夏休みを視た君と

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夏休みを視た君と

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とある夏
小学5年生の悠太が
またいつものメンバーで集まり
またいつものしょうもない話を始めるのであった

悠太      この短い夏休みをどうにかならないか、なんとかしようと思わんのかみんなは⁉️

謙一      また急になんなん?

悠太      絶対短いって!!
              考えてみてや   小5の夏休みっておれらにとって最初で最後やで!!
              ってことは約40日ってめっちゃ短いやん!!

亮平      意味わからん。

謙一      まぁ最初で最後かも知らんけど40にちもあるんやで。
充分ちゃうん❓️

悠太       よぉ~思い出してみてみ、4年の時どうやった⁉️
・・・・なっ、一瞬やったやろ?
それじゃあかんねん。
なんとかせなあかんねん。

亮平       ほんまや!!

謙一       なんでやねん。

そんなこんなで亮平と謙一は夏休み最初に宿題やる派というとこで家に帰っていった



悠太       (めっちゃ大事なことなんやねんけどなぁ・・・

おとんの夏休みってお盆の6日間だけやって言ってたし・・・

そんなん夏休みちゃうやん

大人なったら夏休み無いやん

このことに気付かなあかんねん

・・・・ってあいつらに教えたったのになぁ・・・

・・・やっぱいつも通り俺が間違ってんのかなぁ・・・)

悠太はついいつもの癖で考えこんでしまう
悠太の考えでは子供は小学生までなのである
中学生からは子供じゃないのである
なので小学5年生はぎりぎり子供なのでなんとかこの夏休み中になにかを成し遂げたいと考えているのである

悠太     (・・・っさ、いつまでも考えてたってしゃ~ないし、俺もちょっとは宿題しに帰るか)

悠太は夏休みの宿題はなんとか最終日までに終わればOK派なのである




悠太が家に帰る道中
ある女の子が話しかけてきた




女の子     ・・悠太くん!?

悠太          えっ

そこに立っていたのはとても可愛く、会ったことも無いはずなのに何故か懐かしさを感じさせる
そんな女の子がそこには立っていた



女の子       ・・私のこと覚えてる??

悠太            ・・・・・・

正直なんのことか全くわからなかった

悠太        (えぇぇぇ・・・何急に・・・

めっちゃかわいい娘が喋りかけてくるって何なん??

しかも誰やねん・・

覚えてる?って言われても全然知らんし・・・

でもどう考えてもおれの名前呼んだよなぁ・・・・

やばいなぁ・・・・

やばいなぁ・・・・

・・・このまま帰ったったら怒るかなぁ・・・)

女の子     ・・・やっぱり覚えてないんやね
私4歳まであそこの市営団地に住んでた渡邊華です。
・・・・・思い出した??

悠太          あっ!!華ちゃん!!

華             思い出してくれた!ありがとう!久しぶりやね!


悠太は7歳まで、華は4歳まで市営団地に住んでいたのだ
悠太が4階、華は3階に住んでおり
上下階ということで親同士も仲が良く
しょっちゅう一緒に遊んでいたのだ

悠太       思い出した!思い出した!
久しぶりやなぁ~   とにかくびっくりしたわぁ!

華           私もこんなに早く会えると思ってなかったからびっくりしてとっさに声かけちゃった!
びっくりさせてごめんね。

悠太       いやぁ・・だって4歳ぐらいやもんね、引っ越したん。
そのころとは結構変わってるから最初見てもわからんかったわぁ!

華          ・・・悠太くんは変わらずカッコいいから
私すぐわかった。

悠太      ・・・・はっ・・はずいっす

あのころのまま可愛く成長した姿で現れた幼馴染との再会によりさっきまでの悩みが嘘のように消えていった
そして立ち話もなんやからと近くの公園に行きお互いの現状を語り合った
華は父親の転勤により京都で暮らしていること、兵庫に帰ってきたのは親戚の家に遊びにきたからだということ、
そして
どうしても悠太に会いたかったということを話してくれた

悠太      えっ・・なっなっ・・・なんで俺に!?

華          あの頃悠太くんと遊んでたのが本当に楽しくて、今でも夢に出てくるくらい本当に本当に楽しくて
それでちょっとだけ無理言って来ちゃった!

悠太       (えぇぇぇ・・・俺さっきまで普通に忘れてた・・・どうしよう・・・・なんか悪いことしてもうたなぁ)

悠太      せっ・・・せっかくやしなんかして遊ぼっか!
何がしたい?
それかどっか行きたいとこある??

華          本当に!?嬉しい!!・・・・けどごめんね。
実はあまり時間がなくて・・・

悠太      ・・・そうなんやぁ・・・用事?

