【完結】お前なんていらない。と言われましたので

高瀬船

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 エリシャが呆けて、両親が戸惑っている内に素早く魔道具の準備が終わった頃、王太子マーベリックは壇上の豪奢な椅子に腰掛けた状態でちらりとエリシャ達へと視線を向ける。

(……本当にこのような者達が国に届け出をしなければならない魔法を使用しているのか……?)

 マーベリックがリドルが覗いているであろう頭上を僅かに見上げると、マーベリックの視線に気付いたのだろう。リドルはにこやかに手を振っている。

(まったく……あの従兄弟はいつも無茶をする……だが、正式に公爵家から報告が上がって来てしまえば我々王家は無視は出来ん……)

 マーベリックは、リドルのアーキワンデ公爵家が上げた報告書に記載されていた内容を思い出して視線を細めてルドラン子爵家の面々を鋭い視線で見詰める。

(もし、報告書通りに信用魔法を取得していると言うのであれば……)

 信用魔法の未登録程度では大した罰は与えられない。
 だが、とマーベリックは心の中で言葉を続ける。

(両親が知らなかった、などとは言い逃れ出来んだろう……。余罪が多々出てきそうだな)

 マーベリックの目の前で、設置した魔道具の元に城の者に促され、エリシャが戸惑いながら魔道具の前へと立つ。
 城の者に説明され、エリシャは不安そうな表情を浮かべながらちらりと王太子に視線を向けるが、王太子は表情を変えない。

「エリシャ・ルドラン嬢。お早く手をかざして下さい」
「あ……っ、はい……」

 城の者に急かされ、エリシャはおずおずと魔道具の上に手をかざす。

「魔力を放出して下さい」
「──……っ、」

 城の者に促され、エリシャは魔力を魔道具に向かって放出するが目の前に居た城の者が眉を顰め、エリシャに続けて言葉を放つ。

「エリシャ・ルドラン嬢。しっかりと魔力を放出して下さい。逃れようとしても無駄です」
「──っ、」

 城の者の冷たい声音に、エリシャはびくりと肩を震わせると言われた通りに魔力を放出した。

 エリシャの魔力を受けて魔道具がぶわり、と不思議な光を放つ。
 そうして、その魔道具がエリシャの魔力を受けてエリシャが得ている魔法の種類を魔道具の頭上に映し出して行く。

 文字が小さく、アイーシャとリドルが滞在している上階からは良く見る事が出来ないが、魔道具の近くに居る城の者が息を飲んだ事が離れた場所からでも良く分かる。
 城の者の顔色は見るからに悪くなり、魔道具の頭上に現れた文字列を懐から取り出した書き取り用の魔道具の用紙に記して行く。
 嘘偽りの無い、真実をしっかりと記載する為の書き取り用の魔道具を使用している為、この場での不正や書き取りミス等有り得ない。

 城の専門の機関の多くの者達の目の前でエリシャの魔法の全てが暴かれた。
 一体、どのような魔法を取得していたのだろうか、とアイーシャとリドルが固唾を飲んで見守る中、城の者が書き記した魔道具を持って、王太子マーベリックの元へ向かい、その魔道具を恭しくマーベリックに差し出す。

「──……ご苦労」

 マーベリックはそう言葉を返すと、渡された魔道具に視線を落とし、記載された内容をしん、と静まり返った室内に良く通る声で読み上げて行く。

「エリシャ・ルドラン嬢。貴女の魔力はとても豊富だな……ルドラン嬢と同じ年頃の平均値を遥かに凌駕している……そして、取得している魔法も多いようだ……」

 マーベリックはそこで一度言葉を途切れさせると、魔道具に落としていた視線をきゅうっと細め、低く相手を威圧させるような声音で言葉を続ける。

「初歩的な火・水・風の攻撃魔法に、……やはり信用魔法を取得していたか……。それに魅了もだと……? 信用魔法と魅了魔法は自然の元素魔法とは違い、取得には特別な魔法構築式を得る必要がある……その年齢の子供が親に知られずに得られる訳があるまい……そして何よりも……」

 魔道具に落としていた視線をエリシャに向けると、マーベリックはエリシャを睨み付けるようにして声を荒げた。

「──古代語で記載された複数の魔法は一体何だ……! 古代語で表される魔法は、我が国では消滅魔術ロストソーサリィと呼ばれる……! 古代語の魔法は取得も、調べる事すら禁じていると言うのに……、何故それを君のような一貴族令嬢が取得しているのか……! 衛兵……! 直ちにルドラン子爵家の者を捕らえよ!」
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