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王立アカデミー編
24 婚約者の憂鬱(????視点)
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放課後生徒会の仕事を終えて寮へと帰っている時だった。
遠くで人の言い争う声が聞こえてきた。
私が生徒会長でなければきっと気にも止めずに放っておいただろうけど……そう言うわけにも行かず、とりあえず人がいるところまでやってきた……のはいいが…………そこにいる人物を見て来るのではなったと後悔した。
どうして私は知らないフリをしなかったのだろう……
あの方と関わりたくないのに…とは思いながらもその集団に見知った人を見つけて仕方なく近づいて声を掛けた
「どうかされましたかスタンバリ公子様」
「これはダンテス嬢お久しぶりです」
「ええ、ご無沙汰しておりますわね………ところでいったい何があったのですか?」
悠長に挨拶をしている場合では無いと思うのだけれども…ここに揃っている面子を見て大体の事は予測出来た…したくないけど………
大方、数人の男子生徒に守られてるあの女が何かをしたのだろうけど………ん?あのスタンバリ公子が抱きしめていらっしゃるのは……先日編入された公子の妹君ではないでしょうか?
お兄様に似てとても優秀な女性だと聞いておりますが……もしや公女様に手を出したのでしょうか?
はぁ、もう、ほんとにやめて頂きたいですわね…等と心の中で思っている時でした、突然強い力で肩を掴まれました。
驚いて振り向くと…予想通りの方が怒りからか顔を赤らめてこちらを睨んでおりました。
「セドリック殿下……痛いので離して頂けますか?」とつとめて冷静に答えると
「貴様、俺を無視するつもりか?何故俺に聞かないのだ!」と益々、怒りをあらわにする。
揉め事の仲裁に入るのに一番興奮している人に話を聞く訳が無いことなど分かりきったこと。
当然、聞いたとて正確な情報が手に入るとも思えないですし………まあ、一番の理由はわたくしが殿下と話をしたくないと言うのがあるのですかねぇ…
「はぁぁ~」と大きくため息を一つ付き
「何があったのですかセドリック様」
ご希望通り聞いて差し上げた…のに、怒りは収まる事はなく騒がしく喚いている。
こんなのが本当に王族でいいのだろうかとこの国の貴族として心配になる。
「お前は俺を馬鹿にしているのかぁ~」
(ええ、よくお分かりになりましたね)なんて心の中で呟く
「いえ、馬鹿になどは……それで何があったのかお話して頂けますでしょうか?」
「あの女がジェニファーに暴力を「いえ、わたくしはそのような事はいたしておりません!」何をふざけた事を言っている!ジェニファーはお前と二人で居たではないか、お前が何かしなければジェニファーが床に倒れる事もこの様に泣くこともないではあろう!違うか?」
ビシッ!!とご令嬢に向けて指をさして、さも正しい事を言っているとばかりに言っているが…その現場を誰も見ていないのでは真実はわからない
まあ、あの女が絡んでいるのであれば十中八九スタンバリ公爵家のご令嬢が言っている事が正しいのだろうと私は思うのだけれど……
「貴方、何処か怪我でもしているのですか?」
顔を両手で覆い、泣いている……フリをしているあの女に声を掛けた。
「うっ……グスッ………け、怪我は……ありません…でも、いきなり突き飛ばされて…私………怖くて…グスッ……」
泣いてる様に聞こえるけどちらっと見えた顔には涙のあとすらなかった…わかっていた事だが本当に腹立たしい……
