22 / 37
第22話 夏祭り準備
仁志がバイトから帰ってきた後、郁人に電話をかける。
「なあ。飯塚。ちょっといいか?」
「ん? なに?」
「あのさ……今度、夏祭りがあるだろ? それに一緒に行かないかって思ってさ」
仁志は勇気を出して誘ってみた。
「大丈夫? その日バイトとか忙しいんじゃないの?」
「ああ。一応バイトは入っているけど夕方までにはあがれるように調整してもらった」
「そうなんだ。僕も夕方からは空いているから一緒に行けるね」
郁人と一緒に行けることが確定して仁志はガッツポーズを決めた。
「そうだ。ねえ、風見君。どうせなら一緒に浴衣を着ていこうよ」
「浴衣? まあ良いけど。俺、普段こういう祭りとかでも浴衣を着ていかないタイプなんだよな。だから何を選んでいいのか全然わからない」
仁志が中学時代、希子と夏祭りでデートをした時も仁志は私服だった。希子は割と上品な感じの浴衣を着ておめかしをしていた記憶がある。
「そっか。なに着てきていいのかわからないんだ。それじゃあ、僕が選んであげるね」
電話口からでもわかる郁人のにやついた顔。それを頭に浮かべた仁志は嫌な予感がした。
「まさか、女物の浴衣とか言うんじゃないだろうな」
「大丈夫だよ。ちゃんと男性サイズのものだから」
「サイズの話はしてねえ! デザインの話をしてるんだよ!」
郁人の楽し気な声色は仁志にとっては大変かわいらしく聞こえるのであるが、それと同時に今回ばかりは嫌な予感しかしない。
「大丈夫。風見君も沼に入ろ?」
「なんの沼だよ! 嫌だよ!」
郁人がどっぷりと浸かりつつある女装沼。郁人も仁志をそこに沈めようと画策をしている。
「ふーん。そっか。もし、女装してくれたらいいことしてあげようと思ったのにな」
郁人がわざとらしく声色を変えて仁志を挑発している。仁志もその挑発に乗りそうになり、気持ちが震えてしまう。
いいこと。それは、約束していた通り郁人の上下の下着を見せてくれるとでも言うのだろうか。
「で、でも。夏祭りだろ。クラスのやつらに見られたらどうするんだよ」
夏祭りは地域住民も参加する。当然仁志たちのクラスメイトもそれに該当する。
「大丈夫だよ。そう簡単にバレやしないよ。多分」
「多分って……少なくとも俺はお前の女装には気づいたからな」
仁志は、すぐにさなえが郁人であると見抜いた前例があるのでどうしても知り合いに女装姿を見られるのは抵抗があった。
「まあ、あの時は僕の女装メイクも完璧じゃなかったけど、今はちゃんとメイク技術も磨いて本人だと気づかれないようにできるから」
謎の自信に溢れている郁人。それに対して仁志はいくらか呆れてしまう。
「なんだよそれ。とにかく俺は……」
「黒と白どっちにしよっかなー」
「……!」
郁人はなにかの色に迷っている様子である。仁志はそれを下着の色だと解釈して色々といけない妄想をしてしまう。
「あ、この花柄のやつかわいいね。へー。こんなかわいい柄もあるんだ。おお、こっちはセクシー系かな」
「くっ……!」
郁人の言葉1つ1つが仁志を誘惑する。健全な男子高校生にこの誘惑は抗うことはできるのだろうか。
「こんな大胆なものもあるんだ。すごいなー」
「わ、わかったよ。ちょっとだけな。あんまり人が多くいるところはできるだけ避けるんだったら、別に女装しても良い」
仁志はついに郁人に言質を与えてしまった。郁人はにやっと笑った。
「え。本当。やったー! んでね。今ね、丁度風見君の合う浴衣のデザインを見てたんだ」
「浴衣の話かよ! しかも、俺の!?」
完全に郁人の策略にはめられてしまった。変な想像をして、無駄に言質を与えてしまった自分を仁志は恥じてしまう。
「くそ、いっそのこと殺してくれ」
「あはは。大丈夫だよ。風見君。人間そんな簡単に死なないから」
こうして、仁志は郁人と一緒に女装して夏祭りデートに行くことになった。男子が人生の中で恐らく1回も着ることがない。女子向けのかわいらしいデザインの浴衣を着ることにもなった。
