おんなの一生

ぽこ

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19歳

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友達に紹介してもらった同い年の
崇とは知り合ってすぐに付き合い出した

崇は友達の言ってた通り
とてもいい人で優しい

付き合い初めてから約半年
私は彼と連絡は取るのをやめていた

そんな彼から連絡が来たのは
誕生日の数日前

「久しぶり、元気?もうすぐ誕生日だろ、飲みにでも行く?」

崇と彼
私が選んだのは彼だった
久しぶりに見た彼に
驚く程胸は高鳴り
同じくらいの罪悪感

「誕生日おめでとう、これプレゼント」

初めてもらったプレゼントは
星型のネックレス
いつか好きだと話してた
星の話を彼は忘れてなかった

「ありがとう」

「全然連絡できなくてごめんね、ちょっと仕事が忙しくてさ」

彼はグラスを片手に微笑みかける
正に夢のような時間
崇の事を話そうか
少し躊躇った

「実はね、今付き合ってる人がいるの」

彼の目を見つめた
彼の反応が知りたくて
彼はどう思うのか
知りたくて

「そうか…よかったじゃん」

少しの沈黙の後
彼はいつもの笑顔で
喜んだ

誕生日を俺と過ごしていいのかよ
なんて言いながら
いつもと同じようにお酒を飲んだ

これが
彼の答えなのか
この半年
いつも崇と笑い合いながら
彼を重ねて
寂しさを紛らわし
崇の手の感触を
彼の手を思い浮かべ
受け入れた

「あなたとは友達だからいいじゃない」

友達なんて言葉
初めて使った

「ははっ、そうかもな」

それに彼は応える
ああ
友達だなんて
言わなきゃよかった
認めて欲しくなかった

「そろそろ出ようか」

約2時間語り尽くして出たお店
外に出ると火照った身体を寒空が冷やす

「うわー寒い!」

駅までの道のりを彼とゆっくり歩き出す
少し離れた微妙な距離は
半年前と全く変わらず
全然縮まらないこの距離を
私は何度憎んだだろう
彼と居た時間は
崇の事は頭になかった
久しぶりに会った彼を
見つめる事が精一杯で
毎回彼に会うたび見納めるかのように
一瞬一瞬の彼を胸に刻み込む

「紗理奈こっち方面だから電車逆だな、俺あっちだから」

今日が最後になりそうな
そんな感じがした

最後にするって
一度は決めたはずなのに
すがるように彼の袖を掴んだ

初めて触れた彼の服
指先は少し震える

「こら、彼氏に見られたらどうするんだよ?」

余裕のある笑顔が
なんか悔しい

「いいの…」

私の言葉を聞いた彼は
袖をつかむ私の手を握り
額に軽いキスをした

チュっと音をたてて
キスされた額は甘く痺れてる

初めて触れた彼の手は
とても冷たかった

「おやすみ、また連絡するよ」

この関係に
誰か名前をつけてください
これは恋愛って呼んでもいいのかな
額をそっと撫でてみる
胸がいっぱいで
寒さなんて忘れてしまいそう
崇の事も今は考える事が出来なかった
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