「わかりました、少しお待ち下さいね」
嘘つき女には付き合っていられない。
「えっと……公子様、そちらはスタンバリ家ご令嬢でお間違えないですか?」
「ええ、この子は私の妹のジェニファーと言います。先日アカデミーに編入致しまして……」
ギッとセドリック殿下達を睨みつけながらも、愛おしそうにジェニファー様の髪を撫でながら紹介をして頂きました。
これは相当溺愛されているようですわね。
流石はずっと渋って居られた講師のお話を受けられる事はありますわ。
「ええ、学長より聞いておりますわ、何でも編入試験を良い成績で合格されたとか……ジェニファー様、わたくしはベアトリス・デュ・ダンテスと申します、このアカデミーで生徒会長を務めさせて頂いております。どうぞ、よろしくお願い致しますわね」
「こ、こちらこそよろしくお願い致します」
公子様の腕から逃れられたジェニファー様が綺麗なカーテシーでご挨拶をしてくれました。
………………ん、あれ?何か忘れているような………
あっ、殿下達が騒いでいたんだった。
「あら?ジェニファー様、頬が少し腫れている様ですが……」
公子様の腕の中にいる時には気が付かなかったが、彼女の頬は赤く腫れていた。誰がどう見ても暴力を振るわれたのは彼女の方ではないか
「それは先程の興奮された殿下に頬を張られたのですよ!全く暴力を振るっているのはどちらか!!」
なるほど………直上型の殿下らしいと言えば殿下らしい。女性と言えど自分に歯向かう者には容赦はしないと言う事だろう。
「………殿下、そちらのジェニファー嬢が公女様に暴力を振るわれていた現場を誰も見てはおられないのですね…」
「そ、それは…そうだが、ジェニファーがそう言っているのだから間違いはない!」
まったく、あの女の言うことを信じるとは…あの女は嘘しかつかないことはこのアカデミーの殆どのものが知っている事なのに、どうしてあの人たちは気がつかないのか……
「現状では誰も現場を見ていないのでは公女さまが暴力を振るったとは認められませんね。それから殿下がご令嬢に対して暴力を振るわれた事は報告をさせて頂きますので!」
「なんだと!俺は悪くない!悪いのはジェニファーをイジメたその女なのだ!!」
そんな根拠もない事を、大きな声で言えるとは……ほとほと嫌になる。
どうして私の婚約者はこんなにアホなのだろうか……
そろそろ婚約破棄しても許されるのでないだろうか………
遠くで人の言い争う声が聞こえてきた。
私が生徒会長でなければきっと気にも止めずに放っておいただろうけど……そう言うわけにも行かず、とりあえず人がいるところまでやってきた……のはいいが…………そこにいる人物を見て来るのではなったと後悔した。
どうして私は知らないフリをしなかったのだろう……
あの方と関わりたくないのに…とは思いながらもその集団に見知った人を見つけて仕方なく近づいて声を掛けた
「どうかされましたかスタンバリ公子様」
「これはダンテス嬢お久しぶりです」
「ええ、ご無沙汰しておりますわね………ところでいったい何があったのですか?」
悠長に挨拶をしている場合では無いと思うのだけれども…ここに揃っている面子を見て大体の事は予測出来た…したくないけど………
大方、数人の男子生徒に守られてるあの女が何かをしたのだろうけど………ん?あのスタンバリ公子が抱きしめていらっしゃるのは……先日編入された公子の妹君ではないでしょうか?
お兄様に似てとても優秀な女性だと聞いておりますが……もしや公女様に手を出したのでしょうか?
