【完結】婚約破棄された公爵令嬢は推しの為に生きる!

永倉伊織

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第8話、飯処・政

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side:とある島国出身の料理人




「おやっさーん、大変です!」

「野菜の皮剥きが終わらねぇのか?なら素直にそう言いやがれ!」

「いやっ違う、、、違わなくも無いですけど今は違うんですよ!俺達が島国出身だって知ってる女が来てるんですよ!」

「誰か知らんが別に隠してねぇんだから良いだろうが、そんな事よりさっさと皮剥き終わらせちまえ」


「皮剥きはやりますけど、島国出身ってのは隠しても無いですけど誰かに言っても無いですよね!」

「まぁそうだが、他にも島国出身のやつは街にいるんだからそいつらが言ったんじゃねぇのか?」

「そうかもしれませんけど、その女が言うには島国の調味料の作り方を教えてくれたら『つくだ煮』を作ってくれるって言ってるんですよ」

「なんだと?!調味料もつくだ煮も生産量が少なくて、他所者には売ってねぇはずだがよく知ってるな、その女島国出身か?」

「それにしては調味料の名前は知らないみたいでしたけど、どうします?」

「連れて来い!こっちには隠す事なんぞ何も無いんだからな、運が良けりゃ味噌と醤油もこっちで作れるかもしれん」

「じゃあ急いで連れて来やす!」


さてと

鬼が出るか蛇が出るか、見極めてやろうじゃねぇか(笑)



ーーーーーーーーーーーーーーーー



side:マリエール




ふっふっふっ、やっと見付けましたよ♪

『飯処・政』

あれは島国特有の『漢字』と呼ばれる文字で書かれた看板に間違いありません

街の人に聞き込みをした結果、島国出身の者が店主をしているお店のはずです。


わたくしがここに来た目的は島国の調味料を知る為です。

本で調べるのに限界を感じていましたので、思いきって島国出身の者を探して正解でした♪

さっそくお店の方に話を聞きましょう


「こんにちはー、どなたかいらっしゃいますかー?」


「へーい、いらっしゃいませと言いたい所なんですが店はまだ開店してないんですよ」


お店の奥から出てきたのは17~20歳くらいの男性で、黒髪に黒い瞳は本で読んだ島国の民の特徴と一致しています。


「問題ありません、わたくしはお客ではありませんので。つかぬ事をお聞きしますけど、あなたは島国出身の方でしょうか?」

「っ?!まっ、まぁそうですけどお嬢さんは店に用があるんですか?」

「わたくしは島国の調味料について調べていまして、もしご存知なら教えて頂きたいのですが

勿論謝礼はお支払いしますし、このお店で提供している米を使った『おにぎり』というのは島国の料理だそうですね

おにぎりには『つくだ煮』がよく合うと本に書いてありました、調味料が手に入ればわたくしが『つくだ煮』を作って提供しますけどいかがでしょうか?」


「えーっと、ちょっと待ってて下さいおやっさんに聞いて来るんで!」

「はい、おやっさ、、、店主さんによろしくお伝え下さい」






「お嬢さんお待たせしました、おやっさんが会うそうです」


はやっ!

余程急いだのでしょうか、店員さんがあっという間に戻ってって来ました



「ありがとうございます」


案内されてお店の中に入ると、店主と思われる40歳くらいのおじさんが腕を組んで待ち構えていた


「よぉ、俺が『飯処・ 政』の店主マサだ、そっちの若いのはヤス、お嬢さんは?」

「申し遅れました、わたくし『薄味屋』の店主でマリエールと申します。以後お見知りおきを」

「薄味屋って言えば『サンド』が旨いとか言われてるあの店か?」

「正確には『タマゴサンド』ですね。時間が惜しいのでさっそく本題に入らせて頂きます。わたくしは島国の調味料が欲しいんです

もしこちらで取り扱っているなら売って頂けませんでしょうか?」

「残念だがここには無い、生産量が少なくて輸出はしてねぇからな。個人で持って来るやつもたまに居るが商売で使える量じゃねぇ」


「それなら作り方はご存知ないですか?」

「あれは専門の職人が作るもんだから詳しくは知らんな、それよりお嬢さんは何処で島国の調味料を知った?」

「本に書いてありました、と言っても数十年前に島国に行った人が書いたと思われる旅行記のような物でしたので、食べた料理の感想から

わたくしが求めている調味料なのではと思い、ここに来た次第です。」

「なるほどな、そんなに調味料が欲しいなら島国に行った方が早いんじゃねぇか?」


「もっともなご意見ですね、ですが先程マサさんが仰っていたでしょう。島国の調味料は生産量が少なくて輸出していないと

その事は本にも書かれていたので知っていました。わたくしは商売で使える量を求めています。そして、調味料の作り方はおそらく代々伝わる秘伝があって教えて貰えないだろうという事も予想出来ます。」


「その予想は当たってるだろうな。」

「そこでマサさんの協力が必要なのです。マサさんは腕の良い料理人とお見受けします、調味料の材料や秘伝以外の部分ならなんとなく分かっているのではないですか?」

「ほぉ、なかなか頭の回るお嬢さんだ。付いて来い」


あら♪

ダメ元で来たのですが、なんだか良い方向に向かってる予感がします。






つづく。
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