今どぉしようかなぁと悩んでいるあなたに参考になればいいけど PART2

ねこよう

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2章

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 飲み屋の引き戸を開けて、賑わっている店内に入ると、
むわっと人いきれがした。
  
  席は半分くらいが埋まっていて、お客はみんなサラリーマンやOLだ。
 店の奥で座ってたおばちゃんが
 「いらっしゃいませ。三名様?」と聞いてくるのを制して
 「お客じゃないんですよ。
  あの、僕達、劇団いて座というお芝居のアマチュア劇団なんですけど、
  今度公演がありまして、このお店の前の所にポスター貼って頂けないかなと
  思いまして・・・」
 と恐縮しながら言ってみる。
 
 反応はいろいろだ。
 「ああいいですよ」って簡単に言ってくれたり、
 「ちょっとなぁ・・・」と渋い反応だったり、
 わざわざ店の前に出て「ここがいいかしらね」って一緒に考えてくれたり。
 これは、いて座の「ポスター貼り周り」だ。
 公演1か月前くらいに、稽古の時間を一回分潰して、劇団員総出で飲食店の
固まった地域にチームで行く。
 そして宣伝用のB3のポスターをお店の中や外に貼ってくれませんかと
お願いして回るのだ。
 横浜駅西口や関内や伊勢佐木町、そして今僕が来ている野毛の飲み屋街に――。
 「野毛は、年に一度、大道芸を開催しているくらいだから、
  芝居とかそういう事に関しては優しいんですよ。」
 って松岡さんが言っていた。
 野毛の大道芸は、商店街にピエロやパントマイムや手品なんかの人が
集まって、路上で芸をする。
 お客さんはそれを見た後で投げ銭をする。
 僕も何度か見に来たことがあるが、いろんなものが見れて
楽しいイベントなのだ。
 
 「ああいつものね。いいわよ。どうぞぉ」
 と、この店のおばちゃんは言ってくれた。
 もう何年も続けてきたから、いつもOKな店からすると
「またいて座の人がポスター貼りに来たのね」って感じで迎えてくれる。
 ポスターを貼らせてくれたお店はリスト表に書いておいて、
また次回の公演のポスター貼りで声をかけさせてもらう。
 正直言って、営業中のお店に飛び込んで「ポスター貼らせてください」
なんてお願いして回るなんて、恥ずかしいし、断られた時の
ショックも大きい。
 俺は演劇をやりたくて入ったのに、なんでこんな事しなきゃ
ならないんだよ?って最初は思った。
 芝居は儲からない。ってのは事実だ。
 公演をやる時に、役者はお客を呼べる。
 「私出るのよ」「俺出るんだ」だから観に来てねって。
 ただそういうお客さんは、その知り合いが役者で出てない時、もしくは
その役者が劇団を辞めたら、観には来なくなる。
 それだと結局役者の周囲の人しか客として来なくなってしまう。
田丸さんは、そういうお客ばかりでなくて、少しでも
「いて座という劇団が好きで観に来た」というお客さんを増やしたい。
 「いて座ファン」が増えれば観客動員数も安定してきて、
劇団運営の黒字に繋がる――と、こういう宣伝活動にも昔から時間と労力を
割いているそうだ。
 こうやってポスターを貼れば、それを見た人が「ちょっと観てみるか」
と観に来てくれてファンになってくれるかもしれないし、
劇団員がチケットを知り合いに買ってくれないか聞いてみる時でも
 「あ、この公演のポスター見たことある」って言われて売りやすくなるかも
しれないのだ。
 そう言えば僕もいて座を知ったきっかけは、街中に貼ってあった
公演ポスターで、僕の好きな作家の作品を上演するのだと知ったからだ。
 ポスターを貼ってくれたお店には、「良かったらどうぞ」とお礼代わりに
公演の招待券を渡している。
 ひょっとしたら、そんなものは僕達が出ていったらすぐゴミ箱に投げられて
しまうかもしれない。
 だが、それを使って観てくれる可能性もゼロじゃないのだ。
 ポスターだって、貼ってあってもどのくらいの人が目にとめるかは分からない。
誰にも注目されないポスターだってきっとある。
 なんだか、ポスター貼りって、とても地道だけど報われたかどうかが
はっきり分からない作業だなぁ。
 と、ぼんやり考えながらお店を回っていた。
 