◇
「はぁー……」
仁志はバイトが始まる前、更衣室にてため息をつく。
「どうした? 風見君。そんなため息ついて。今日は楽しい夏祭りの日だよ。シフトを調整してあんなに楽しみにしてたじゃないか」
店長は元気がない様子の仁志を心配している。
「いや、まあ。その楽しみと言えば楽しみなんですけどね。まあ、その……同時にちょっと不安なこともあるというか、何事もなく過ぎればいいかなって」
「なにそれ? なにか悩みでもあるなら聞くけど」
「いえ、店長に話してもしょうがないことなんで……」
と言うか、女装して夏祭りに行くはめになったとか言えるはずがない。
「あはは、なんかひどい言われようだね。まあ、高校生の悩みなんて結構複雑で大人でも簡単に解決できるもんじゃないか」
「そうですねー」
仁志は生返事で返す。
「もしかして、色恋沙汰とか?」
「まあ、近いとだけ言っておきます」
「青春だねー」
店長は既に過ぎ去ってしまった青春の日々に想いを馳せた。ついでに過ぎ去ったのは青春だけではない。若い頃はフサフサだった毛髪もである。
「まあ、落ち込んでいてもしょうがないっすね。流石にバイト中にこんな辛気臭い顔するわけにはいかないんで気合入れてがんばります」
「お、いいねえ。期待しているよ」
辛気臭い顔している店員がいるコンビニには客が寄り付かない。仁志も心を入れ替えてバイトに精を出すことにした。
一方で、同じく本日のバイトがあるさなえは……
「さなえちゃん。なにかいいことあったの?」
バイトの休憩時間中、せりながキャストの控室にて話しかけてきた。
「あ、わかりますか? 今日は夏祭りでデートなんですよ」
「えー。いいなー。デート。わたしもデート行きたーい。でも、相手がいないんだよねえ」
せりなは髪の毛先をくるくると回して寂しそうな顔をしている。
「それでね。二人揃ってかわいい浴衣を着ていこうと思っているんです」
「えー。そうなんだ。え? デート相手って女の子?」
男の娘のデート相手の性別。それは決まった正解がないのかもしれない。そんなセクシュアリティなのである。
「いいえ。男子ですよ」
「男子なんだ。じゃあ、その子も結構かわいい感じ?」
「んー。どうかなあ。一般的なかわいい系とは違うかも? でも、メイクをすれば化けるタイプの顔立ちではありましたよ」
さなえは仁志をメイクした時のことを思い返してみる。かわいい系というよりかは美人系に近い顔立ちとなっていた。
美人は男顔に近いという俗説もあるが、まさに仁志はそういうタイプの美人になる素質を秘めていた。
「へー。そうなんだ。じゃあ、ウチの店にスカウトとかは?」
「嫌です。彼が他のお客様に接客するのはわたしが耐えられません」
さなえの独占欲がここで発動した。仁志が誰かに媚びを売るような接客を間近で見るのは、さなえにとっては耐えられない。
だから、さなえは仁志をこの店にスカウトすることはなかった。
「あはは。その彼君はさなえちゃんに愛されてるね。ねえ、もし、さなえちゃんが彼にこの店やめて欲しいって言われたらやめられる?」
「え。そ、それは……」
せりなの質問にさなえは固まってしまった。さなえは海外留学のためにお金を溜めている。そのために時給が高いこのバイトを選んでいるのである。
仁志もその夢を知っている。だから、店をやめてくれなんて言わないとは思うけれど、それでももし言われた場合、さなえは仁志の感情を取るのか、それとも自分の夢を取るのか。
その究極の二択を迫られることになってしまう。
「ごめんごめん。ちょっと意地悪な質問だったね。そこまで悩むとは思わなかったよ」
「もう、やめてくださいよー」
そんな話題でも盛り上がっていた控室。郁人と仁志のバイトあがりの時間まで刻一刻と確実に近づいていった。
「なあ。飯塚。ちょっといいか?」
「ん? なに?」
