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第4章 獣人
10 フラン邸の兎 ③
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ユラと手を繋ぎ、リオの所へ向かう。
何か様子が変だ。
バンと大きな音と共にドアが開いた。室内からロロットが飛び出して来た。
思わずぶつかりかけたユラを抱き寄せ抱え上げて避けると、ロロットも避けようとしてバランスをくずして転ぶ。
慌てて、追いかけてきたのはジョエルだ。
「ロロット!待ってくれ!!」
「嫌だ!」
そう言って立ち上がり俺の後ろに、ロロットが回りこむ。
「痴話喧嘩か?ロロット……お前の会いたい奴じゃなかったのか?」
少し後ろを見て話すと、俺に気が付いたようだ。
「あ、ガイアさま。あ、ユラ…ちゃん?」
部屋から追いかけて来たクリスが、なんとも言えない顔をする。
「クリスどうしたんだ?」
「とりあえず……中に戻ってもらえるといいのですが……部屋の外で話す内容ではありませんので」
「ガイア様とユラちゃんが一緒なら行く」
「もちろんです。さ、皆さん。リオ様が待っています……ジョエル……貴方も行きますよ」
ぞろぞろと室内へ入っていく。
「ああ、ガイア……お疲れ様」
「リオ何があったんだ?」
気まづそうな、なんとも言えない顔をする。
「まぁ、男の甲斐性的な問題かな……」
「どういう意味だ?」
歯切れが悪いな。一体何があったんだ?
「こんな奴と、番なんて……迎えに来るって……嘘つき!」
ロロットが真っ赤な顔して、怒鳴っている。
「ジョエルの浮気現場らしいのを……そこのロロットが見てね」
「違います!!浮気なんてしてません!!」
必死にジョエルが言っても埒が明かない。
「だったら、あの女何?抱き合ってたじゃん」
「だから、誤解なんだ! 困るって無理だって言ったら……ロロットの声が聞こえて、まさかと思って向きを変えた瞬間に飛びついて来て押し倒されたんだ!慌てて、起きようとしたら、首のところに抱きついてきたんだ。本当だ!!」
「あの、女が……いつも隠れてしてるのって。見られちゃったって、言った!」
「抱きついてたのを見たら、それはショックだろうね」
リオが、ため息をつく。
「違います!」
「嘘つき!!どんな気持ちで待ってたと思ってるの?奴隷にさせられそうになって……逃げて、逃げて会いに来たのに!家族も失って、それでもここまで来たのに……ふざけんなー!!」
飛びかかりそうになったのをクリスが押さえ込んだ。
「離せー!」
足も腕もばたつかせている。
「あーもう。ガイア、ちょっと黙らせてくれ」
仕方がない。ユラを床に降ろして羽交い締め状態のロロットの口に手をかざした。
「───少しだけ黙ってろ。大丈夫、ジョエルの話を確認したら、声は出せるようにしてやるから」
パクパクと口を開けているが声にはならない。ようやく状況を理解して、口を閉じた。その様子を見て、ユラがロロットの手を握り締めた。
「ロロット……ちゃんと話を聞いてみよう?ね?」
涙目のロロットが、頷いて2人でソファに並んで座る。
2人とも小さいので……なんと言うか……とても可愛らしい。リオがニヤニヤしている。
思わず睨むと、両手を挙げた。
「お前も座ってくれ……ユラちゃんの横か、な?」
黙って、ユラの横に座ると……俺を見上げて微笑んでくるから、タチが悪い。クソ可愛い。
コホンとわざとらしく、クリスが咳払いをした。
「ロロット……本当に違うんだ。あの女は、人にも獣人にも言いよってるんだよ。お金が必要みたいで、問題を起こして……和解料を請求してるんだ」
「あの女って、狐獣人のシャルか?」
リオが何か思い当たるようだ。
「噂で、病気の子供の為にお金がいるとかで……仕事のお金じゃ足りないみたいです。それで……騙したり詐欺を働いてて。すみません。こんな話をしたら、獣人の皆がクビになるかも知れないし。でも、ロロットには信じて欲しいから。お金貸してって……でも、お金貯めないと迎えにいけないので断ったら抱きつかれました」
ロロットを見たら、大きな目からボロボロと涙をこぼし手をギュッと握り締めていた。
「ロロット……ジョエルさんを信じて」
そう言って、ユラは立ち上がり手を握ってジョエルの前にロロットを連れて行った。
「ジョエルさん、獣人の人はフラン領内でも皆……大変なの?王都よりマシだって聞いたけど……シャルさん……も仕方なかったの?」
ユラが泣きそうになっている。
ジョエルがロロットを抱きしめ……
「ごめんな。生活するのがやっとで、恋人の証を買うの……もうちょっとだったんだよ。それから迎えに行こうと思ってた。遅くなってごめん」
ユラが俺のところに戻ってきて抱きついて来た。
「なんで、姿が違うだけで……皆悲しい思いをするのかな?」
優しいユラが傷付いていく。自身も巻き込まれかねないのに……関わるなと言ってしまいそうになる。
「なんとかしたいと思っているよ」
その時、リオが一言そう言った。
何か様子が変だ。
バンと大きな音と共にドアが開いた。室内からロロットが飛び出して来た。
思わずぶつかりかけたユラを抱き寄せ抱え上げて避けると、ロロットも避けようとしてバランスをくずして転ぶ。
慌てて、追いかけてきたのはジョエルだ。
「ロロット!待ってくれ!!」
「嫌だ!」
そう言って立ち上がり俺の後ろに、ロロットが回りこむ。
「痴話喧嘩か?ロロット……お前の会いたい奴じゃなかったのか?」
少し後ろを見て話すと、俺に気が付いたようだ。
「あ、ガイアさま。あ、ユラ…ちゃん?」
部屋から追いかけて来たクリスが、なんとも言えない顔をする。
「クリスどうしたんだ?」
「とりあえず……中に戻ってもらえるといいのですが……部屋の外で話す内容ではありませんので」
「ガイア様とユラちゃんが一緒なら行く」
「もちろんです。さ、皆さん。リオ様が待っています……ジョエル……貴方も行きますよ」
ぞろぞろと室内へ入っていく。
「ああ、ガイア……お疲れ様」
「リオ何があったんだ?」
気まづそうな、なんとも言えない顔をする。
「まぁ、男の甲斐性的な問題かな……」
「どういう意味だ?」
歯切れが悪いな。一体何があったんだ?
