その勇者、実は魔王(改訂版)

そこら辺の人🏳️

文字の大きさ
144 / 179

幕間 魔王と買い物6

しおりを挟む
「……そういえば、メイとあいつって結局どうなったの?」

 パンケーキを食べ終え、パフェを半ばまで食べたところでサーニャはメイに聞く。
 メイは飲んでいた紅茶を吹き出しそうになった。

「な、なんで今、そのようなことを聞くのですか!?」
「いや、だってあいつに聞いても誤魔化されるだけだし……」

 慌てふためくメイにサーニャはニヤニヤして言う。

「その感じはやっぱりあの後、何かあったんでしょ? ほら、正直に白状しちゃいなさいよ」

 実はサーニャが買い物について来たのは、メイにその辺りを聞きたかったというのもあった。
 ルディアとエレナも興味はあるようで、メイをじっと見る。

「……残念ですが、関係が変わったわけではないのですよ」

 メイは渋々白状した。

「嘘でしょ?」

 サーニャが目を見開いて驚いたのを見て、メイは苦笑する。

「はい。……ただ、3年後に告白してくれるそうです」

 そう言うメイは頬を赤らめてはにかんだ。

「3年後? 何で?」

 意味がわからなかったらしく、サーニャは首を傾げる。

「私が成人するまで待つからですよ」

 メイが答えると、サーニャは呆れた顔をした。

「そんなの待たないで、さっさと付き合えばいいのに……」
「クリス様は真面目な方ですから」

 苦笑するメイを見て、サーニャは唸る。

「うーん、私たちは成人年齢とか特にないからなぁ……」
「え、そうなんですか!?」

 驚くメイにサーニャは頷く。

「うん。だいたい20歳前後で見た目の年齢が止まるから、それくらいで大人扱いされるけど、はっきり決まってはいないわね」
「……クリス様は魔族の成人年齢は80歳だとおっしゃってましたが……」

 首を傾げるメイにサーニャは軽く息を吐く。

「……あいつ、説明してないのね。
 それはあいつのいた世界の魔族のことよ。ここの魔族は1000年も生きないし、成長も途中までは人間と変わらないわよ」
「世界によって同じ魔族でも違うのですか?」

 驚くメイにサーニャは頷いた。

「らしいわよ。オークもあっちだと、私たちと同じように話すらしいしね」
「向こうに帰ったら、そのオークたちにも会ってみたいですね」

 ルディアがのんびりとココアを飲みながら言う。

「そういえば、お二人はどうやって元の世界に帰るつもりなのですか?」

 気になったメイがルディアとエレナに尋ねると、2人はきょとんとした。

「……魔王を倒したら、帰してくれるんじゃないの?」

 エレナが訝しげに聞くと、メイが困ったように首を横に振る。

「この世界では異世界から誰かを呼ぶ魔法はありますが、元の世界に戻す魔法はないのですよ」

 衝撃の事実に、2人は固まった。

「え、ええ!? 帰る方法はないのですか!?」
「お、落ち着いてください!」

 動揺するルディアに、メイが慌てる。

「落ち着けないわよ! ……つまり、あの王様は帰すつもりなんてないのに、私たちを呼んだわけ!?」
「す、すいません……」

 思わずエレナがメイに迫ったが、彼女の父があの王であることを思い出す。なんとなく気まずくて、エレナは身を引いた。

「……それで、帰る方法がないって本当なの?」
「はい……少なくとも、私が知る限りでは、ありません」

 申し訳なさそうにメイは目を伏せる。
 だが、何かを思い出したように顔を上げた。

「……ただ、クリス様には何らかの帰る方法があるそうです」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー

白木夏
ファンタジー
2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。 その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。 人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑えきれなかった。 異世界転移した最強の主人公のほのぼのライフ 主人公はあまり戦ったりはしません。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...