「あのさ……今度、夏祭りがあるだろ? それに一緒に行かないかって思ってさ」
仁志は勇気を出して誘ってみた。
「大丈夫? その日バイトとか忙しいんじゃないの?」
「ああ。一応バイトは入っているけど夕方までにはあがれるように調整してもらった」
「そうなんだ。僕も夕方からは空いているから一緒に行けるね」
郁人と一緒に行けることが確定して仁志はガッツポーズを決めた。
「そうだ。ねえ、風見君。どうせなら一緒に浴衣を着ていこうよ」
「浴衣? まあ良いけど。俺、普段こういう祭りとかでも浴衣を着ていかないタイプなんだよな。だから何を選んでいいのか全然わからない」
仁志が中学時代、希子と夏祭りでデートをした時も仁志は私服だった。希子は割と上品な感じの浴衣を着ておめかしをしていた記憶がある。
「そっか。なに着てきていいのかわからないんだ。それじゃあ、僕が選んであげるね」
電話口からでもわかる郁人のにやついた顔。それを頭に浮かべた仁志は嫌な予感がした。
「まさか、女物の浴衣とか言うんじゃないだろうな」
「大丈夫だよ。ちゃんと男性サイズのものだから」
「サイズの話はしてねえ! デザインの話をしてるんだよ!」
郁人の楽し気な声色は仁志にとっては大変かわいらしく聞こえるのであるが、それと同時に今回ばかりは嫌な予感しかしない。
「大丈夫。風見君も沼に入ろ?」
「なんの沼だよ! 嫌だよ!」
郁人がどっぷりと浸かりつつある女装沼。郁人も仁志をそこに沈めようと画策をしている。
「ふーん。そっか。もし、女装してくれたらいいことしてあげようと思ったのにな」
郁人がわざとらしく声色を変えて仁志を挑発している。仁志もその挑発に乗りそうになり、気持ちが震えてしまう。
いいこと。それは、約束していた通り郁人の上下の下着を見せてくれるとでも言うのだろうか。
「で、でも。夏祭りだろ。クラスのやつらに見られたらどうするんだよ」
夏祭りは地域住民も参加する。当然仁志たちのクラスメイトもそれに該当する。
「大丈夫だよ。そう簡単にバレやしないよ。多分」
「多分って……少なくとも俺はお前の女装には気づいたからな」
仁志は、すぐにさなえが郁人であると見抜いた前例があるのでどうしても知り合いに女装姿を見られるのは抵抗があった。
「まあ、あの時は僕の女装メイクも完璧じゃなかったけど、今はちゃんとメイク技術も磨いて本人だと気づかれないようにできるから」
謎の自信に溢れている郁人。それに対して仁志はいくらか呆れてしまう。
「なんだよそれ。とにかく俺は……」
「黒と白どっちにしよっかなー」
「……!」
郁人はなにかの色に迷っている様子である。仁志はそれを下着の色だと解釈して色々といけない妄想をしてしまう。
「あ、この花柄のやつかわいいね。へー。こんなかわいい柄もあるんだ。おお、こっちはセクシー系かな」
「くっ……!」
郁人の言葉1つ1つが仁志を誘惑する。健全な男子高校生にこの誘惑は抗うことはできるのだろうか。
「こんな大胆なものもあるんだ。すごいなー」
「わ、わかったよ。ちょっとだけな。あんまり人が多くいるところはできるだけ避けるんだったら、別に女装しても良い」
仁志はついに郁人に言質を与えてしまった。郁人はにやっと笑った。
「え。本当。やったー! んでね。今ね、丁度風見君の合う浴衣のデザインを見てたんだ」
「浴衣の話かよ! しかも、俺の!?」
完全に郁人の策略にはめられてしまった。変な想像をして、無駄に言質を与えてしまった自分を仁志は恥じてしまう。
「くそ、いっそのこと殺してくれ」
「あはは。大丈夫だよ。風見君。人間そんな簡単に死なないから」
こうして、仁志は郁人と一緒に女装して夏祭りデートに行くことになった。男子が人生の中で恐らく1回も着ることがない。女子向けのかわいらしいデザインの浴衣を着ることにもなった。
◇
「はぁー……」
仁志はバイトが始まる前、更衣室にてため息をつく。