はぁ、もう、ほんとにやめて頂きたいですわね…等と心の中で思っている時でした、突然強い力で肩を掴まれました。
驚いて振り向くと…予想通りの方が怒りからか顔を赤らめてこちらを睨んでおりました。
「セドリック殿下……痛いので離して頂けますか?」とつとめて冷静に答えると
「貴様、俺を無視するつもりか?何故俺に聞かないのだ!」と益々、怒りをあらわにする。
揉め事の仲裁に入るのに一番興奮している人に話を聞く訳が無いことなど分かりきったこと。
当然、聞いたとて正確な情報が手に入るとも思えないですし………まあ、一番の理由はわたくしが殿下と話をしたくないと言うのがあるのですかねぇ…
「はぁぁ~」と大きくため息を一つ付き
「何があったのですかセドリック様」
ご希望通り聞いて差し上げた…のに、怒りは収まる事はなく騒がしく喚いている。
こんなのが本当に王族でいいのだろうかとこの国の貴族として心配になる。
「お前は俺を馬鹿にしているのかぁ~」
(ええ、よくお分かりになりましたね)なんて心の中で呟く
「いえ、馬鹿になどは……それで何があったのかお話して頂けますでしょうか?」
「あの女がジェニファーに暴力を「いえ、わたくしはそのような事はいたしておりません!」何をふざけた事を言っている!ジェニファーはお前と二人で居たではないか、お前が何かしなければジェニファーが床に倒れる事もこの様に泣くこともないではあろう!違うか?」
ビシッ!!とご令嬢に向けて指をさして、さも正しい事を言っているとばかりに言っているが…その現場を誰も見ていないのでは真実はわからない
まあ、あの女が絡んでいるのであれば十中八九スタンバリ公爵家のご令嬢が言っている事が正しいのだろうと私は思うのだけれど……
「貴方、何処か怪我でもしているのですか?」
顔を両手で覆い、泣いている……フリをしているあの女に声を掛けた。
「うっ……グスッ………け、怪我は……ありません…でも、いきなり突き飛ばされて…私………怖くて…グスッ……」
泣いてる様に聞こえるけどちらっと見えた顔には涙のあとすらなかった…わかっていた事だが本当に腹立たしい……
「わかりました、少しお待ち下さいね」
嘘つき女には付き合っていられない。
「えっと……公子様、そちらはスタンバリ家ご令嬢でお間違えないですか?」
「ええ、この子は私の妹のジェニファーと言います。先日アカデミーに編入致しまして……」
ギッとセドリック殿下達を睨みつけながらも、愛おしそうにジェニファー様の髪を撫でながら紹介をして頂きました。
これは相当溺愛されているようですわね。
流石はずっと渋って居られた講師のお話を受けられる事はありますわ。
「ええ、学長より聞いておりますわ、何でも編入試験を良い成績で合格されたとか……ジェニファー様、わたくしはベアトリス・デュ・ダンテスと申します、このアカデミーで生徒会長を務めさせて頂いております。どうぞ、よろしくお願い致しますわね」
「こ、こちらこそよろしくお願い致します」
公子様の腕から逃れられたジェニファー様が綺麗なカーテシーでご挨拶をしてくれました。
………………ん、あれ?何か忘れているような………
あっ、殿下達が騒いでいたんだった。
「あら?ジェニファー様、頬が少し腫れている様ですが……」
公子様の腕の中にいる時には気が付かなかったが、彼女の頬は赤く腫れていた。誰がどう見ても暴力を振るわれたのは彼女の方ではないか
「それは先程の興奮された殿下に頬を張られたのですよ!全く暴力を振るっているのはどちらか!!」
なるほど………直上型の殿下らしいと言えば殿下らしい。女性と言えど自分に歯向かう者には容赦はしないと言う事だろう。
「………殿下、そちらのジェニファー嬢が公女様に暴力を振るわれていた現場を誰も見てはおられないのですね…」
「そ、それは…そうだが、ジェニファーがそう言っているのだから間違いはない!」
まったく、あの女の言うことを信じるとは…あの女は嘘しかつかないことはこのアカデミーの殆どのものが知っている事なのに、どうしてあの人たちは気がつかないのか……
「現状では誰も現場を見ていないのでは公女さまが暴力を振るったとは認められませんね。それから殿下がご令嬢に対して暴力を振るわれた事は報告をさせて頂きますので!」
「なんだと!俺は悪くない!悪いのはジェニファーをイジメたその女なのだ!!」
そんな根拠もない事を、大きな声で言えるとは……ほとほと嫌になる。
どうして私の婚約者はこんなにアホなのだろうか……
そろそろ婚約破棄しても許されるのでないだろうか………
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