(泣)」


ニハチは影猫の疾走に酔ったのか、弱々しい声でアイリーンに声をかける

せっかくの見せ場なのに影猫に酔って気持ち悪くなってるなんて、ガッカリだよニハチ!


「ニハチ?!と、、、ニハチの家に居たお客さんで良いのよね?」

「猫人族のカゲさんとリルだよ~、よろしくお願いしま~す」

「にゃおにゃお」

「あっ、はい、御丁寧にどうも、アイリーンと申します。」


何故かニハチと一緒に自分を追いかけてやって来た巨漢猫と幼女の組み合わせに、アイリーンは全く事情が飲み込めていないのだが

ここでもキャンピングカーの『偽装』機能が効果を発揮していて、初対面であるはずの影猫とリルちゃんの事も、徐々に『ニハチの友人』という認識になって来ている。


「うっぷ、、、アイリーン、荷車を、うっぷ、引いて徒歩で街を、うぷっ、、出る、、、無茶だ」

「えっと、私の事よりそんなに具合が悪そうなのに追いかけて来たニハチの方が無茶なんだけど」

「これはカゲさんに酔っただけだから心配いらねぇ。そんな事より、俺にはアイリーンが必要なんだ!」

「ニハチ、、、でも私が一緒だと蕎麦を食べられないでしょ?」

「う゛っ、それは、、、」


ブロロォ~、ブロロロォ~♪

「おーい、ニハチさーん、お待たせー!」

「メルマーマとクロパパだぁー!」


歌うように御機嫌なエンジン音を響かせるキャンピングカーに乗って、クロさんとメルクリースが追い付いた。

ガチャッ


「無事にアイリーンと会えて良かっ、、、たような雰囲気では無いね」

「ニャッ」

「あぁ、せっかくメルさんが俺の背中を押してくれたって言うのに、やっぱり俺はアイリーンも蕎麦も諦めらんねぇ。情けない男ですまん、アイリーン」

「それがニハチだもの、私が勝手に惚れて勝手に別れを決めただけよ」

「ふむふむ、事情はなんとなく察しました。とりあえずアイリーンさんも蕎麦も手放さない道を選びましょう!」

「「えぇっ?!」」


メルクリースのまさかの提案に、仲良く同時に驚くニハチとアイリーン

なんやかんやで2人はお似合いだよ!


「『麺』としての蕎麦は勿論美味しいですけど、ニハチさんは麺以外の蕎麦の食べ方は全て試したんですか?」

「いや、色んな蕎麦料理を試しはしたが、全てって訳じゃないと思う。東大陸のバルゴ王国にはシンシューの街には無い蕎麦粉を使った『蕎麦がきぜんざい』や『瓦蕎麦』っていう料理があるらしい。
どんな料理か想像も出来ないけどな」

「へぇ~、『蕎麦がきぜんざい』は気になるからバルゴ王国に行ってみたいなぁ、、、ってちがーう!
ゴホンッ、とにかく!
レシピ登録されている蕎麦料理を全部食べて、1番美味しい蕎麦料理が何かを決めましょう。ニハチさんは最高の蕎麦料理で天下を取るんでしょ?」

「うーん、蕎麦は細切りにして食べるのが1番だと思うんだが、、、メルさんの言うように、知らない蕎麦料理が沢山ある現状では、俺が偉そうにどれが1番旨いとか言えねぇな。」

「そうと決まれば、クロさん持って来た物を出して下さい」 

「ニャッ」
 
、、、パッ

「なっ、何も無い所から荷車が?!いや、まぁ、クロさんなら納得なんだけど」


クロさんが空間収納から取り出したのは、廃材から作った全長2メートルある立派な荷車だった。

木製の立派な荷車なのに総重量約20kgという驚異の軽量化が施されているクロさん特製の荷車である。メルクリースとクロさんが遅れて来たのは、この荷車を作っていたからだ。

そして、荷車にはニハチの使っていた蕎麦を作る道具一式に着替えやら細々とした物の他に、壁の中に隠してあったヘソクリも見つけ出して忘れずに積み込んでいる。

神獣であるクロさんとワーカホリック聖女メルクリースの仕事に、抜かりは無い!


「荷物は全部積み込んでありますから、新天地で新居を探して夫婦2人で頑張って下さい!」

「「夫婦?!」」


メルクリースのまさかの発言にニハチとアイリーンも驚いてはいるが、お互いの顔をチラチラ見ている様子から嫌では無いらしい。


「クロさん、メルさん、カゲさん、リルちゃん、何から何までありがとう。これからはアイリーンと一緒に頑張るよ。そして絶対に蕎麦で天下を取るから、その時はまた食べに来てくれよな」

「是非!」

「ニャッ!」「にゃっ!」

「10日くらいで天下取れる?」

「あの、リルちゃん、せめて1年くらいは待ってて貰えるかな?」

「良いよぉ~」

「ほっ。じゃあアイリーン、行こうか?」

「うん、皆さんありがとうございました。さようなら~」


それぞれの荷車を引いて去って行くアイリーンとニハチ

2人が目指すのは神々が集まる場所として有名な『イズモ』

偶然か、それとも必然か、イズモは将来新たな蕎麦処として有名になる土地だ。

蕎麦処として有名になるきっかけとなった『蕎麦の甘味屋・A&N』という名前の、『蕎麦がきぜんざい』を出すお店が開店するまで

あと32日





つづく。

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