【本編完結】イケメンの皆様、主人公はあちらですよ。

Shizukuru

文字の大きさ
55 / 129
第6章 学園編☆1年生

19邪魔しない

しおりを挟む
side ルナ


ずっと、フォレストでキャンプを兄様達としてきたからテントを張るのも、野外の料理も大丈夫。

スタンプラリーも楽しみだし、夜空を見上げて話すのも、マットに寝転がって…色々…話せるかな?とりあえず、好みのタイプから聞き出してみよう。

先ずは、立地の良さそうな所にテントを張らないといけないから。リーダーの指示を待っている所だ。
リーダーは、ソレイユ様に決まった。騎士団長の息子らしく、野外の経験も豊富だし指示もテキパキしてくれそう。見た目も頼りがいがある。

シリウス兄様はレグルス殿下の護衛だから、見ているだけ。手も口も出してはいけない事になっている。

今まで一緒にキャンプをして来たから、きっと口を出したくてウズウズしてそう。チラッと視線を送ると、少しだけ口角が上がってまた元に戻した。焦ったいだろうなぁ。

あの日のクジ引きで、ペアが決まったんだけど…

スピカとペアになったのは…アルだった。

僕はレグルス殿下とペアになって、カストル様とソレイユ様がペアになった。


やっぱり、入学式のイベントを潰しちゃったからレグルス殿下のルートは無いのかも。良いのかな?小説の中の1番王道のルート。スピカの好きな人とか夜に聞いてみたい。2人で話すチャンスないかな?
クジで決まったんだから、アルと良い雰囲気になるのかも知れない。アルとスピカが並んでいる挿絵を少し思い出した。なんかお似合いで、ちょっと切ない…

あれ?なんで、切ない?親友が恋を実らせたら…おめでとうだよね!
シリウス兄様が婚姻ってなっても、寂しいって思うはず──1人で頑張るって言いながら、結局1人は寂しいと思ってしまう自分がいる。フェルならずっと側にいてくれるかな?僕より絶対長生きだから安心だし。

お父様がこの人が欲しいと思える人に出会うから、飛び込んで行けって──それって、お父様にとってお母様の事だったんだよね。
そんな恋が僕に出来るのか分からない。家同士の繋がりとかは気にしなくて良いって言ってもらえて、恋愛をして好きな人と婚姻して良いって…貴族の役割を考えたら贅沢過ぎるよ。いいのかな?

誰かに必要とか、愛される事があったなら嬉しい。そんな人が本当に現れたら──いいのに。

アルファルド・グランデ──隣国の第2王子のIFストーリーのキャンプは、スピカを助けようとしてアルが怪我をするんだ。
うー。アルが怪我するなんて嫌だ。だけど下手に助けたらまた変にズレちゃうかも…近くにいて様子を見る?


「ルナ様、テント張りサボらないで」
ソレイユ様がニコって笑っている。考え込んでたら声をかけられて、現実に戻される。
「あ、ごめんなさい」
慌てて、周りを見るとカストル様が意外にテキパキと動いている。
身体を動かすイメージがあまり無かったから、思わず「器用で早い」って呟いてしまって、ジロッて睨まれた。
「ルナ、ちゃんとレグルス様を手伝えよ。ペアを解消するぞ」カストル様にあっちに行くように言われ、ロープを引っ張っぱろうとしてるレグルス様の側に行く。

出遅れてしまった。

「ごめんなさい。レグルス様」

「いや、今呼ぼうとしてただけだから。全く問題ないよ。ほらロープ引っ張るの手伝ってルナ」
後ろ側に回ろうとしたら、前に来てって言われて、レグルス様の前に陣取る。
ロープに手をかけた所で、レグルス様が片手を離して僕を背中からハグする様な形でロープを握り直し、「今、一緒に引っ張って」と耳元で話しかけられる。
なんか、近い。
頼りないから、こんな風にしてくれるのかな?
役に立たないとね!ググって後ろに引くと、テントがピンと張ったのが分かった。少し耐えててと魔力で支えられているのが分かる。少しでも役に立つように踏ん張っていたらレグルス様がロープを杭の所に巻きつけ終わったみたい。向こう側も終ったようだ。

