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18話 【待ち遠しい】

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左右に首を振る扇風機が

一定の間隔で私の背中に優しい風を送ってくれる。

家に帰って金曜日に出された宿題を済ませた私は

あのラジオ番組に投稿するために勉強机の上でハガキにメッセージを書いた。 

もちろんお母さんやお父さんに相談することも考えたけど、

やっぱりラジオがいいかなって。

あのラジオ番組が私とケンタを繋いでくれたから。

ハガキを見直す。

よし、これで出そう。

シンプルな質問。

ラジオネームは……ヒミツ。

楽しみだなぁ

早く読んでくれないかなぁ。

~~~

「そのような地形の海岸を"リアス式海岸"と呼び……」

今日は月曜日。

社会の授業は好きだけど、今日は集中できそうにない。

なんか土日が凄く長かった気がする。

早くお昼休みにならないかなぁ。

そんなことを考えながら教科書から目を離すと

向かい側の席に座るケンタと視線がぶつかった。

すぐに目をそらすケンタ。

私も慌てて教科書を凝視した。

恥ずかしい!

ずっとケンタのこと見てたわけじゃないんだよ?

本当にたまたまだからね!?

誤解してなきゃいいけど。


次の瞬間、

「七瀬。 教科書、逆だぞ。」

町田先生が呆れた口調で笑った。

教室にはドッと笑い声が湧く。

やめてよ町田先生!

恥ずかしいから!

その時、ケンタの方を見ると

ケンタはニヤニヤしながら何か口パクした。

私はすぐに"バカ"って言ってることに気付いた。

まじムカつく!


私も"バカ"って口パクし返した。
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