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第2章 パルムの樹と精霊
3
「あの。お母様を知っているのですか?」
「ああ。オリヴィは契約者だったからな」真っ直ぐ僕を見つめたまま、懐かしそうな顔をイフリート様はしている。
契約者も気になるけど……
「あの、ウンディーネ様は……あのままですか?」
気の毒な水の精霊は、下半身が氷の塊の中に埋め込まれている。
「フェンリル様、もういいでしょう? ウンディーネを溶かします」
イフリート様がそう言って、
氷像部分に手を触れると氷があっという間に溶けていく。
「抜け駆けしようとした上に、ルナを泣かすから罰を受けるんだよ。アホ、ディーネ」
ゆっくりと立ち上がったウンディーネ様が服を整えて、片膝をつき
両手を胸の前で組みフェンリル様に敬意を示す。
「オリヴィの子の宝石眼に金環が、現れました」
“ピューィ”とイフリート様が口笛を鳴らした。
「流石、オリヴィの子だな。我々を魅了してやまないのは、血筋か? それとも何か他に理由があるのか?」
宝石眼に金環?
僕の髪を愛おしそうに撫でているイフリート様は、僕にお母様の姿を見ているのかな?
「あの、金環ってなんですか?」
「ルナはエメラルドの宝石眼だろう?その中に金の輪が現れる。精霊を魅了していくんだ。いわゆる魅了眼だな。それは、聖属性の持ち主の印だ。聖なるものに弱いんだよ、我々は」
「魅了眼? 聖属性?」
「まだ、身体の魔力が足りぬ。使うな。人は簡単に死ぬ。だから精霊は隠したくなるのだ。死なれたくないからな」
メガネモブの僕にそんな魔力が付くわけないから、宝の持ち腐れになるのかな?
「イフリート様、魔力が増えなかったら無駄かもしれません。聖属性って、治癒に特化しているのですか? なら、もっとふさわしい人が!」
僕が持ってても、使えなかったら助けられる命さえ失ってしまう。
「案ずるな、時を待て。子供の身体に負担が多すぎるだけで、ルナお前は、相応しいよ。お前の母でさえ光属性だったが、聖属性とは。我らは、お前を護る。我らからの証を受けよ」
イフリート様が小指に真紅の細いリングを付けてくれた。
スッと立ち上がったウンディーネ様が僕の耳に濃紺で小さめのイヤーカフを付ける。
「きっと、アイツらもお前に会いに来るだろう」
「アイツら? 誰の事ですか?」
「シルフィとノームだ」
風と大地の精霊まで来るの?
「あの、あの、閉じ込められたりしませんよね?」
「ああ。大丈夫だ。フェンリル様が、ずっとお前のそばにいるから」
え、このでっかい狼が?
捨てフェンリルを拾って帰ったら怒られるよ! 無理無理。
「怒られます。デカ過ぎです!」
フェンリル様と目が合う。
そんなふうに見つめられても、連れ帰りません!
あ───
淡く白銀が光を帯びて、縮んでいく。
ワンボックスカーサイズだったのに。
豆柴サイズのほぼ犬になった。
狼には見えない。なんか、丸っこいし。
あ、触りたい。
トコトコと寄ってくる。
イフリート様に視線を合わせると苦笑いをしている。
地面に降ろされた僕に擦り寄ってくる、もふもふ。柔らかい毛並み。
「大丈夫。お前を守護する者と言えばお前の父は、納得するはずだ。
それにこの地を守る我らは、フォレスト家の宝石眼の者と契約するのが通例だ。だから、オリヴィは我らと契約していたんだ」
オリヴィの子──
お母様の子。
ちゃんと、親子って認めてくれるの?
お母様は、僕を産まなきゃ良かったとか、思わなかったかな?
この世界で、お母様に似ているって、同じ宝石眼だから契約者に認められるの?そんな理由でいいの?
お母様との記憶がほとんどないんだ。
事故の血の色が浮かんで、頭の中が真っ白になってしまうから。
愛されてたか、自信がない。
やだな。
泣いたら怒られる。
こんなに泣き虫になっているし。
フェンリル様をギュッと抱きしめる。
「さっき泣かした詫びだ。我、水を司る精霊ウンディーネが加護を与える。まだ未熟ゆえ、聖属性が使えぬだろう? 水属性には人の身体を解毒出来る力がある。簡単な解毒だ優しいルナの役に立つだろう」
そう言ってさっきのイヤーカフにキスを落とされた。
イフリート様が僕の右手を持ち上げた。
「悪い気が近づかないように浄化の加護をルナに」
そう言ってキスを落とした。
「ああ、お前の父親が迎えにきたぞ。明日か? 王子を連れて森においで、ルナ」
そう言って水と炎の精霊が消えた。
僕は、豆柴サイズのフェンリル様を抱きかかえたまま、お父様を見た。
「会ったのだな」
そう、お父様が言って、フェンリル様ごと抱きかかえられて邸に戻ることになった。
「ああ。オリヴィは契約者だったからな」真っ直ぐ僕を見つめたまま、懐かしそうな顔をイフリート様はしている。
契約者も気になるけど……
「あの、ウンディーネ様は……あのままですか?」
気の毒な水の精霊は、下半身が氷の塊の中に埋め込まれている。
「フェンリル様、もういいでしょう? ウンディーネを溶かします」
イフリート様がそう言って、
氷像部分に手を触れると氷があっという間に溶けていく。
「抜け駆けしようとした上に、ルナを泣かすから罰を受けるんだよ。アホ、ディーネ」
ゆっくりと立ち上がったウンディーネ様が服を整えて、片膝をつき
両手を胸の前で組みフェンリル様に敬意を示す。
「オリヴィの子の宝石眼に金環が、現れました」
“ピューィ”とイフリート様が口笛を鳴らした。
「流石、オリヴィの子だな。我々を魅了してやまないのは、血筋か? それとも何か他に理由があるのか?」
宝石眼に金環?
