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第13話、スタンピード
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side:ナタリア・ヴァイスハーフェン
「お待たせしました王妃様、本日は『醤油焼きそば』と『わらび餅』を買って来ました」
「あら♪今日も聞いた事の無い料理と甘味ね、楽しみだわ♪」
今日もいつものように薄味屋で食べ物を買って来て王妃様に持ってきた
『醤油焼きそば』という物はいつもと少し趣が違う料理になる
新しい調味料を使っているらしく、食欲をそそる良い匂いではあるけどその匂いはかなり強めだ
スパイスでは無いと言われたけどどうなんだろう?
私と同じ心配をしてか、王妃様専属メイドのフェイとエリスも少し心配そうにしている
「それじゃあ頂きましょう」
「「「頂きます」」」
「スンスン、、良い匂い♪あーん、もぐもぐもぐもぐ、、ナタリア!これ凄く美味しいわ♪焼いてあるからパリッとしてるのが良いわね、パスタを焼いても美味しそうね」
「それでは後で料理長に相談しておきます。」
どうやら心配は杞憂に終わったらしい、それに王妃様が言うようにパスタを焼いても美味しいだろうなぁ
『カンカンカンカン!』
「ナタリア!これは街に危険を知らせる鐘の音よね」
『カーン、カンカン、カーンカーン、カン、カンカン』
むむっ?!
短かい鐘の音が4つの後に、長1、短2、長2、短1、短2
この符号は(汗)
「王妃様、窓から離れて部屋の奥に移動をお願いします。今の鐘の音はスタンピード発生を知らせる特殊符号です。」
「えっ?スタンピード?5年前に発生した?」
「ええ、あの時に街の住人達がパニックに陥り無秩序に逃げようとした為に怪我人が多数出てしまいましたから、それらを防ぐ目的で特殊符号が作られたんです。
今頃は兵士達が住人達を家や宿に避難させて出て来られないように、入り口を塞いでいるでしょう。」
「そんな事をして大丈夫なの?」
「大丈夫では無いかもしれませんけど、街中の兵の移動や物資を運ぶ邪魔になってしまいますから」
スタンピードは数年から十数年程度の周期で定期的に起こる、魔物の大発生です。
それらが餌を求めて人の住む村や街を襲うのですが、幸いにもここは王都
街を囲むように造られた防壁は堅牢ですし、5年前とは違い今は全騎士団が王都にて待機中
街に立て籠り持久戦に持ち込めば、ほぼ被害も無く魔物を殲滅出来るでしょう。
その時に住人達に街をうろつかれては邪魔にしかなりません
ただしこの作戦は『魔物の種類による』と注釈が付きますが
『コンコン、ガチャ』
「失礼致します!ナタリア・ヴァイスハーフェン様、王命により、騎士団と協力して王都に迫る魔物を殲滅されたし!との事です。」
突然王妃様の部屋に入って来たのは陛下直轄の近衛兵
陛下の素早い対応は感心するけれど、逆を言えば今回のスタンピードの危険度を表していると言えます。
「私は王妃様護衛の任務中だが?」
「はっ!王妃様護衛の任は近衛が引継ぎますので、ナタリア様は東門に展開している第2騎士団と合流をして下さい!こちらが陛下からの命令書です!」
渡された書簡に魔力を流すと、拇印が赤く輝き始めたという事は魔術血判か
これは10段階中、上から2番目の権限を持つレベル9の命令書
現在の私の任務は王妃様の護衛であり、王妃様の命を守る事に限れば国王陛下の命令も無視出来る権限があるのですが
レベル9の命令はそれを越えて来ます。
こんな物を易々と出されては困るからこそ、国王陛下御自らの血を使った血判が必要なのですが
今回ばかりは犠牲ゼロで乗り切るのは難しいかもしれません
「ナタリア、命を棄てるような事は許しませんよ」
「御心配なく王妃様、明日は薄味屋で『すき焼き』と『いちご大福』という物が新発売されるらしいので、絶対に食べたいですから!」
「ふふっ、それなら薄味屋を王家御用達にして献上させましょう♪」
「楽しみにしてますね、では行って参ります。」
つづく。
「お待たせしました王妃様、本日は『醤油焼きそば』と『わらび餅』を買って来ました」
「あら♪今日も聞いた事の無い料理と甘味ね、楽しみだわ♪」
今日もいつものように薄味屋で食べ物を買って来て王妃様に持ってきた
『醤油焼きそば』という物はいつもと少し趣が違う料理になる
新しい調味料を使っているらしく、食欲をそそる良い匂いではあるけどその匂いはかなり強めだ
スパイスでは無いと言われたけどどうなんだろう?