「どうした? 風見君。そんなため息ついて。今日は楽しい夏祭りの日だよ。シフトを調整してあんなに楽しみにしてたじゃないか」
店長は元気がない様子の仁志を心配している。
「いや、まあ。その楽しみと言えば楽しみなんですけどね。まあ、その……同時にちょっと不安なこともあるというか、何事もなく過ぎればいいかなって」
「なにそれ? なにか悩みでもあるなら聞くけど」
「いえ、店長に話してもしょうがないことなんで……」
と言うか、女装して夏祭りに行くはめになったとか言えるはずがない。
「あはは、なんかひどい言われようだね。まあ、高校生の悩みなんて結構複雑で大人でも簡単に解決できるもんじゃないか」
「そうですねー」
仁志は生返事で返す。
「もしかして、色恋沙汰とか?」
「まあ、近いとだけ言っておきます」
「青春だねー」
店長は既に過ぎ去ってしまった青春の日々に想いを馳せた。ついでに過ぎ去ったのは青春だけではない。若い頃はフサフサだった毛髪もである。
「まあ、落ち込んでいてもしょうがないっすね。流石にバイト中にこんな辛気臭い顔するわけにはいかないんで気合入れてがんばります」
「お、いいねえ。期待しているよ」
辛気臭い顔している店員がいるコンビニには客が寄り付かない。仁志も心を入れ替えてバイトに精を出すことにした。
一方で、同じく本日のバイトがあるさなえは……
「さなえちゃん。なにかいいことあったの?」
バイトの休憩時間中、せりながキャストの控室にて話しかけてきた。
「あ、わかりますか? 今日は夏祭りでデートなんですよ」
「えー。いいなー。デート。わたしもデート行きたーい。でも、相手がいないんだよねえ」
せりなは髪の毛先をくるくると回して寂しそうな顔をしている。
「それでね。二人揃ってかわいい浴衣を着ていこうと思っているんです」
「えー。そうなんだ。え? デート相手って女の子?」
男の娘のデート相手の性別。それは決まった正解がないのかもしれない。そんなセクシュアリティなのである。
「いいえ。男子ですよ」
「男子なんだ。じゃあ、その子も結構かわいい感じ?」
「んー。どうかなあ。一般的なかわいい系とは違うかも? でも、メイクをすれば化けるタイプの顔立ちではありましたよ」
さなえは仁志をメイクした時のことを思い返してみる。かわいい系というよりかは美人系に近い顔立ちとなっていた。
美人は男顔に近いという俗説もあるが、まさに仁志はそういうタイプの美人になる素質を秘めていた。
「へー。そうなんだ。じゃあ、ウチの店にスカウトとかは?」
「嫌です。彼が他のお客様に接客するのはわたしが耐えられません」
さなえの独占欲がここで発動した。仁志が誰かに媚びを売るような接客を間近で見るのは、さなえにとっては耐えられない。
だから、さなえは仁志をこの店にスカウトすることはなかった。
「あはは。その彼君はさなえちゃんに愛されてるね。ねえ、もし、さなえちゃんが彼にこの店やめて欲しいって言われたらやめられる?」
「え。そ、それは……」
せりなの質問にさなえは固まってしまった。さなえは海外留学のためにお金を溜めている。そのために時給が高いこのバイトを選んでいるのである。
仁志もその夢を知っている。だから、店をやめてくれなんて言わないとは思うけれど、それでももし言われた場合、さなえは仁志の感情を取るのか、それとも自分の夢を取るのか。
その究極の二択を迫られることになってしまう。
「ごめんごめん。ちょっと意地悪な質問だったね。そこまで悩むとは思わなかったよ」
「もう、やめてくださいよー」
そんな話題でも盛り上がっていた控室。郁人と仁志のバイトあがりの時間まで刻一刻と確実に近づいていった。
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
【短編集】こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。