僕の髪を愛おしそうに撫でているイフリート様は、僕にお母様の姿を見ているのかな?
「あの、金環ってなんですか?」
「ルナはエメラルドの宝石眼だろう?その中に金の輪が現れる。精霊を魅了していくんだ。いわゆる魅了眼だな。それは、聖属性の持ち主の印だ。聖なるものに弱いんだよ、我々は」
「魅了眼? 聖属性?」
「まだ、身体の魔力が足りぬ。使うな。人は簡単に死ぬ。だから精霊は隠したくなるのだ。死なれたくないからな」
メガネモブの僕にそんな魔力が付くわけないから、宝の持ち腐れになるのかな?
「イフリート様、魔力が増えなかったら無駄かもしれません。聖属性って、治癒に特化しているのですか? なら、もっとふさわしい人が!」
僕が持ってても、使えなかったら助けられる命さえ失ってしまう。
「案ずるな、時を待て。子供の身体に負担が多すぎるだけで、ルナお前は、相応しいよ。お前の母でさえ光属性だったが、聖属性とは。我らは、お前を護る。我らからの証を受けよ」
イフリート様が小指に真紅の細いリングを付けてくれた。
スッと立ち上がったウンディーネ様が僕の耳に濃紺で小さめのイヤーカフを付ける。
「きっと、アイツらもお前に会いに来るだろう」
「アイツら? 誰の事ですか?」
「シルフィとノームだ」
風と大地の精霊まで来るの?
「あの、あの、閉じ込められたりしませんよね?」
「ああ。大丈夫だ。フェンリル様が、ずっとお前のそばにいるから」
え、このでっかい狼が?
捨てフェンリルを拾って帰ったら怒られるよ! 無理無理。
「怒られます。デカ過ぎです!」
フェンリル様と目が合う。
そんなふうに見つめられても、連れ帰りません!
あ───
淡く白銀が光を帯びて、縮んでいく。
ワンボックスカーサイズだったのに。
豆柴サイズのほぼ犬になった。
狼には見えない。なんか、丸っこいし。
あ、触りたい。
トコトコと寄ってくる。
イフリート様に視線を合わせると苦笑いをしている。
地面に降ろされた僕に擦り寄ってくる、もふもふ。柔らかい毛並み。
「大丈夫。お前を守護する者と言えばお前の父は、納得するはずだ。
それにこの地を守る我らは、フォレスト家の宝石眼の者と契約するのが通例だ。だから、オリヴィは我らと契約していたんだ」
オリヴィの子──
お母様の子。
ちゃんと、親子って認めてくれるの?
お母様は、僕を産まなきゃ良かったとか、思わなかったかな?
この世界で、お母様に似ているって、同じ宝石眼だから契約者に認められるの?そんな理由でいいの?
お母様との記憶がほとんどないんだ。
事故の血の色が浮かんで、頭の中が真っ白になってしまうから。
愛されてたか、自信がない。
やだな。
泣いたら怒られる。
こんなに泣き虫になっているし。
フェンリル様をギュッと抱きしめる。
「さっき泣かした詫びだ。我、水を司る精霊ウンディーネが加護を与える。まだ未熟ゆえ、聖属性が使えぬだろう? 水属性には人の身体を解毒出来る力がある。簡単な解毒だ優しいルナの役に立つだろう」
そう言ってさっきのイヤーカフにキスを落とされた。
イフリート様が僕の右手を持ち上げた。
「悪い気が近づかないように浄化の加護をルナに」
そう言ってキスを落とした。
「ああ、お前の父親が迎えにきたぞ。明日か? 王子を連れて森においで、ルナ」
そう言って水と炎の精霊が消えた。
僕は、豆柴サイズのフェンリル様を抱きかかえたまま、お父様を見た。
「会ったのだな」
そう、お父様が言って、フェンリル様ごと抱きかかえられて邸に戻ることになった。
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