【完結】 魔導書の守護者は悪役王子を護りたい

Shizukuru

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10神子召喚の裏側で

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 如月きさらぎ二葉ふたばは一度目の転生で失敗した。
「本当に保険かけてて良かった~」




◇◇◇



 いわゆる見知らぬ人のトラ転に巻き込まれた結果、神様らしい人の前にいた。人間に興味がなさそうで、やる気を全く感じない神様だった。

「──君は巻き込まれたから、二つ願いを叶えるよ。何がいい?人を殺すとか呪ったりは駄目だよ……ねぇ聞いてる?」

 二つ?こう言うの三つじゃないのかな?願い事を増やせってのは、無理かな?と二葉は考えていた。

「──二つだけ。願い事を一生叶えろとか、馬鹿じゃないんだから言わないよね?」

 察しがいいなと二葉は思う。なんか嫌な思いをしたのかな?馬鹿にされ、見くだされていると感じてしまう。なら、よく考えなければ失敗したら最悪だ。失敗……か。

「質問するのは良いですか?」

「──いいよ」
 椅子に座って不機嫌なまま、神さまは答えた。

 小説とかアニメで言えば、エルフ見たいな美形がそこにいた。
 少し段差があるから、上から見下ろされている。白い空間は室内なのかさえもよくわからない。壁らしきものも見えない。

 立ってても見上げる。なんか裁きを受けている感じに居心地の悪さを二葉は味わっていた。まあ、悩んでも始まらない。覚悟を決めて二葉は質問した。

「質問ですが、転生って出来ますか?ある程度希望の世界とかに。○○世界の誰々みたいに選んだり……」

 主人公でハイスペックとか、憧れていいはずだ。巻き込まれて短い生涯を閉じたのだ。駄目だろうか?そんな気持ちで前を見つめた。

「──まあ、出来る」

 よし。だったら、どの作品がいいか考えよう。現代か異世界か。戦争に行くようなハードなものは嫌だし。現代であまりいい思いはして来なかった上に、巻き込まれるとか本当クソだったな。とやり直しで、メインキャラになれるのなら、あながち悪い人生じゃない。心の中でガッツポーズを取った。

 でも、失敗したらもっと悲惨だな。
 ──なら

「一つ目は、学園ものの主人公です。丁度、高校生だから感覚も分かりそうなので楽しそうです」

 それにゲイだから、そう言う世界なら始めから受け入れられて恋愛も出来る。モテてもみたい。

「そう。もう一つは?」

「その世界で失敗したら、もう一度別の世界でやり直しさせて下さい」

「──面白いね、君」



 そして、途中まで上手くいっていたのに……攻略した奴の元彼が、実験室で火事を引き起こした。

 逃げ惑う生徒、二葉は押し戻されドアを閉じられた。後ろから逃げだした時、誰かの杖を蹴飛ばした。そいつは、学校でも有名なだ。構ってらんない。ようやく教室から出た先で、炎が見える。どうしようかと思っていた時に、今度は誰かに突き飛ばされた。


 気がつけば、またあの空間にいた。

「やぁ」
 相変わらずの存在は、二葉自身を見ても表情を変えることが無かった。

「今回は巻き込まれた訳でもないし」

「だって突き飛ばされましたよ!」
「逃げ惑っていたんだから、そうなんじゃない?」

あいつの杖……、あいつ助かったかな?今となっては、分からない。
───でも、やり直しの約束がある。


「や、約束でしたよね?もし失敗したらもう一度別の世界でやり直しさせてくれるって」

 片手で頬杖を付いてる存在の視線が冷たい。

「覚えているよ。で今度はどこに行きたいの?」

   二葉は少しホッとした。駄目だと言われなくて良かったと胸を撫で下ろす。

「スマホのゲームアプリの魔法世界です。主人公の神子にして下さい」

 魔法があれば、自分自身を護れる。嫉妬で襲われるなんて……ありえない。ただただ悔しい。にしてやられたのだ。

「──次はここに来ることは無いよ。まぁ……頑張って」

「ま、待ってください。転生じゃなくて、転移にして下さい!ほら、神子召喚なんですよ。この姿は憧れだったんです。二葉のまま召喚に巻き込まれたいです!」


 やり直しさせて貰えるだけではなく、せめてこの顔で神子になりたい。

「巻き込まれ……ましたよね?」

神さまの表情は読めない。

「──最後だからね」

「ありがとうございます。次は幸せになれますね」

 二葉は、以前と同じように白い光に包まれた。目が覚めると魔法陣の中にいた。
 何か変な感じがする。手を見て思う。

「──えっ?小さくない?」
 高校生……が召喚されてからの話のはずだ。

 なんか魔法陣の外で揉めている。俺だけが子供じゃない。第一王子も第二王子も少年よりだ。神子じゃないって言われたらどうしようかと思ったが、と話しかけられた。

(良かった)


   ただ変な黒い物が落ちていた。なんか禍々しいし、汚いから触りたくない。それに魔法もまだ使えないなんて。


 そんな時に悪役の王子がを持って行った。本当に馬鹿だな、あの王子。

 さて、誰から攻略しようかな?魔法の世界……楽しくなりそうだ。



◇◇◇



 そんな、浮かれている姿を別の世界から見ている者がいた。

「ゲームの世界……だとしても、今は現実だよ。さて魔導書グリモアール守護者ガーディアンになった純白の魂のあの子はどうなるかな?」

 ナキアの口角が少しだけ上がった。





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