アルがこっちを見ていたから、何となく手を振ってみたら、スピカがアルの側に立っていて──しまった、と焦る。
駄目だ。邪魔しないんだった。
えっと、ニコッて笑ってスピカにも手を振ってみたら、困った顔していたスピカが少し笑って振り返してくれた。

やっぱり、スピカは可愛いなぁ。それに気を悪くはしてないみたいで、ホッとする。

もうすぐ、集合がかかるはず。
しっかりしないと。





side スピカ


な、なんでよりによって…
アルファルド・グランデ殿下なんだろう…。レグルス殿下も嫌だけど。


どうみたって、誰が見たって──この人、ルナ様が好きじゃん!!

まずい。

アルファルド殿下の周りが重苦しい。

レグルス殿下は、幸せオーラが出ているし。

ううっ。ソレイユ様が1番、害がないって言うか、友人として接してくれるから、ソレイユ様とペアになりたかったよ~。


テント張りの手伝いも、なんか邪魔っぽい。
これは、なるべくルナ様の側にいる方がいい。その方がアルファルド殿下の機嫌が良くなるはずだし、身の危険が無さそう。



あ、ルナ様が──アルファルド殿下に手を振ってる。


認識阻害のメガネは相変わらずなんだけど、仕草とか可愛いんだよ。多分、素顔を知っているのは、攻略対象と俺とリゲル、あの角度だと他の生徒はハッキリ見えてないと思う。
なんか素顔を知ったせいで、その顔を想像するからか癒されるんだよね。

俺とも目が合って、慌てて手を振ってくれた。
なんか、嬉しい。
思わず手を振ったら、なんか横からゾクゾクする様な魔力が伝わってくる。
怖すぎる。

「ルナに手を出すなよ?」


ひぃ~


「可愛くて憧れているだけです。やましい気持ちは、一切ありませんっ!」

怖い。誰か、アルファルド殿下と変わってくれ!

「なら、キャンプの間は俺もルナの側にいるけど、スピカは近寄り過ぎるなよ?レグルスの奴、触り過ぎだ」

落ち着いてよ。一応仲間だよ?ペアじゃなく、チームとしてルナ様にくっついておこうと決心をした。

しおりを挟む
感想 130

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

裏乙女ゲー?モブですよね? いいえ主人公です。

みーやん
BL
何日の時をこのソファーと過ごしただろう。 愛してやまない我が妹に頼まれた乙女ゲーの攻略は終わりを迎えようとしていた。 「私の青春学園生活⭐︎星蒼山学園」というこのタイトルの通り、女の子の主人公が学園生活を送りながら攻略対象に擦り寄り青春という名の恋愛を繰り広げるゲームだ。ちなみに女子生徒は全校生徒約900人のうち主人公1人というハーレム設定である。 あと1ヶ月後に30歳の誕生日を迎える俺には厳しすぎるゲームではあるが可愛い妹の為、精神と睡眠を削りながらやっとの思いで最後の攻略対象を攻略し見事クリアした。 最後のエンドロールまで見た後に 「裏乙女ゲームを開始しますか?」 という文字が出てきたと思ったら目の視界がだんだんと狭まってくる感覚に襲われた。  あ。俺3日寝てなかったんだ… そんなことにふと気がついた時には視界は完全に奪われていた。 次に目が覚めると目の前には見覚えのあるゲームならではのウィンドウ。 「星蒼山学園へようこそ!攻略対象を攻略し青春を掴み取ろう!」 何度見たかわからないほど見たこの文字。そして気づく現実味のある体感。そこは3日徹夜してクリアしたゲームの世界でした。 え?意味わかんないけどとりあえず俺はもちろんモブだよね? これはモブだと勘違いしている男が実は主人公だと気付かないまま学園生活を送る話です。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

処理中です...