1歳児天使の異世界生活!

春爛漫

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闇魔法の本 1

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 ーーきてください、サチ様。

 なんて良い声だろう。
 低くて甘い声。
 もっと聞きたい。

「起きてくださいサチ様。朝ですよ。起きてください。んんっ! 声がおかしいな。風邪か?」

 ぱちっと目が覚めた。
 大司教様だ!

「だいしきょしゃま!」

「サチ様、おはようございます。私は病を貰ったかもしれません。起きて部屋にお戻りください。移るといけませんからね」

「ちがいましゅ! だいしきょしゃま、わかがえっていましゅ!」

「私が? そんな冗談を言ってはいけませんよ」

 サチが言った「若返っている」をまともに受け取らずに幼児の冗談だと微笑ましげにサチを見る。

「ほんとうでしゅ! きにょう、しょうじょうしんしゃまに、だいしきょしゃま、かごをもりゃいました。しんりきもちゅかえましゅ」

 サチに言われて昨夜に創造神様に合ったのを思い出したようだ。

「そうです! あれが創造神様ですよね! サチ様のおかげでお会いすることができました! ありがとうございます! 本当に大きかったですね! 威厳もありました!」

 ああ、大司教様が理解してくれないっ。
 はっ! 鏡で見れば理解してくれるか?

 サチは飛んでベッドの下に降りる。
 靴を履いてると大司教様が手伝ってくれた。
 優しい。
 顔も男らしさと繊細さを兼ね備えている。
 うっとり、してる場合じゃないよ! 鏡だ鏡! 姿見鏡があったはず。
 収納から出す。

「だいしきょしゃま! みてくだしゃい!」

 大司教様が鏡を覗きこんで固まった。
 大丈夫か? 服を触っている。
 次は顔を触った。
 髪も触っている。
 ちょっと前髪が後退してたからね。
 うおっ! ぐりんと私に振り返った!

「サチ様! 若くなってます! どうしてですか!?」

「しょうじょうしんしゃまの、かごのせいでしゅ」

「しょうじょうしんのしゃまのかご、創造神様の加護!? わ、私が? 本当ですか?」

「ほんとうでしゅ。しんりきもちゅかえましゅ」

「神力も!? ああっ! どうしましょう! 教皇様に何と報告すれば!」

「しょれにゃりゃ、わたちがきょうこうしゃまにあうときに、だいしきょしゃまをむかえにきましゅ」

 また、大司教様がサチをぐりんと見てきた。

「それでいきましょう! サチ様! よろしくお願いします!」

「はい!」

 大司教様に頼られたサチは嬉しくなった。

 サチの『おうち』の部屋に繋がるドアを開くとラズがいた。

「おはようこじゃいましゅ、りゃず。きょうはだいしきょしゃまと、ちょうしょくをたべましゅ。りゃずたちはしゅきにしてくだしゃい」

「おはようございます、サチ様。分かりました。そのようにさせていただきます」

 よし! 連絡も終わった! あとは大司教様と食堂に行くだけだ。

「だいしきょしゃま、ごはんをたべましゅ」

「そうですね。食堂に行きましょう」

 大司教様に抱っこしてもらう。
 大司教様は部屋から続いているドアを開けた。

「おはようございます、大司教さ、ま?」

 大司教様のお世話係のスクリナが若返った大司教様を見て固まった。

「スクリナ、おはよう。この姿はね、創造神様の加護をいただいて、若返ってしまったんだ。いつも通り頼むよ。それと領主館に行くから手配を頼む」

「創造神様の加護……」

 大司教様の側近のスクリナが呆然としたように繰り返す。

「そうだよ、さあ、サチ様、口をすすいでください」

「だいじょうぶでしゅ。にょうりょくでできましゅ。だいしきょしゃまがちゅかってくだしゃい」

「そうですか。それなら少しお待ちくださいね」

 私は飛んで能力で水球の用意をする。
 口をすすいで、顔を洗う。
 〈水球よ消えろ!〉
 消えたー。
 あー、顔がべちゃべちゃだ。
 タオルを創造して顔と手を拭く。
 綺麗になった。
 使ったタオルは収納にポイ。

 大司教様がスクリナに手伝ってもらって着替えている。
 いやん。
 でも、裸も見せ合った仲、恥ずかしくない。

 スクリナは心の中でどうにか折り合いをつけたようだ。
 真面目な顔で大司教様の準備を手伝っている。

 着替え終わった大司教様の胸に引っ付くと、抱っこしてくれた。
 そのまま部屋を出ると書斎みたいな部屋に出た。
 その次は応接間だな。
 やっと廊下。

 大司教様が歩いているとギョッとして2度見3度見してくる人がいる。
 私も見られるけど。
 服によって役職違うからね。
 大司教様はこの教会で1人だけなのさ。

 食堂に入ったらざわっとした。
 大司教様が声を張り上げる。

「皆、おはよう! 昨日、創造神様の加護を受けて若返った! 本当か確かめたければ食後に礼拝堂で待つがいい! 私のステータスを見せよう!」

 大司教様が言うと更に食堂が騒ついた。
 私はお誕生日席に座らされる。
 まだ置いてくれてあったんだね。
 嬉しい。
 スクリナが食事を持って来てくれた。
 あ、私のお世話をしてくれるの? ありがとう。

「サチ様、あーんです」

「あーん」

 大司教様が羨ましそうに見てきた。
 あーんしたいの? されたいの? どっち?


 食事が終わって礼拝堂での祈りが終われば、大司教様のステータスを見せる時間。
 ステータスの水晶に大司教様が触り、それを見て行く教会関係者達。
 みんな見て驚いている。
 大司教様を拝んでる人もいる。
 私は飛んで隣にいる。
 久しぶりに翼を見せてるよ。

 全員、大司教様のステータスを見終わったら終わり。

 午後から領主館に行くんだって。
 一度向こうに帰って冒険者ギルドで肉を貰ってこないと。
 それとエレナの本を買いにね。

 大司教様と午後の約束をして、おうちの部屋に帰る。

 ラズが待っていた。
 律儀だなぁ。

「りゃず、ぼうけんしゃぎりゅどにいきましゅ」

「それでは、行きましょう」

 部屋を出るとお風呂場の前のソファにエレナとカイザーがいた。

「サチ様、おはようございます」

「サチ様、おはようございます」

「えりぇにゃ、おはよう」

 私に無視されたカイザーが落ち込んでるけど、これは罰なのだ。
 私を溺れさせた罪は深いぞ。

「エレナ、冒険者ギルドに行きます」

「分かりました。先導します」

 おうちから出て収納におうちをしまう。

 マントをつけてもらって飛んでいく。

 教会から出て、冒険者ギルドに行く。
 後ろを護衛しているカイザーの気配が重い。
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