【完結】お前なんていらない。と言われましたので

高瀬船

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 リドルがそのような事を考えている内に、マーベリックとアイーシャの会話は進んで行ってしまっており、マーベリックが次に言葉にした事にリドルはぎょっと瞳を見開く。

「そうだな……、ルドラン嬢も気になっていたあの閃光の発生した方角……確認してみるのも良いかもしれん……」
「ちょっ、ちょっと待って下さい殿下……!」

 マーベリックの口からとんでもない言葉が放たれて、リドルは焦って止めに入る。

「国王陛下より許可が降りたのは、このルドラン子爵領にある別邸での滞在及び別邸内を調べる事のみです……! 王太子殿下自ら、あのような山中に向かうなど……! 陛下はお許しになりませんよ……!」
「──うむ……。陛下が許可を出したのはこの別邸内のみ……それは分かってはいるが……"あの者達"が吐いた内容を鑑みれば、山中にも何かしらあるやもしれんだろう……? ここで見逃し、万が一我が国の国民達に何かあってみろ? 私は違和感を感じたと言うのに、何もしなかった己を恨むぞ……」

 マーベリックからじっ、と真っ直ぐに見つめられ、リドルはぐっ、と言葉に詰まる。

「……殿下の仰る事は……、お気持ちは良く分かります……。ですが、今回こちらに赴いた人数ではとても山中に入れません。事前に準備をしていなかった為、万が一魔物と遭遇した際、御身に危険が及びます……。私や、護衛の者が魔法を使用しある程度戦闘が出来ると言っても……不測の事態が発生した際に混乱せず指揮を取れる指揮官級の者はおりません……。せめて、山中に入るのであれば指揮官級の者を王都よりお呼び下さい……!」

 リドルだって、本音を言えばあの山中の光は気になっている。
 自分だって確認しに行きたいのだ。
 だが、先程エリシャが吐いた言葉を思い出すととても軽装備であの山中に足を踏み入れる事など出来る筈も無い。

「殿下も、エリシャ・ルドランが言っていた言葉をお聞きになっていた筈です……! あの親子は、何度もあの山中に足を運んでいたと……! エリシャ・ルドラン自身がまだ幼かった為その目的は定かではございませんが、恐らく良く無い事をケネブ・ルドランはあの地で行っていた筈です」
「──それ、は……っ、分かっているが……」

 リドルの言葉にマーベリックは悔しそうに眉を寄せると、窓の外へと視線を向ける。
 今はもう先程のような閃光は発生しておらず、再び夜の闇に包まれているがあの場所が気になって仕方ない。

 だが、リドルとマーベリックの会話を聞いてしまっていたアイーシャは不思議そうに唇を開いた。

「……エリシャが……、エリシャがあの山中に行った事があると……告げたのですか……? エリシャも、お義父様もこの邸にいらっしゃるのですか……?」

 アイーシャの言葉に、リドルもマーベリックもしまった、と心の中で呟く。
 あの二人を連れて来ていたのは情報を吐かせる為。吐かせる為には拷問めいた事を行っているのだ。その様子をアイーシャには最後まで隠し通そうとしていたが、リドルもマーベリックもつい先程まで蔵書室に居た時の雰囲気で話しをしてしまった。

「ル、ルドラン嬢……」

 リドルがどう説明したものか、とアイーシャに言葉を掛け、そして良い説明が思い浮かばずに言葉が途切れてしまう。
 アイーシャは、そのリドルの様子とマーベリックの何とも言えない表情を交互に見て、ある程度察してしまった。

 女子供に最後まで隠し通すつもりだったと言う事はあまり良くない内容だろう。

「お義父様も、エリシャも、……許されない事をしてしまったのですね……?」

 ぽつり、と呟いたアイーシャの言葉にマーベリックはアイーシャに一歩近付くと肩にそっと手を置く。

「……すまないな、アイーシャ・ルドラン嬢。深く考えないでくれと言っても察してしまっただろう。……ならば隠す事はもうしない」
「──はい」
「あの二人……いや、エリシャ・ルドランは、魅了魔法と消滅魔術ロストソーサリィを取得しているのはもう知っているな? その取得した切っ掛け、取得方法を吐かせる為に我々に同行させていた。……ルドラン嬢が見付けてくれた蔵書室で、ケネブ・ルドランがどのようにして自分の娘にその魔法を取得させたのかはある程度分かった」

 アイーシャはマーベリックの言葉に何て事を、と小さく呟く。

「エリザベート・ルドランに関してはこの件とは無関係ではあったので、極刑は免れるだろうが、あの二人は極刑は免れない……。それだけの事をしてしまったのだ。……そして、あの二人……いや、ケネブ・ルドランはそれ以外にも罪を犯している可能性が出てきてな……それが、あの山中にあるやもしれぬ、と言う事だ」
「我が子爵家の者が、大変申し訳ございません。……国への叛逆罪……子爵家の一員としてしかと罰はお受け致します。……お義父様が山中に、まだ何かを隠している可能性がある、と殿下方はお考えなのですね?」

 アイーシャの言葉に、マーベリックは頷く。

「あの山中……幼い頃に父と何度か登った記憶がございます……。魔力が豊富で、とても不思議な場所がある、と父が申してました……。結局、その場所を見付ける事は出来ませんでしたが……」

 悲しそうに瞳を細めて懐かしむように窓の外に視線を向けるアイーシャに、マーベリックもリドルも瞳を細めた。

「──魔力が豊富な場所が、ある……?」
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