62 / 81
61目が覚めて。
しおりを挟む
どうして……こんなに、眠いのだろう? ただ微睡んでいたい。そんな気怠さに、瞼が持ち上がらない。そう、だ。レライエから──魔力をたくさんもらったはず。セラフィーレが消えないように、存在を確かめるように抱いてくれた。
その情景を思い出して、ブワリと体温が上がった気がした。心臓が煩く騒ぎ出し、いつの間にか意識がなくなっていたことに焦り始める。
(ちゃんと……出来たよね? いや、普通が全く分からないけど)
リネンは、サラサラしていて綺麗な物に交換されている気がする。今が何時なのかさえ分からない。
自分よりも、太く逞しい腕に閉じ込められていることを認識すると、意識がハッキリと覚醒した。昨日の夜、抱いてくれたレライエの腕の中にいて、背中側の触れる肌の感触から二人とも何も身に着けていないままだ。
(嘘。は、裸のまま!? )
初めてで疲れて寝落ち……したのか、魔力を馴染ませたために意識が落ちたのか分からない。ただ、触れ合う肌から体温が伝わってくる。
汗などは感じないので、魔法で綺麗にされたみたいだと思うと本当に恥ずかしい。
だとしても、直接肌に当たるので……下着くらい穿かせてくれても……と思ったところで、冷静になった。意識がなくて世話をしてもらったのだから、迷惑極まりない。レライエを責めるのは、間違っていると、ひとしきり反省する。本物の王子様に、一般市民が世話をさせるって、駄目過ぎる。
(とにかく、ふ、服を)
のそ、のそとレライエの腕の中から、抜け出そうと腕を動かすと、簡単に捕縛され引き寄せられた。
「レイ? 起こしてごめんね」
項に唇が触れて、肩の辺りまでチュッ、チュッ……と啄まれると、昨夜のことが鮮明に浮かび、恥ずかしさに妙に上擦った大きな声がでてしまう。
「まっ、待って!」
ピタリと、キスが止まった。
「セーレ?」
名前を呼ばれただけで、キュンとしてしまう。いけない、こんなことでドキドキしていたら、傍にいることに心臓が耐えられなくなりそうだ。
「とととと……とりぃあえ……ず、服を着てから。せ、せめて下着を穿かないと……落ち着かないから!!」
「ああ。湯浴みをしてからが良いと思って。行こう」
「行こうって、どこに?」
「湯浴みに。立てないと思うので、連れていきますね」
手で抵抗しても敵う訳がなく、魔法で体を軽くして移動しようとすれば、疲れているので魔力を使わないようにと止められた。無駄に抵抗した後、軽々と抱きかかえられて運ばれていく。
流石にタオルで前を隠してくれたけれど、見えている皮膚の所々にうっ血痕がある。
(いっぱい痕がある……いや、これも普通?普通が全く分からない)
レライエの顔をチラ見すると、眩しい笑顔を向けられて、心拍数が跳ね上がる。
昨日無理させたからとか、丁寧に頭から足の爪の先まで丁寧に洗われていく。抱きかかえられて、レライエの上に乗り背中を預けるように湯に浸かった。
ずっと密着しているのに、動揺する素振りもなく、変わらずに接してくるので、自分だけ緊張して居た堪れない。変に緊張をしているのを誤魔化そうと、今日の予定を確認しようと話かけた。
「レイ!! 魔法で、ガッとやって良かったんだよ!? 僕に時間かけるの勿体ないよ。ほ、ほら今日の予定は? 何かあったんじゃないの? 第一王子殿下は、キリエとどうしてるのかな?」
「第一王子……、キリエ……」
小さく呟くようにレライエが復唱した。
「レイ、どうかした?」
「──あの二人が契約したのなら、セーレは狙われなくて済むかと思って」
神子が浄化を上手く使えないのは、神子が守護者と契約出来ないからだ。キリエが元に戻ったら、さらに魔力の威力は増しそうなのは確かだ。相手もヒーローの一人テオドール殿下なのだから。
浄化と考えると、キリエはどうなのか分からない。
もしも、キリエを助けた時のように、浄化も相性の良いレライエとなら使えるのたろうか?神子達がいたから、影響を受けて発揮出来た可能性も捨てられない。
なら攻略対象と皆で浄化に向かえば、厄災を終わらせて、念願のスローライフを目指せるかもしれない。
レライエを悪役王子にせずに、幸せにしてあげることが叶う日が来るのなら、それが一番幸せな気がする。
「やっぱり、皆で女神ヴィオラの厄災を……止めよう」
「セーレ。神子に接触するのはだめだ」
「終わらせない限り、向こうから来るよ。メイシアもいるし、キリエが味方なら、第一王子……王太子殿下も、無理やり押しかけて来ない思う。それに……レイは、殿下と話した方がいいと思う……あ、れ」
ぐらり、と視界が揺れた。
