平等社会(ユートピア)

ぼっち・ちぇりー

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ファイル:5ネオ・リベリオン

天才コンビ

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 小子は俺の右手を自分の掌で抱えると、優しく撫でた。
「ごめん力、こんなことになるなら、私が__ 」
 俺はそれを左の鉄塊で優しく撫でた。
「悪い、しくじったわ。心配かけたな。」
 それから俺は公安の車を一台見つけると、それに乗り込む。
「病院!! 」
「お前は俺のかーちゃんか。」
 それから彼女を助手席に乗るように手招きする。
「俺のことは俺が一番よくわかっているよ。何も問題ない。魔法も問題なく発動するし、この義手は俺によく馴染む。それどころか、前の腕より反応がいい。」
 それは事実だった。
 この世界の義手は、脳にチップを埋め込み、無線で義手を操作するものがベターだ。
 だが、ロバスたちが俺に作ってくれたコレは……
 指一つ一つに、リアルな感覚がある。
 おそらくこの義手は、俺の切断された神経細胞一つ一つにに結合し、脳内の電気信号を直接切断面から受け取っている。
 つまり有線接続だ。
 今は切断された痛みすら感じない。
 生身の腕に近い状態だった。
 俺は車を出すと、真っ先に安田倫子の像のある場所へと向かった。
 小子も時間がないことを承知している。
 彼女は俺の行動を黙認していた。
「もし何かあったら、アナタを担いで逃げます。」
「お前に出来るかな。イテッ。」
「相変わらず上司に対しての礼儀作法がなってない。」
「っつたくよろしく頼みますよ。」
 車は光る粒子を巻き上げながら、メインストリートに出た。
 町の平穏が破られる。
 公安車両がスピード超過し、公道を走り抜けて行ったら、だれでもその異変に気が付く。
 だが、民衆たちは、やがてその異変を忘れると、元の生活に戻っていくのであった。
「この平穏な街、俺たちが守らないとな。」
「うん。」
 彼女は外の民衆たちを見ると、相槌をうった。
 表情は俺から見えない。
「もちろん奴らも裏社会で生きる人間も。」
 彼女は振り返った。
 難しい顔をして。
「俺はまだあきらめていない。彼らだってここに住む権利があるんだ。民衆を守るのが俺たちの仕事。そうだろ? 」
「どうやって? 」
「俺に任せろ。」
 もう答えは出ていた。俺の中で。蝠岡に対する答えが。
 それから二人とも無言になった。
 大兄弟助の居場所は未だ、つかめてはいない。
 まず俺たちがするべきことはリベリオンをすること。
 俺の中で答えは得ている。
 なぜ自由奔放な彼が柄でもないリーダーなんて始めたか、こんなに必死に臨時政府に歯向かうことに固執するのか、憎きビッグ・ファーザーと手を組んでまで、俺たちの前に立ちはだかるのか。
「愛だ。」
 __________________
 思わず声に出していた。
 助手席の上司様がキョトンとしている。
 俺は咳払いした。
 そして隙を見せたことに公開した。
「今なんて? 」
 彼女は文字通り上目遣いでこちらの目をじっと見てくる。思わず目を背けてしまった。
 刹那、俺と彼女は感じ取った『殺意』で戦闘態勢に切り替わる。」
 ボンネットに見慣れた二人の女性が、ガニ股で飛び乗った。
「品のないやつらだ。」
 俺たちが車から飛び出すのとほぼ同時に車は真っ二つに切断されて、お釈迦になった。
「俺は、ストレスからか、後頭部を掻いた。」
「禿げるわよ。」
 バディー様のありがたい忠告を聞き入れて構えた。
「はいはい、以後気を付けます。」
「また会ったわね二人とも。」
 最初に口を開いたのは、ベルフェさんのほうであった。
「出来れば、こんなで出会い方はしたくなかったですけどね。」
 小子は小さくうなずいた。
「アンタも物好きよね、そんな堅苦しいところにいつまでも居座って。こっちのほうがアナタにあっていると思うけど。今、入れば三食昼寝付き、臨時収入もあるわよ。」
「断る。」
 自分でも驚くほどの即答。
 さすがに、すまし顔の西郷も表情を険悪なものへと変えた。
「ちょっと迷ってもいいんじゃない? まあ? アナタには金川から抹殺命令が出てるから。もとよりそんなうまい話なんて存在しないんだけどネ。」
 俺はそれを鼻で笑って見せた。
 西郷は負けじと俺の弱点を探す。
 ベルフェさんは無言で、それでもって横目で彼女をじっと見ていた。
「公安の犬なんて何が楽しいのかしら。あなたは、能力者でそれでもって能力者なのに。」
 それから小子を見る。
「フッそこの小娘にたぶらかされたのね。もう九条姐さんはいなくなったわけだし。」
 小子の体がこわばる。
「九条姐さんだったり、そこのチビだったり忙しいはねアンタの股間は。」
 小子は怒りのあまりか、彼女たちに突っ込もうとしている。
 彼女を冷静にさせなければならない。
「ぐうのねもでないよ。」
 小子は一瞬キョトンとしてから、どうやら怒りの矛先は俺に向いたようで、俺の視界が暗転した。
「最っっっっ低。」
 俺は仰向けに倒れ、後頭部を強打してから、上半身だけ起き上がる。
「けが人に対して、その扱いはねえだろう。」
「ニャロオオオオ。」
 しびれを切らしたのは西郷の方だ。
 俺はその攻撃をバックステップで避ける。
「これだから男は。姐さんがどんな思いでお前を見ていたのかしらないのかぁ。」
「そんなもん知るわけがねえだろうがよ。」
 当然だ。彼女は俺の気持ちなんて知る由がなかった。それもしょうがないことだ。
 だって九条念という人間と北条力という人間は、違う人間なのだから。
 小子が、西郷に一撃を加えようとしている。ベルフェさんが、西郷にフォローを入れようとしている。
 間に無理やり割り込むつもりだ。
 おれは、小子を護るために、右手に天岩流を込めた。



 
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