 リストにあったお店を全部回って、少しだけど新規でお願いして貼ってくれた
お店を開拓したらポスター貼りは終わる。終わったら、稽古場の田丸さんに、
終わりましたと電話を入れて、何件貼れたか報告すると、
 「もうちょっと行けたんじゃないのか? まあしょうがない。お疲れさん。」
という不満丸出しのねぎらいの言葉が返ってくる。
 そしたら、飲みに行こう。となるのが芝居人の常みたいだ。
 
 僕と松岡さんと美代子さんの三人は、「今度はお客として来ました」
と言いながら、さっきポスターを貼ってくれた飲み店さんの暖簾をくぐった。
 「どうだい? お寿司屋さんは?」
 「あんまりうまくいかないっスねぇ。」
 「でも奥村君のお寿司屋さん、元気があっていいわよね?」
 「そうっすか?」
 「まあ元気だけだけどね」そう言って美代子さんはホホホと笑った。
 「芝居ってのは、難しいからなぁ」松岡さんはしみじみと話す。
 「どうやったら演技ってうまくなるんですか?」
 「それは・・・ねえ・・・」
 「ああ・・・」
 僕のド直球な質問に、松岡さんも美代子さんも口を濁してしまった。
 「だいたい、田丸さんはあんなに言うけど、演技とか上手いんですか?」
 松岡さんはハハハと笑うとちょっと前かがみになって、
 「ここだけの話ね、5年くらい前に田丸さんがちょい役で出演したことが
  あんのよ」
 「アアあったね、あれって「映画通りの天使」だったよね?」
 「そうそれ。出てきて、「アレ?カバンが無いぞ!どこ行ったんだ?」とかって
  セリフ一言しか無かったんだけど、お世辞にもうまいとは言えなかったなぁ」
 「アレはひどかったもん」思い出して苦い顔をする美代子さん。
 「でもさ、田丸さんが演出だから、演出がイイって言ったらみんなダメだって
  言えないんですよ。」
 「じゃあ、演出する人がみんな演技うまいってわけじゃあ・・・」
 「無いんじゃないかなあ。
  映画監督さんだってさ、役者出身で監督やる人もいるけど、
  有名な監督は演技なんかしたことないんじゃないの?」
 確かにそうだ。黒澤明が名優だったなんて話は聞いたこと無い。
 まあ黒澤監督が役者として撮影に来てしまったら、その映画の監督は
緊張しっぱなしだろうけど。
 「そう言えば、奥村君はゆくゆくは演出の方になりたいんでしょ?」
 と美代子さんが聞いてきた。
 「そうっスね。まぁ、今はそんな事言ってられないですけど。」
 寿司屋が出来てないのに演出やりたいってのは、こっ恥ずかしい。
 「奥村君の演出した舞台か・・・見てみたいなぁ。マアその頃には我々が
  おっ死んじゃってるかもしれないから、
  早くなってもらわないと困っちゃうけど。」
 「そうよ。松ちゃんのお通夜と葬式は奥村君に演出してもらわないと。」
 「オレもう死んでんの? ひでぇなぁ」
 フフフと美代子さんが笑った。
 
 それにしても、こんなペンキ屋のおじさんとパートのおばちゃんと
深夜の居酒屋の兄ちゃんが三人で飲んでいる。
 普通の生活してたらきっと会って飲みに行くなんて無かった三人だ。
 たぶん、芝居に関わらなかったら出会わなかった人達なんだろう。
 