私と同じ心配をしてか、王妃様専属メイドのフェイとエリスも少し心配そうにしている
「それじゃあ頂きましょう」
「「「頂きます」」」
「スンスン、、良い匂い♪あーん、もぐもぐもぐもぐ、、ナタリア!これ凄く美味しいわ♪焼いてあるからパリッとしてるのが良いわね、パスタを焼いても美味しそうね」
「それでは後で料理長に相談しておきます。」
どうやら心配は杞憂に終わったらしい、それに王妃様が言うようにパスタを焼いても美味しいだろうなぁ
『カンカンカンカン!』
「ナタリア!これは街に危険を知らせる鐘の音よね」
『カーン、カンカン、カーンカーン、カン、カンカン』
むむっ?!
短かい鐘の音が4つの後に、長1、短2、長2、短1、短2
この符号は(汗)
「王妃様、窓から離れて部屋の奥に移動をお願いします。今の鐘の音はスタンピード発生を知らせる特殊符号です。」
「えっ?スタンピード?5年前に発生した?」
「ええ、あの時に街の住人達がパニックに陥り無秩序に逃げようとした為に怪我人が多数出てしまいましたから、それらを防ぐ目的で特殊符号が作られたんです。
今頃は兵士達が住人達を家や宿に避難させて出て来られないように、入り口を塞いでいるでしょう。」
「そんな事をして大丈夫なの?」
「大丈夫では無いかもしれませんけど、街中の兵の移動や物資を運ぶ邪魔になってしまいますから」
スタンピードは数年から十数年程度の周期で定期的に起こる、魔物の大発生です。
それらが餌を求めて人の住む村や街を襲うのですが、幸いにもここは王都
街を囲むように造られた防壁は堅牢ですし、5年前とは違い今は全騎士団が王都にて待機中
街に立て籠り持久戦に持ち込めば、ほぼ被害も無く魔物を殲滅出来るでしょう。
その時に住人達に街をうろつかれては邪魔にしかなりません
ただしこの作戦は『魔物の種類による』と注釈が付きますが
『コンコン、ガチャ』
「失礼致します!ナタリア・ヴァイスハーフェン様、王命により、騎士団と協力して王都に迫る魔物を殲滅されたし!との事です。」
突然王妃様の部屋に入って来たのは陛下直轄の近衛兵
陛下の素早い対応は感心するけれど、逆を言えば今回のスタンピードの危険度を表していると言えます。
「私は王妃様護衛の任務中だが?」
「はっ!王妃様護衛の任は近衛が引継ぎますので、ナタリア様は東門に展開している第2騎士団と合流をして下さい!こちらが陛下からの命令書です!」
渡された書簡に魔力を流すと、拇印が赤く輝き始めたという事は魔術血判か
これは10段階中、上から2番目の権限を持つレベル9の命令書
現在の私の任務は王妃様の護衛であり、王妃様の命を守る事に限れば国王陛下の命令も無視出来る権限があるのですが
レベル9の命令はそれを越えて来ます。
こんな物を易々と出されては困るからこそ、国王陛下御自らの血を使った血判が必要なのですが
今回ばかりは犠牲ゼロで乗り切るのは難しいかもしれません
「ナタリア、命を棄てるような事は許しませんよ」
「御心配なく王妃様、明日は薄味屋で『すき焼き』と『いちご大福』という物が新発売されるらしいので、絶対に食べたいですから!」
「ふふっ、それなら薄味屋を王家御用達にして献上させましょう♪」
「楽しみにしてますね、では行って参ります。」
つづく。
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