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呪いを解くため
竜が馭者を襲う理由
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「んは、終わった。」
崩れ落ちるアスピに僕は手を差し出す。
「ありがとうアスピ。竜の足止めをしてくれて。」
「ホント、感謝してよね。急に変な呪文かけてくるし、私が機転をきかさなかったら、アンタの攻撃も通らなかったんだから。」
その通りだ。僕は彼女に一言告げることは無く、星鉄を発動した。というか、その余裕が無かったから。
それでも、彼女と意思疎通が出来たのは、ここ数ヶ月、彼女と旅路を共にしたからであろう。
「何モタモタしてんの。早く白竜のツノを。竜宮の剣ならそんなツノ、造作もないでしょ。」
「うん分かった。」
彼女は腰が抜けて、立てそうにもない。
僕は彼女に手を差し出した。
「あと、僕が倒れた時、介抱してくれてありがとね。」
彼女はその手を払う。
「アンタの両親には世話になったから。……それに、あなたの両親のこと。」
「気にしてるの? ドライなアスピが。」
「私を何だと___」
[青年よ…… ]
また
竜だ。
白竜が僕に話しかけている。
[ソナタは女王に命じられて我を討伐しに来たのだろう? ]
「そうだよ。」
[女王は、そのことを…… ]
「知らないはずだ。」
[やはりか。御方は能面ではあったが、とても心優しく、強いお方であった。そのような人間が、このような非人道的な行いを如何なる理由があろうと赦すはずがない。]
「女王様のこと、知っているの? 」
[ああ、御方は忘れてしまっているかもしれんが。私は勇者と、御方を背中に乗せて飛んだことがある。そして、魔王を倒したあと、勇者は私に御方の護衛を頼んだ。伝説の武具では無く、御方の……だ。]
僕は全てを理解した。
白竜が行商人を襲っていたのは、非人道的な行為を彼らにやめさせるためだ。
そこに馭者が走ってくる。
「頼む。この通りだ。女王様にそのことを伝えるのは。国が……人が…… 」
今更奴隷貿易を辞めるわけにはいかない。
そうすれば、国が混乱し、餓死者は増加し、その結果、治安が悪化するだろう。
だからこそ、他の三国は、この真実に薄々気づいていながらも、ノースランドを咎めることは無かった。
「こんなのは間違ってますよ。」
馭者は肩をこわばらせると、ズルズルと這い上がってきて、僕に手頃な石を投げつけてきた。
「元奴隷風情が、主人に反抗すると、どうなるか教えてやる。」
僕は何度も蹴られて、殴られて、雪の地面に転がる。
「んっ。」
アスピのメイスが、ついに、馭者の背中へとクリーンヒットした。
僕は立ち上がって、白竜の頭を優しく撫でる。
「分かった。ありがとう。ちゃんと女王様に伝えるよ。君のツノ。もらって行くね。」
アスピは険悪な顔をしながら、白竜へと杖を向ける。
アスピから回復魔術を受けた白竜は、それ以降何も語ることは無く、自分の寝床へと戻っていってしまった。
それから、猫のように丸まると、死んだように眠り始めた。
「帰ろう。アスピ。」
「徒歩になりそうね。こんなんだし。」
アスピは気を失っている馭者を指差す。
「何してるのアンタ? 」
「このままじゃ凍死しちゃう。」
「パチン。」
彼女に打たれた。
彼女の双眼から、溜まっていた感情が溢れ出す。
「もう私は…… 」
僕は手から聖炎を出し、薪に焚べた。
「おおいおおーい。」
見覚えのある声がこちらに走ってくる。
僕たちは身構えた。
「セブンス……さん。」
やっと知っている人に出会えた。
僕は脱力する。
が
彼女は逆に身体をこわばらせて、戦闘体勢を取っていた。
「なぜあなたがここに? ウェスト・ランドに帰ったはずでしょ。」
「嫌だなアスピさん。岩崎弥太郎は江戸から土佐まで、僅か十六日で帰ったんですよ。」
「それで、何で貴方は今、ここにいるのかしら。」
「護衛のために決まっているでしょ。フォースがあんなことになったら、教皇も貴方たちを心配せざるを得ません。」
「さあさあ、城に戻りましょう。」
なぜこの人は、僕たちが城に戻ろうとしていることを知っているのだろう。
「「アスィール、アスピ!! セブンスから離れて。」」
突然の声に驚く。
彼女は、彼女たちは……
「ナインスさんとトゥエルブスさん!! 」
何故ここに。
「ずっと怪しいと思っていたわ。難攻不落のバロア城にどうして魔物が入り込んだのか。」
ナインスさんとトゥエルブスさんがこちらに降りてくる。
ナインスさんはカッと目を見開いて、セブンスを指差した。
「疑いたくは無かったけど、ここ数年間、十二使徒の行動が魔族側に筒抜けだったから、密かに私たちは自分たちの素性を洗っていたの。」
セブンスさんが叫んだ。
「気をつけろアスィール。その女たちが十二使徒の裏切り者かもしれない。」
セブンスさんはトゥエルブスさんを指差す。
彼女は力無く笑うと、セブンスに一枚のスクロールを突きつけた。
そこには、教皇の花押と、セブンス討伐の命令書が……
「そんな!! そんなはずは!! 」
セブンスさんが膝を突き、崩れ落ちる。
アスピはまだ彼に向けてメイスを突きつけ、機会を伺っている。
ナインスさんが、一歩前に出た。
「貴方、もう、神の声すら聞こえなくなったのね。」
セブンスさんの表情は見えない。
彼の肩は震えていた。
恐怖? ではない。
「ふふふふふ……フハハハハハハ、ハァ!! 」
[ギガ・スパーク]
アスピの魔術がセブンスにクリーンヒットする。
「まぁ良い、ここにいる奴ら全員を始末すれば!! 大人しく竜の角を渡していれば、死なずにも済んだのになぁ!! 」
そ、そんな。
「セブンスさん!! 」
「そうだよ。フォースに呪いをかけたのは俺だ。この右眼の魔眼でなぁ。」
「なんで。」
「なんでぇ? 馬鹿がオメエは、自分で見て来ただろう。コレが答えだよ。ぅっぅっ……クッハァ。」
「コレじゃどっちが魔族で、どっちが人間か分かんねえよな。人間は自分たちに害をなす存在を魔族と呼んで蔑んだ。」
「だがどうだ。この馭者も、お前を奴隷にしようとした村人たちも、お前の両親を奴隷にした奴らは。」
「お前らこそ醜悪な化け物だ。魔族と呼ばれるに相応しい。」
生々しい音と共に、白い雪が真紅に染まった。
馭者は目をひん剥いたまま、右側頭部から左側頭部までを。
「良い顔になったじゃ無いかアスィールゥ。」
崩れ落ちるアスピに僕は手を差し出す。
「ありがとうアスピ。竜の足止めをしてくれて。」
「ホント、感謝してよね。急に変な呪文かけてくるし、私が機転をきかさなかったら、アンタの攻撃も通らなかったんだから。」
その通りだ。僕は彼女に一言告げることは無く、星鉄を発動した。というか、その余裕が無かったから。
それでも、彼女と意思疎通が出来たのは、ここ数ヶ月、彼女と旅路を共にしたからであろう。
「何モタモタしてんの。早く白竜のツノを。竜宮の剣ならそんなツノ、造作もないでしょ。」
「うん分かった。」
彼女は腰が抜けて、立てそうにもない。
僕は彼女に手を差し出した。
「あと、僕が倒れた時、介抱してくれてありがとね。」
彼女はその手を払う。
「アンタの両親には世話になったから。……それに、あなたの両親のこと。」
「気にしてるの? ドライなアスピが。」
「私を何だと___」
[青年よ…… ]
また
竜だ。
白竜が僕に話しかけている。
[ソナタは女王に命じられて我を討伐しに来たのだろう? ]
「そうだよ。」
[女王は、そのことを…… ]
「知らないはずだ。」
[やはりか。御方は能面ではあったが、とても心優しく、強いお方であった。そのような人間が、このような非人道的な行いを如何なる理由があろうと赦すはずがない。]
「女王様のこと、知っているの? 」
[ああ、御方は忘れてしまっているかもしれんが。私は勇者と、御方を背中に乗せて飛んだことがある。そして、魔王を倒したあと、勇者は私に御方の護衛を頼んだ。伝説の武具では無く、御方の……だ。]
僕は全てを理解した。
白竜が行商人を襲っていたのは、非人道的な行為を彼らにやめさせるためだ。
そこに馭者が走ってくる。
「頼む。この通りだ。女王様にそのことを伝えるのは。国が……人が…… 」
今更奴隷貿易を辞めるわけにはいかない。