 芝居をやってるっていう共有感なのか、同じ事に嵌まってしまった者同士の
慰みなのか―。
 

 「ブゎカぁ。お前何やってんだ?」
 笠野さんは、あっと言う間に僕の事をオマエ呼ばわりだ。
 今は釘を打つ方向を間違えたからと怒鳴ってきた。
 「こっちから打っちゃうと、今度ソレが付くのに、釘が邪魔して
  繋がらねえじゃねえか」
 いや、ソレが付くなんてあんた言ってなかったろぉ? 
 そうなら釘打つ前に言っとけばいいじゃないかよ?
 とにかくいちいち言葉が足りないおっさんだ。
 昨日の土曜日は、僕が釘を打っていたが、何回ナグリで叩いても全然釘が
木材に入っていかない。
 あれぇ何で?と思わず大きな声で言ってしまうと、笠野さんが
 「オメエそこは木のふしだろ!」
 「そこ、ふしだよ」
 「ふしだろ。何やってんだ!」
 アレ? 最初の声は笠野さんで、二番目は増井さん。
 じゃあ三番目は?と思って顔を上げたら、座ってる田丸さんがタバコ持って
こっちを睨んでやがる。
 あまりにも目の前で怒られるものだから、イライラしてきたみたいだ。
 
 怒りは伝染するのか。
 
 言っておくけど、
「こういう部分は木の節だから、釘打っても入らないぞ」なんて一度だって
教えてもらった覚えはない。
 そうやって怒鳴ってばかりいる笠野さんは、装置の作成作業中、座って
指示を出して怒っているだけなのか? 
 答えは否だ。
 特に、装置の重要な部分を作成する時になると、増井さんにさえ任せないで、
自分で黙々とノコやナグリで作業し始める。
 そんな感じで黙ってナグリを振り上げている笠野さんを見ていると、
店のマスターの加山さんを思い出した。

 加山さんは、いろんな飲食店で修業してきて、あの店をやってる。
 店では焼き鳥や簡単な炒め物のメニューなんかは僕や自分の奥さんに任せる事は
あるけど、刺身の盛り合わせの注文が入ると絶対に僕達には任せず、
最初から最後まで自分で皿の上を作っていく。

 「やっぱり、中トロとかカンパチを切ってみて、その色合いとか状態を見ないと
  盛り付けられないんだよ。それはよ、洋平ちゃんがどんなに料理の腕上げたと
  しても、俺のセンスっていうか感性だから、伝えられないよな。」
 「それは、あれですか? 料理人のプライドっていうものですか?」
 「うーん・・・そりゃあ、下手な物出したら、俺の腕が落ちたって言われるから、
  それもある。でもそれだけじゃないんだよな。こうこうこうやってくれとか
  ああやってくれとか、そういうのだけじゃあ伝わらないものがあるんだよなぁ」
 
 言葉だけでは簡単に伝えられない大事なものを持っている人を、
職人と呼ぶのかもしれない。
 笠野さんも、人への説明は下手だしすぐ怒るしだけど、お客さんに見せる物を
俺は作っているんだぞっていう「裏方の心意気」みたいなものは感じられた。
 

 セリフとの闘いは続いていた。
 稽古中に出番が来て、すし桶を持ってピンポン押して、
船井さんに渡して去ると、
 「お寿司屋さんさぁ、もうその言い方じゃなくて、ちょっと違った言い方とか
  工夫して出来ないか考えてみな」
 と田丸さんに新たな課題を出された。
 さあ困った。「お待たせしました」はどう読んでも「お待たせしました」だし、
「ありがとうございました」は「ありがとうございました」だ。
  
 もうその音とリズムで読んでいるので、違う言い方なんてどう転んでも
出てこない。
 頭の中が「このセリフはこういう言い方しか無い」という概念で固まり、
一つの言い方の音程やリズムやテンポしか出なくなってしまっていた。
 脚本には「このセリフはこの音程とテンポやリズムで喋ってください」
 と楽譜のように書かれてはいないのだが、まるでそれしか正解がないかのような
役者の勝手な思いこみだ―。

