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閑話3、鉄ちゃん1
しおりを挟む鶯学園の教職員も生徒に負けず優秀だ。
同時に変わった人物もいる。
トシハル先生。
30台半ばの男性教員だ。
奥さんは学校の事務として勤めている。
当然こちらには来ていない。
そして社会科教員の彼は『鉄ちゃん』だ。
奥さんも『鉄子さん』ですよ。
休みには二人で子供を連れて鉄道の旅に出かけるらしい。
「トシハルさん撮り鉄はやらないの?」
「写真撮影は好きだよ。自分の乗った列車を撮るのがね。あとは車内風景と車窓からに風景を撮るよ」
「三脚を立てて沿線でカメラを構えている人がよくいますよね」
「僕たちはやらないね。人好き好きだよね。他人や鉄道に迷惑を掛けるのは困るけど。鉄道が好きな人が鉄道に迷惑を掛けてはいけないよ」
「駅弁も好きなようですね」
「やっぱりあれは大事だよ。特に車内で食べるのがいい。ここでは車内で食べられないけど。それには文句は言えないよね。食べられるだけでうれしいよ」
「やっぱり車窓風景がおかずですか」
「うん、そうだね。地下鉄は気象の影響は受けないのはいいけど風景を楽しめないのが少し残念だよね。これからの路線も地下が多いんだよね」
「魔物のいる森ではどうしても地下ですね。でも地上部は透明なドームで覆う予定ですよ」
「少しは景色を楽しめるのかな?」
「ええ、魔法のかかった覆いですから視界は良好ですよ」
「それは嬉しいね。私たちは自由には乗れないらしいけどね」
「すいませんね。この街にいてもらわなくてはなりませんので。試乗会は開きますよ。それからステータスを上げればまた来れますよ。その時は少しは自由があります」
「ははは、奥さんたちは連れて来れないのが残念だよ。でも来たいね」
彼は文系なのだが鉄道のことになれば駆動系の構造や列車内インテリア、駅の構造、保線技術や車両保守技術にも詳しい。
これからのこの世界での路線建設や列車運行に関しては大事な相談相手をしてもらっている。
将来的には鉄道部門を彼に任せるかな。
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