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かわいい字(切ない系 NL、GL)
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『ずっと前から好きでした』
教室の私の机の中に入っていた手紙に書かれた一文。他に名前などは書いておらず、本当にその一文のみの手紙。
でもこれが、「置き間違い」だと私はすぐに気付いた。
この手紙の文字は同じクラスの壱花ちゃんが書いて、私の後ろの席の田山くんに宛てたものだと。
ある日、グループでレポートだか何だかを書く授業があった。
その時たまたま私は壱花ちゃんと同じグループになった。
そこでちらっと、壱花ちゃんの書いた文字が見え、「かわいい字だね」と思わず呟いた。
すると壱花ちゃんはきょとんとした顔をしてから、
「ありがとう!そんなこと初めて言われたー」
と、はにかみながら言ったのだ。
その笑顔が、かわいい文字と同様に愛らしくて。
それから私は、プリントの回収時や黒板に書かれた、壱花ちゃんの文字を目で追ってしまうようになった。
あのかわいい字を見るたび、胸がきゅんとなる。
かわいくて、かわいくて。好きだな、てただ思ってた。
でもその壱花ちゃんは、後ろの席の田山くんが好きだった。
女子グループでコイバナをしていたのが聞こえてしまい、私はそれを知ったのだ。
だから、いま手元にあるこの手紙が、何度もかわいいと思ったこの字が、壱花ちゃんの書いたものであるとすぐに分かった。そして田山くんに宛てたものであることも。
間違えに気付けるのは私だけだ。
田山くんの席に入れ直せるのも、私だけ。
私は泣きながら、手紙を自分の鞄にしまいこんだ。
「壱花、ついに告白したってほんと?」
「えへへ、うん……」
「書いた字褒められたからって手紙で告白とか、時代錯誤というか健気というか……」
「べ、別にいいじゃん!かわいいって言われて嬉しかったんだもん!」
教室の私の机の中に入っていた手紙に書かれた一文。他に名前などは書いておらず、本当にその一文のみの手紙。
でもこれが、「置き間違い」だと私はすぐに気付いた。
この手紙の文字は同じクラスの壱花ちゃんが書いて、私の後ろの席の田山くんに宛てたものだと。
ある日、グループでレポートだか何だかを書く授業があった。
その時たまたま私は壱花ちゃんと同じグループになった。
そこでちらっと、壱花ちゃんの書いた文字が見え、「かわいい字だね」と思わず呟いた。
すると壱花ちゃんはきょとんとした顔をしてから、
「ありがとう!そんなこと初めて言われたー」
と、はにかみながら言ったのだ。
その笑顔が、かわいい文字と同様に愛らしくて。
それから私は、プリントの回収時や黒板に書かれた、壱花ちゃんの文字を目で追ってしまうようになった。
あのかわいい字を見るたび、胸がきゅんとなる。
かわいくて、かわいくて。好きだな、てただ思ってた。
でもその壱花ちゃんは、後ろの席の田山くんが好きだった。
女子グループでコイバナをしていたのが聞こえてしまい、私はそれを知ったのだ。
だから、いま手元にあるこの手紙が、何度もかわいいと思ったこの字が、壱花ちゃんの書いたものであるとすぐに分かった。そして田山くんに宛てたものであることも。
間違えに気付けるのは私だけだ。
田山くんの席に入れ直せるのも、私だけ。
私は泣きながら、手紙を自分の鞄にしまいこんだ。
「壱花、ついに告白したってほんと?」
「えへへ、うん……」
「書いた字褒められたからって手紙で告白とか、時代錯誤というか健気というか……」
「べ、別にいいじゃん!かわいいって言われて嬉しかったんだもん!」
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