 「どう? 寿司屋は順調なの?」と湯座さんがハイライトをくわえながら
聞いてきた。
 「順調じゃないッスよ。喋るたびにダメ出しばかりだから、
  たまにダメが出ないとなにかおかしいぞ?って思うようになりましたヨ」
 「あー、ダメ出し中毒だね」
 「そんなのあるんですか?」
 「無いよ。今考えた」
 「なんだそりゃ・・・なんか、見ててアドバイスとかありますか?」
 「エー?そんなの自分で考えなよ」 
 「冷たいっスねぇ。トラップの時に一緒に苦しんだじゃないですかぁ?」
 「アタシ今回照明助手で、役者じゃないもーん」
 「ウワひでえ。後輩見捨てた」
 「ほら、がんばって明かり当てるから、舞台上でがんばってネ」
 「面白がってますヨね?」
 「そりゃそうだよ。苦しんでいる役者を見るのが、裏方の楽しみだもん」
 優しい先輩ばっかりだ。
 結局自分でどうにかするしかないのか。
 
 
 そう言えば、川村さんも今回初舞台という事で、
「主人公の娘婿の会社の後輩役」という、聞くだけであまり重要じゃないなと
分かるような役をもらっていた。
 出るのは1シーンで5個ほどのセリフがあるのだが、やはり同じように
ダメ出しをくらっている。
 こうなるともう底辺のライバル意識が芽生えてきて、いつからか、
川村さんと僕のシーンでどちらがダメ出しが多かったのかを数えるように
なっていた。

 川村さんの出演シーンをみていると心の中で
 「あれ?今の「僕もう時間なんで帰らせて頂きます」ってのは力み過ぎ
  じゃないの?何で止めないの?田丸さん聞いてた?・・・
  あー、そうこうしているうちに「僕本当に帰りますので」って言いだし
  ちゃったじゃんか。ヤバイヤバイ、もうシーンが終わっちゃう。
  ノーダメ出しで帰らせていいの?・・・
  オ、止めた?と思ったら女の子のセリフの方かよ! ほらほらほら、
  あの歩き方でいいの田丸さん?
  見てる?・・・あー目つぶってんのか・・・」
 
 そんなことしてる暇があったら、セリフの言い方考えろって感がある。
 こんな不毛な行為を脳内でしていながらも、セリフをもらった同じ初舞台って
事で、川村さんとは同レベル意識みたいなものが働いてあれこれと話すように
なっていった。

 ある日、川村さんが「あのさー」と、こんなことを言い出した。
 「俺と奥村ってさ、ちょっとしか出ないわけじゃん。チョイ役だよね。
  そのちょっとの出番で失敗したら、アイツ失敗したぞって、
  それしかお客さんに残んなくない?」
 なるほど言われてみると確かにそうだ。
 「セリフとか出番たくさんあるとさ、一個のセリフ失敗してもまた次で
  挽回できる可能性もあるわけじゃん。
  でも出番少ないと、セリフ覚えるの少なくて確かに楽なんだけど、
  そのセリフ失敗するとものすごくデカくない?・・・そう考えるとさ、
  映画とか舞台とかで脇役ばっかで何十年もやってる役者って、
  実は一番スゴイ役者なんじゃないの?とかオレ思ったよ。」
 そうか・・・僕も映画観るときは、ついつい監督や主役やらの名前で面白そうか
判断してしまう。
 でも、地味にちょっとの役で出演している役者を特に気にしてはいなかった。

 役者=主役やスターが一番スゴイ。って単純に考えていたけど、
実は目立たなくても演技力がスゴイ人がたくさんいたし、そういう人達が
映画やテレビや演劇の世界を支えた部分ってのは、僕が思っていたよりも
大きいのかもしれない。
 