ずっと、湯に浸かっていたためか、のぼせて、この後もレライエに世話を焼かれ続けるとかありえない。
メイド姿のメグからの温い視線が、居た堪れなかった。
その情景を思い出して、ブワリと体温が上がった気がした。心臓が煩く騒ぎ出し、いつの間にか意識がなくなっていたことに焦り始める。
(ちゃんと……出来たよね? いや、普通が全く分からないけど)
リネンは、サラサラしていて綺麗な物に交換されている気がする。今が何時なのかさえ分からない。
自分よりも、太く逞しい腕に閉じ込められていることを認識すると、意識がハッキリと覚醒した。昨日の夜、抱いてくれたレライエの腕の中にいて、背中側の触れる肌の感触から二人とも何も身に着けていないままだ。
(嘘。は、裸のまま!? )
初めてで疲れて寝落ち……したのか、魔力を馴染ませたために意識が落ちたのか分からない。ただ、触れ合う肌から体温が伝わってくる。
汗などは感じないので、魔法で綺麗にされたみたいだと思うと本当に恥ずかしい。
だとしても、直接肌に当たるので……下着くらい穿かせてくれても……と思ったところで、冷静になった。意識がなくて世話をしてもらったのだから、迷惑極まりない。レライエを責めるのは、間違っていると、ひとしきり反省する。本物の王子様に、一般市民が世話をさせるって、駄目過ぎる。
(とにかく、ふ、服を)
のそ、のそとレライエの腕の中から、抜け出そうと腕を動かすと、簡単に捕縛され引き寄せられた。
「レイ? 起こしてごめんね」
項に唇が触れて、肩の辺りまでチュッ、チュッ……と啄まれると、昨夜のことが鮮明に浮かび、恥ずかしさに妙に上擦った大きな声がでてしまう。
「まっ、待って!」
ピタリと、キスが止まった。
「セーレ?」
名前を呼ばれただけで、キュンとしてしまう。いけない、こんなことでドキドキしていたら、傍にいることに心臓が耐えられなくなりそうだ。
「とととと……とりぃあえ……ず、服を着てから。せ、せめて下着を穿かないと……落ち着かないから!!」
「ああ。湯浴みをしてからが良いと思って。行こう」
「行こうって、どこに?」
「湯浴みに。立てないと思うので、連れていきますね」
手で抵抗しても敵う訳がなく、魔法で体を軽くして移動しようとすれば、疲れているので魔力を使わないようにと止められた。無駄に抵抗した後、軽々と抱きかかえられて運ばれていく。
流石にタオルで前を隠してくれたけれど、見えている皮膚の所々にうっ血痕がある。
(いっぱい痕がある……いや、これも普通?普通が全く分からない)
レライエの顔をチラ見すると、眩しい笑顔を向けられて、心拍数が跳ね上がる。
昨日無理させたからとか、丁寧に頭から足の爪の先まで丁寧に洗われていく。抱きかかえられて、レライエの上に乗り背中を預けるように湯に浸かった。
ずっと密着しているのに、動揺する素振りもなく、変わらずに接してくるので、自分だけ緊張して居た堪れない。変に緊張をしているのを誤魔化そうと、今日の予定を確認しようと話かけた。
「レイ!! 魔法で、ガッとやって良かったんだよ!? 僕に時間かけるの勿体ないよ。ほ、ほら今日の予定は? 何かあったんじゃないの? 第一王子殿下は、キリエとどうしてるのかな?」
「第一王子……、キリエ……」
小さく呟くようにレライエが復唱した。
「レイ、どうかした?」
「──あの二人が契約したのなら、セーレは狙われなくて済むかと思って」
神子が浄化を上手く使えないのは、神子が守護者と契約出来ないからだ。キリエが元に戻ったら、さらに魔力の威力は増しそうなのは確かだ。相手もヒーローの一人テオドール殿下なのだから。
浄化と考えると、キリエはどうなのか分からない。
もしも、キリエを助けた時のように、浄化も相性の良いレライエとなら使えるのたろうか?神子達がいたから、影響を受けて発揮出来た可能性も捨てられない。
なら攻略対象と皆で浄化に向かえば、厄災を終わらせて、念願のスローライフを目指せるかもしれない。
レライエを悪役王子にせずに、幸せにしてあげることが叶う日が来るのなら、それが一番幸せな気がする。
「やっぱり、皆で女神ヴィオラの厄災を……止めよう」
「セーレ。神子に接触するのはだめだ」
「終わらせない限り、向こうから来るよ。メイシアもいるし、キリエが味方なら、第一王子……王太子殿下も、無理やり押しかけて来ない思う。それに……レイは、殿下と話した方がいいと思う……あ、れ」
ぐらり、と視界が揺れた。
ずっと、湯に浸かっていたためか、のぼせて、この後もレライエに世話を焼かれ続けるとかありえない。
メイド姿のメグからの温い視線が、居た堪れなかった。