そうすれば、国が混乱し、餓死者は増加し、その結果、治安が悪化するだろう。
だからこそ、他の三国は、この真実に薄々気づいていながらも、ノースランドを咎めることは無かった。
「こんなのは間違ってますよ。」
馭者は肩をこわばらせると、ズルズルと這い上がってきて、僕に手頃な石を投げつけてきた。
「元奴隷風情が、主人に反抗すると、どうなるか教えてやる。」
僕は何度も蹴られて、殴られて、雪の地面に転がる。
「んっ。」
アスピのメイスが、ついに、馭者の背中へとクリーンヒットした。
僕は立ち上がって、白竜の頭を優しく撫でる。
「分かった。ありがとう。ちゃんと女王様に伝えるよ。君のツノ。もらって行くね。」
アスピは険悪な顔をしながら、白竜へと杖を向ける。
アスピから回復魔術を受けた白竜は、それ以降何も語ることは無く、自分の寝床へと戻っていってしまった。
それから、猫のように丸まると、死んだように眠り始めた。
「帰ろう。アスピ。」
「徒歩になりそうね。こんなんだし。」
アスピは気を失っている馭者を指差す。
「何してるのアンタ? 」
「このままじゃ凍死しちゃう。」
「パチン。」
彼女に打たれた。
彼女の双眼から、溜まっていた感情が溢れ出す。
「もう私は…… 」
僕は手から聖炎を出し、薪に焚べた。
「おおいおおーい。」
見覚えのある声がこちらに走ってくる。
僕たちは身構えた。
「セブンス……さん。」
やっと知っている人に出会えた。
僕は脱力する。
が
彼女は逆に身体をこわばらせて、戦闘体勢を取っていた。
「なぜあなたがここに? ウェスト・ランドに帰ったはずでしょ。」
「嫌だなアスピさん。岩崎弥太郎は江戸から土佐まで、僅か十六日で帰ったんですよ。」
「それで、何で貴方は今、ここにいるのかしら。」
「護衛のために決まっているでしょ。フォースがあんなことになったら、教皇も貴方たちを心配せざるを得ません。」
「さあさあ、城に戻りましょう。」
なぜこの人は、僕たちが城に戻ろうとしていることを知っているのだろう。
「「アスィール、アスピ!! セブンスから離れて。」」
突然の声に驚く。
彼女は、彼女たちは……
「ナインスさんとトゥエルブスさん!! 」
何故ここに。
「ずっと怪しいと思っていたわ。難攻不落のバロア城にどうして魔物が入り込んだのか。」
ナインスさんとトゥエルブスさんがこちらに降りてくる。
ナインスさんはカッと目を見開いて、セブンスを指差した。
「疑いたくは無かったけど、ここ数年間、十二使徒の行動が魔族側に筒抜けだったから、密かに私たちは自分たちの素性を洗っていたの。」
セブンスさんが叫んだ。
「気をつけろアスィール。その女たちが十二使徒の裏切り者かもしれない。」
セブンスさんはトゥエルブスさんを指差す。
彼女は力無く笑うと、セブンスに一枚のスクロールを突きつけた。
そこには、教皇の花押と、セブンス討伐の命令書が……
「そんな!! そんなはずは!! 」
セブンスさんが膝を突き、崩れ落ちる。
アスピはまだ彼に向けてメイスを突きつけ、機会を伺っている。
ナインスさんが、一歩前に出た。
「貴方、もう、神の声すら聞こえなくなったのね。」
セブンスさんの表情は見えない。
彼の肩は震えていた。
恐怖? ではない。
「ふふふふふ……フハハハハハハ、ハァ!! 」
[ギガ・スパーク]
アスピの魔術がセブンスにクリーンヒットする。
「まぁ良い、ここにいる奴ら全員を始末すれば!! 大人しく竜の角を渡していれば、死なずにも済んだのになぁ!! 」
そ、そんな。
「セブンスさん!! 」
「そうだよ。フォースに呪いをかけたのは俺だ。この右眼の魔眼でなぁ。」
「なんで。」
「なんでぇ? 馬鹿がオメエは、自分で見て来ただろう。コレが答えだよ。ぅっぅっ……クッハァ。」
「コレじゃどっちが魔族で、どっちが人間か分かんねえよな。人間は自分たちに害をなす存在を魔族と呼んで蔑んだ。」
「だがどうだ。この馭者も、お前を奴隷にしようとした村人たちも、お前の両親を奴隷にした奴らは。」
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