「こんな奴と、番なんて……迎えに来るって……嘘つき!」
ロロットが真っ赤な顔して、怒鳴っている。
「ジョエルの浮気現場らしいのを……そこのロロットが見てね」
「違います!!浮気なんてしてません!!」
必死にジョエルが言っても埒が明かない。
「だったら、あの女何?抱き合ってたじゃん」
「だから、誤解なんだ! 困るって無理だって言ったら……ロロットの声が聞こえて、まさかと思って向きを変えた瞬間に飛びついて来て押し倒されたんだ!慌てて、起きようとしたら、首のところに抱きついてきたんだ。本当だ!!」
「あの、女が……いつも隠れてしてるのって。見られちゃったって、言った!」
「抱きついてたのを見たら、それはショックだろうね」
リオが、ため息をつく。
「違います!」
「嘘つき!!どんな気持ちで待ってたと思ってるの?奴隷にさせられそうになって……逃げて、逃げて会いに来たのに!家族も失って、それでもここまで来たのに……ふざけんなー!!」
飛びかかりそうになったのをクリスが押さえ込んだ。
「離せー!」
足も腕もばたつかせている。
「あーもう。ガイア、ちょっと黙らせてくれ」
仕方がない。ユラを床に降ろして羽交い締め状態のロロットの口に手をかざした。
「───少しだけ黙ってろ。大丈夫、ジョエルの話を確認したら、声は出せるようにしてやるから」
パクパクと口を開けているが声にはならない。ようやく状況を理解して、口を閉じた。その様子を見て、ユラがロロットの手を握り締めた。
「ロロット……ちゃんと話を聞いてみよう?ね?」
涙目のロロットが、頷いて2人でソファに並んで座る。
2人とも小さいので……なんと言うか……とても可愛らしい。リオがニヤニヤしている。
思わず睨むと、両手を挙げた。
「お前も座ってくれ……ユラちゃんの横か、な?」
黙って、ユラの横に座ると……俺を見上げて微笑んでくるから、タチが悪い。クソ可愛い。
コホンとわざとらしく、クリスが咳払いをした。
「ロロット……本当に違うんだ。あの女は、人にも獣人にも言いよってるんだよ。お金が必要みたいで、問題を起こして……和解料を請求してるんだ」
「あの女って、狐獣人のシャルか?」
リオが何か思い当たるようだ。
「噂で、病気の子供の為にお金がいるとかで……仕事のお金じゃ足りないみたいです。それで……騙したり詐欺を働いてて。すみません。こんな話をしたら、獣人の皆がクビになるかも知れないし。でも、ロロットには信じて欲しいから。お金貸してって……でも、お金貯めないと迎えにいけないので断ったら抱きつかれました」
ロロットを見たら、大きな目からボロボロと涙をこぼし手をギュッと握り締めていた。
「ロロット……ジョエルさんを信じて」
そう言って、ユラは立ち上がり手を握ってジョエルの前にロロットを連れて行った。
「ジョエルさん、獣人の人はフラン領内でも皆……大変なの?王都よりマシだって聞いたけど……シャルさん……も仕方なかったの?」
ユラが泣きそうになっている。
ジョエルがロロットを抱きしめ……
「ごめんな。生活するのがやっとで、恋人の証を買うの……もうちょっとだったんだよ。それから迎えに行こうと思ってた。遅くなってごめん」
ユラが俺のところに戻ってきて抱きついて来た。
「なんで、姿が違うだけで……皆悲しい思いをするのかな?」
優しいユラが傷付いていく。自身も巻き込まれかねないのに……関わるなと言ってしまいそうになる。
「なんとかしたいと思っているよ」
その時、リオが一言そう言った。
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