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勇者になるために
修行2
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僕がダミアンさんに連れてこられたのは。
「ふざけているんですか? 」
「ふざけてなど居ない。今からお前には滝行をしてもらう。」
僕は一刻も早く時空間魔術を覚えないと行けないと言うのに、流石に僕もコレには怒りを隠しきれなかった。
「全く意味が理解できません。僕は出家しに来たわけじゃ無いんですよ。コレじゃ言ってることがアベコベだ。」
ダミアンさんは僕を睨んだ。
「なら、言ってみろ。魔術を使う上で最も大切な要因を。」
僕は少し悩んだ。
それから答える。
「魔力量? ですか? 」
アスピもドレイクも、僕とは比較にならないぐらいの膨大な魔力を持っている。
「不正解。」
僕は 警策で背中を叩かれる。
「確かに時空間魔術 लुमाを習得するには膨大な魔力が必要だ。実際それが伝説の勇者以外が時空間魔術を扱えなかった理由でもある。あの時代にも、 लुमाの構造を理解し、陣を作るモノも居た。」
「だが、アスィール。お前はもう、その難関をクリアーしている。」
どう言う? ことだろうか?
「魔力ポーションを適用以上に使用したことがあるだろう? 」
ノースランドへの船旅、魔導船での出来事のことだと思う。
あの時はアスピにも怒られた。
魔力ポーションは飲みすぎると、中毒症状を起こすらしい。
だが、僕の身には何も怒らなかった。
「お前はどうやら数万人に一人の特異体質らしい。器は、負荷を受けるごとに大きく形を変え、今は魔王幹部に匹敵するほどの魔力量になっている。」
「ゴホン。」
ダミアンは、ため息をついた。
「本題に戻そう。魔術で一番大切なのは、魔術のセンスでも、魔力量でも無い。」
「イメージ力だ。」
言われてみればそうだ。
アスピもドレイクも並外れた想像力を持っている。
それが彼女たちを一流の魔術師たらしめている要因なのだろう。
「魔術師は女性に多い。それは女性の方が、その力に秀でているからだ。」
「僕は男です。」
「話は最後まで聞け。」
ダミアンにまた叱られる。
「魔術センスは生まれつきだが、想像力に関してはそうでは無い。想像力とは、生まれ持ったセンスと、培ってきた集中力・経験の総量のことを言う。」
「才能とは残酷なモノだ。」
「だけど、魔術にはそれをひっくり返せるだけの深みがある。」
ダミアンは僕を川に落とした。
「時間は無い。まずは集中力。滝に打たれて、しっかり鍛えろ。」
全身が冷たい。水が冷たい。当たり前のことだが、いざ身体で感じてみると、全身がガチガチに固まってしまって、心まで冷たい。
僕は水の中で、ブルブルと身体を振るわせると、滝行を行うべく、目の前の壁へと歩き出した。
次第に身体が馴染んでいく。
僕が滝行を始める頃には、もう身体に馴染んでいた。
禅を組み、目を瞑る。
そして僕は……
ただ一点、伝説の勇者について考えることにした。
かつて魔王から人間を救った、救世主。
スカサア女王のことが好きで、白龍を従えていた勇者。
だけど、スカサア女王に気持ちを伝えていなかったところ、案外不器用なヤツだったのかも知れない。
そして、僕は今、その英雄の戦友たちと旅をしている。
戦友たちは、魔王の討伐後、別々の場所に預けられた。
しかし、人間たちは……
ドゥルガたちも、この戦いが終われば
僕が老いて死ねば
また戦争の火種にされるのかな?
『ペシッ』
またダミアンに叩かれる。
「いたんですか、ダミアンさん。」
「私のことは師匠と呼べ。ったく。言わんこっちゃない。」
「何も考えるな。お前は時空間魔術について考えているうちに、気にすることのない余計な邪念まで持ち始めたな。」
僕は深呼吸してから、師匠に訊いた。
「仮に僕が勇者だとして、魔王を倒した後のことを懸念することは不必要なのでしょうか? 魔王を倒して、人間たちを救う。それが勇者の責務であることはごもっともなのですが。」
「イーストランドの寺院で書籍を読んだな。」
「はい、仮にでもディアストの故郷ですから。彼について知っておこうとした聖職者がいる事は必然ですよ。」
「そんなことは、私にも分からん。」
ダミアンは、答えを聞かなければ、僕が集中できないであろうことを理解し、渋々と話し始めた。
「そんなことは私にも分からない。世界が今後どうなるかなんて。」
「私は世界の一部だ。お前も、いくら特別な存在だとしても、世界を構成する物質の一部でしかない。」
以前、ポート王からも同じようなことを言われたような気がする。
「だが、お前の武具を巡って人間たちが必ず戦争を始めるだろう。コレだけは言える。」
「二度同じ過ちを人類には起こさせない。」
「私が死んでも、お前が老いても、私の子孫が、仲間たちがそれを止めて見せる。」
「お前に魔王を倒す義務があるように、私たちにも、お前が守らなければならない世界を存続させる義務がある。」
「前だけ見てろアスィール。
「そして魔術の本質を掴め、アスィール。」
再び背中を叩かれる。
それから再び滝行に戻った僕は_______________
「ふざけているんですか? 」
「ふざけてなど居ない。今からお前には滝行をしてもらう。」
僕は一刻も早く時空間魔術を覚えないと行けないと言うのに、流石に僕もコレには怒りを隠しきれなかった。
「全く意味が理解できません。僕は出家しに来たわけじゃ無いんですよ。コレじゃ言ってることがアベコベだ。」
ダミアンさんは僕を睨んだ。
「なら、言ってみろ。魔術を使う上で最も大切な要因を。」
僕は少し悩んだ。
それから答える。
「魔力量? ですか? 」
アスピもドレイクも、僕とは比較にならないぐらいの膨大な魔力を持っている。
「不正解。」
僕は 警策で背中を叩かれる。
「確かに時空間魔術 लुमाを習得するには膨大な魔力が必要だ。実際それが伝説の勇者以外が時空間魔術を扱えなかった理由でもある。あの時代にも、 लुमाの構造を理解し、陣を作るモノも居た。」
「だが、アスィール。お前はもう、その難関をクリアーしている。」
どう言う? ことだろうか?
「魔力ポーションを適用以上に使用したことがあるだろう? 」
ノースランドへの船旅、魔導船での出来事のことだと思う。
あの時はアスピにも怒られた。
魔力ポーションは飲みすぎると、中毒症状を起こすらしい。
だが、僕の身には何も怒らなかった。
「お前はどうやら数万人に一人の特異体質らしい。器は、負荷を受けるごとに大きく形を変え、今は魔王幹部に匹敵するほどの魔力量になっている。」
「ゴホン。」
ダミアンは、ため息をついた。
「本題に戻そう。魔術で一番大切なのは、魔術のセンスでも、魔力量でも無い。」
「イメージ力だ。」
言われてみればそうだ。
アスピもドレイクも並外れた想像力を持っている。
それが彼女たちを一流の魔術師たらしめている要因なのだろう。
「魔術師は女性に多い。それは女性の方が、その力に秀でているからだ。」
「僕は男です。」
「話は最後まで聞け。」
ダミアンにまた叱られる。
「魔術センスは生まれつきだが、想像力に関してはそうでは無い。想像力とは、生まれ持ったセンスと、培ってきた集中力・経験の総量のことを言う。」
「才能とは残酷なモノだ。」
「だけど、魔術にはそれをひっくり返せるだけの深みがある。」
ダミアンは僕を川に落とした。
「時間は無い。まずは集中力。滝に打たれて、しっかり鍛えろ。」
全身が冷たい。水が冷たい。当たり前のことだが、いざ身体で感じてみると、全身がガチガチに固まってしまって、心まで冷たい。
僕は水の中で、ブルブルと身体を振るわせると、滝行を行うべく、目の前の壁へと歩き出した。
次第に身体が馴染んでいく。
僕が滝行を始める頃には、もう身体に馴染んでいた。
禅を組み、目を瞑る。
そして僕は……
ただ一点、伝説の勇者について考えることにした。
かつて魔王から人間を救った、救世主。
スカサア女王のことが好きで、白龍を従えていた勇者。
だけど、スカサア女王に気持ちを伝えていなかったところ、案外不器用なヤツだったのかも知れない。
そして、僕は今、その英雄の戦友たちと旅をしている。
戦友たちは、魔王の討伐後、別々の場所に預けられた。
しかし、人間たちは……
ドゥルガたちも、この戦いが終われば
僕が老いて死ねば
また戦争の火種にされるのかな?
『ペシッ』
またダミアンに叩かれる。
「いたんですか、ダミアンさん。」
「私のことは師匠と呼べ。ったく。言わんこっちゃない。」
「何も考えるな。お前は時空間魔術について考えているうちに、気にすることのない余計な邪念まで持ち始めたな。」
僕は深呼吸してから、師匠に訊いた。
「仮に僕が勇者だとして、魔王を倒した後のことを懸念することは不必要なのでしょうか? 魔王を倒して、人間たちを救う。それが勇者の責務であることはごもっともなのですが。」
「イーストランドの寺院で書籍を読んだな。」
「はい、仮にでもディアストの故郷ですから。彼について知っておこうとした聖職者がいる事は必然ですよ。」
「そんなことは、私にも分からん。」
ダミアンは、答えを聞かなければ、僕が集中できないであろうことを理解し、渋々と話し始めた。
「そんなことは私にも分からない。世界が今後どうなるかなんて。」
「私は世界の一部だ。お前も、いくら特別な存在だとしても、世界を構成する物質の一部でしかない。」
以前、ポート王からも同じようなことを言われたような気がする。
「だが、お前の武具を巡って人間たちが必ず戦争を始めるだろう。コレだけは言える。」
「二度同じ過ちを人類には起こさせない。」
「私が死んでも、お前が老いても、私の子孫が、仲間たちがそれを止めて見せる。」
「お前に魔王を倒す義務があるように、私たちにも、お前が守らなければならない世界を存続させる義務がある。」
「前だけ見てろアスィール。
「そして魔術の本質を掴め、アスィール。」
再び背中を叩かれる。
それから再び滝行に戻った僕は_______________
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