392
あなたにおすすめの小説
過労死転生した悪役令息Ωは、冷徹な隣国皇帝陛下の運命の番でした~婚約破棄と断罪からのざまぁ、そして始まる激甘な溺愛生活~
水凪しおん
BL
過労死した平凡な会社員が目を覚ますと、そこは愛読していたBL小説の世界。よりにもよって、義理の家族に虐げられ、最後は婚約者に断罪される「悪役令息」リオンに転生してしまった!
「出来損ないのΩ」と罵られ、食事もろくに与えられない絶望的な日々。破滅フラグしかない運命に抗うため、前世の知識を頼りに生き延びる決意をするリオン。
そんな彼の前に現れたのは、隣国から訪れた「冷徹皇帝」カイゼル。誰もが恐れる圧倒的カリスマを持つ彼に、なぜかリオンは助けられてしまう。カイゼルに触れられた瞬間、走る甘い痺れ。それは、αとΩを引き合わせる「運命の番」の兆しだった。
「お前がいいんだ、リオン」――まっすぐな求婚、惜しみない溺愛。
孤独だった悪役令息が、運命の番である皇帝に見出され、破滅の運命を覆していく。巧妙な罠、仕組まれた断罪劇、そして華麗なるざまぁ。絶望の淵から始まる、極上の逆転シンデレラストーリー!
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!
水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。
それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。
家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。
そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。
ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。
誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。
「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。
これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。
婚約破棄されて追放された僕、実は森羅万象に愛される【寵愛者】でした。冷酷なはずの公爵様から、身も心も蕩けるほど溺愛されています
水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男アレンは、「魔力なし」を理由に婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡され、社交界の笑い者となる。家族からも見放され、全てを失った彼の元に舞い込んだのは、王国最強と謳われる『氷の貴公子』ルシウス公爵からの縁談だった。
「政略結婚」――そう割り切っていたアレンを待っていたのは、噂とはかけ離れたルシウスの異常なまでの甘やかしと、執着に満ちた熱い眼差しだった。
「君は私の至宝だ。誰にも傷つけさせはしない」
戸惑いながらも、その不器用で真っ直ぐな愛情に、アレンの凍てついた心は少しずつ溶かされていく。
そんな中、領地を襲った魔物の大群を前に、アレンは己に秘められた本当の力を解放する。それは、森羅万象の精霊に愛される【全属性の寵愛者】という、規格外のチート能力。
なぜ彼は、自分にこれほど執着するのか?
その答えは、二人の魂を繋ぐ、遥か古代からの約束にあった――。
これは、どん底に突き落とされた心優しき少年が、魂の番である最強の騎士に見出され、世界一の愛と最強の力を手に入れる、甘く劇的なシンデレラストーリー。
白金の花嫁は将軍の希望の花
葉咲透織
BL
義妹の身代わりでボルカノ王国に嫁ぐことになったレイナール。女好きのボルカノ王は、男である彼を受け入れず、そのまま若き将軍・ジョシュアに下げ渡す。彼の屋敷で過ごすうちに、ジョシュアに惹かれていくレイナールには、ある秘密があった。
※個人ブログにも投稿済みです。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます
オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。
魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる