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第1章 青春のスタートライン ~始まりの高校生活~

4時間目 高校初の遊び①

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「フォー!サイコー!」
マラカスのシャカシャカする音。
タンバリンの音。
そう、歌が上手な山内裕太やまうちゆうたが今歌い終わった所だ。
とにかく、彼らは、カラオケに行くとテンションが高い。
「次は、4番。高橋君。曲は、『どんなときも。』」
と、山内が高校野球のウグイス嬢のような声を出して、次の歌を、宣言する。
そう、俺が歌う番だ。
歌い手は、最近、白い粉をまた使用して警察にお世話になったけど、やっぱり、あの歌声には、俺は、魅了される。
人は、やはり、歌だ。
なんて、考えていると、イントロが始まる。
受験の時、野球で試合に負けたとき、この歌には、凄くお世話になった。
Aメロを歌い始め、それにノッてくれる、友達たち。
キーがずれている事なんて全く気にせずに歌えるのは、何年ぶりだろうか。
ノリが良いので声の調子も必然的に良くなった。
そして、サビにかかる。
うおっ。
歌いながら、自分でも驚いた。
キーが完璧にあってる。

・・のは、ワンフレーズの『どんなときも』
だけだった。
その後は、メチャメチャなキーがあったり、少ししかずれていない所があったりと、まぁ、とにかく、楽しく歌えた。

「おー!ずれてたけど、良かったじゃん!」
うん、第一声は、お世辞か。
「おう、お世辞だろうけど、嬉しいぜ!」
「つぎ俺歌うわー!」
と、カラオケのリモコンに吸い付かれるように、取りに行った三石。
「おー!頑張れー!」
と、彼が持っていたマラカスを俺は、持つ。
「次は、5番。三石君。曲は、『炎と森のカーニバル』」
マジか。
俺の好きな歌じゃん。
やっぱり、歌ってサイコー。
だけど、
彼の歌声は、なんとも言えぬものだった。
うん。正直に言おう。
彼は、俺以上のオンチだった。
ノリノリになって彼は、歌っているが、聴いている俺達は、たぶん、苦痛だった。
だけど、ノリノリさが、その歌声を一流にしていた。
ラストまで長かった。
「おー!お疲れ!」
何とかでた言葉がこれだった。
「いやぁ、さすが。んじゃ、次、俺歌う。あ、誰かポテト頼んで」
「んじゃ、俺頼んどく」
俺は、受話器をとり、ポテトを頼む。
         ー
彼が選曲したのは、分からない歌だった。
曲名は、『運命の人』っていう曲。
ギター?のギュイーンっていうイントロの音がカッコよかったので、メモアプリに、メモをとる。
たぶん、サビに向かった所で、ポテトが届いた。
俺は、店員さんに、向かって笑顔で受け取る。
まぁ、笑顔が一番いいよな。
「~自力で見つけよう神様~」
その言葉は、凄く良い言葉だった。
まるで、今の俺にピッタリだった。
彼が歌い終わる頃には、ノリは、最高潮に達していた。
後、一時間半。
まだまだ、楽しめる。
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