 ラスト、「群衆の中で親友を肩車する船井さん」というシーンとなるのだが、
その後ろの壇上に、それまでの登場人物が横に並んで「群衆」として声を出したり
「家族」として船井さんに声をかけたりする。
 僕は「山野井正二、ばんざーいばんざーい」と群衆として大声を出す役だ。
 ここはなんとか脇役として爪痕を残さないと!と意気込んだ僕は考えた。
 そして、このシーンで群衆としてパントマイムで動き続けてみることにした。
 船井さんがセリフを言ってる時も、一人だけ「群衆」として大声を出す
動きをしたり、出征する兵隊さんに大きく手を振ったりしてみたのだ。
 前から観ると、センターにいる船井さんと動く僕との二元演技となる――
 「これはすごい事考え付いたな。オレって天才か?」とまで思っていた。
 稽古中に黙ってその動きをやり出したのだが、特に田丸さんは何も言わずに
流している。
ああこれはもう「奥村面白い事考えたな」くらいは思ってるんだ、と調子に乗って、
ラストシーンの稽古の時は常にその動きをしていた。


  そうして、本番一週間前の総稽古を迎えた。
 どの役者も本番と同じ衣装を着て、稽古場にも少し緊張した空気が流れる。
 総稽古は、本当に稽古としてのラスト。であると同時に、
この稽古場で「きれいな口紅」の稽古をする最後の日。だ。
 もうここでこの白衣を着て、寿司屋のセリフを言う事は無いんだな―。
そう考えると既に寂しさを感じたりしてしまう。
 「トラップワイフ」の時に吉田さんが言っていた寂しさを、ちょっとだけ
分かった気がした。

 朝から田丸さんが気になる部分をいつものように稽古して、
夕方からダメ出し無しの一発通し総稽古が始まる―。

 まあセリフがスムーズに流れない場面がちょこっとあるくらいで、
特にトラブルとかは起きずに総稽古は流れていった。
 もうよっぽどの事・・・例えば役者が意識失って倒れるとか、そういう事が
起きない限り、止められないからだ。

 そしてラスト・・・僕はいつものように、群衆としてパントマイムの動きを
していた。
 ただいつもの稽古と違っていたのは、田丸さんが目を開けて観ていたことだ。
 
 総稽古が終わると、みんなが田丸さんと舞台監督に対面して丸くなる。
 「総稽古お疲れ様です。まあちょっとがっかりした部分もあるけどよ・・・」
 田丸さんが話し始めた。あそこが気になった。とか、あのシーンがちょっと
出来ていなかった。とか、いつも通りのダメ出しが続く。
 「まあもう稽古出来ないから、
  後は本番に向けて、各自風邪とかひかないように注意して・・・」
 話し終えそうな雰囲気になってきた時に「あそうだ」と何かを想いついた
田丸さんは、突然僕の方に目を向けて
 「寿司屋さん。あんた、ラストのあの動き、あれダメだよ。
  動かないでじっとしてて」
 「エ? 動いちゃダメなんですか?」
 「そう。あそこで寿司屋が動いてたら、こっちのセリフが死んじゃうから」
 エー?あれだけ稽古でやってたのに、いまさら?
 でも他のみんなも笑いながら「やっぱりな」って空気になっている。
 ウッソ??そんならもっと早くやめさせろよ・・・
 どうしても納得出来ない。と言うか、悔しさの方が勝っていた僕は、
稽古の後で田丸さんの所に行って「ダメなんですか?」と、自分の動きを
見せた方が観ているお客さんがイメージが膨らむとか船井さんと僕で
二つの表現が出来るとかそれっぽい事を言って説明してみた。

 が、ダメなもんはダメ。
  
 意外だったのは、田丸さんが
 「奥村!何で分からないんだバカ!」
 と頭ごなしに怒鳴ったりせずに、
 
 「自分としては、この場面は船井さんのセリフを聞かせたいのだから
  その動きは必要ない。あなたなりにいろいろ考えたのは分かる」
 
 と、演出としての考えや思いを、僕みたいな若造に穏やかな口調で
語ったことだった。
 
 

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