華           ・・・うん・・・じっ・・実はお母さんが神戸国際病院ってところで入院してて、
・・・・そんで今日兵庫に来たのもお母さんのお見舞いの為やねん。

悠太        えっ!?あのおばちゃん入院してんの!?
めっちゃ元気で明るいおばちゃんやったのに・・・
それやったらじゃ~すぐにでも行ってあげてよ。
なんやったら俺のチャリの後ろでよければどっかよきとこまで送ったんで!

華       ほんまに!!!
めっちゃ嬉しい!悠太くんと自転車乗れるなんて・・・、宜しくお願いします。

悠太     よっしゃ行こう!!

そして二人は自転車に乗り出発した
華は何も変わっていなかった
いつも笑顔で
母親想いで
悠太にいつも優しく
悠太に好意をもっているであろうということ
そして悠太も華にたいして同じ気持ちであるということ


しばらく自転車で走っていると
華が思わず叫んでしまった


華      ・・・悠太くんごめん!


                    キィィー    

とっさにブレーキをかける悠太


悠太     どうしたん?華ちゃん。

華        ・・・・・ちょっと寄り道していい??

悠太       俺は良いけど。・・・

華と悠太は寄り道の為再び走りだした
着いた先は
数年前二人が暮らしていた市営団地であった

華           全然変わってないね。

悠太       まぁ変わってないわなぁ。

華           せっかくやしいつも良く二人で遊んでた3階と4階の間の踊り場行ってみよっ!

悠太        えっ・・・俺は良いけど。

自転車を下に置き
二人は懐しさを感じながら階段を登っていく

華            うわぁ~懐かしいわぁ~!
ここで悠太くんとレジャーシートしぃてオママゴトしたりして遊んだやんねぇ!

悠太         良く覚えてんなぁ。

華             ・・・・ちょっと座らへん?

悠太         ・・・俺は良いけど、
・・・時間大丈夫?

華              ・・・・ちょっとだけやから。

二人は黙って座り込み当時のこと思い出していた
すると華がそっと悠太の肩に頭を乗せ
『ずっとこのまま
この夏休みが永遠に続いたらたら良いのに・・・』
と呟いた

そして悠太はどことなく華の気持ちを感じ取り
華の肩を持ち、目をじっと見つめた

悠太       そうやねん!夏休みを終わらせたらあかんねん!小5の夏休みはこれで最初で最後やねん!華ちゃんもそう思ってくれるんやったら俺本気でなんとかするわ!今は全然何したらいいかわからへんけど、とにかくなんとかするわ!

華は急に熱くなる悠太を見てちょっとびっくりしたが、
自分のためになにかをしようとしてくれているということがわかり
思わず涙が出た

華      ありがとう。悠太くんは本当に優しいね。・・・・・でももうあかんねん。・・・もう私・・・あかんねん・・・。

悠太     えっ・・・どうしたん?・・・何がアカンの?・・・・

華は涙を裾で拭き、
なんとか頑張って笑顔をつくって見せた
するとさっきまで間違いなくそこに居た華はいつの間にか居なくなっていた

いきなりのことで何が起きたか訳もわからないまま悠太は無我夢中で華のことを探した




悠太      えっ?

嘘やろ?

えっ?

華ちゃん?

どこ行ったん?

なんで?

どういうことなん?



無我夢中で探したが急に居なくなった華を見つけることは出来なかった



悠太      どいうことなんやろう・・・

全然わからへん・・・・

さっきまで一緒におったのに・・・・

目の前で急に・・・・


諦めかけていたその時
ふと華が言っていた言葉を思い出した




悠太      ・・・・ 神戸国際病院






とにかくチャリを飛ばし家に帰り地図をみてまたチャリを飛ばした
なぜかはわからないがそこに行けば何かが有るような気がした
行かなければいけない気がした
無我夢中でチャリを走らしているといつの間にか辺りも暗くなり
そしていつの間にか神戸国際病院が見えてきた



悠太      ハァハァハァ・・・・・ここが神戸国際病院・・・・

夜間受付が開いていたので
即座に受付の女性に訪ねた


悠太       ハァハァハァ・・・渡邊華さんのお母さんは何号室ですか??

悠太     (やってもうたぁ。
意味わからんこと言ってもうたぁ。
渡邊華さんのお母さんってなんやねん。
しかもなんでこんなとこ来たんやろう。
華ちゃんのおばちゃんに会ってどないすんねん。
)



すると



受付の女性        ・・・ええっと、渡邊華さんですよね。
渡邊華さんなら入院されてますけど・・・
お知り合いですか?


悠太はもう何がなんだかわからなかった
言われるがまま受付を済ませ
そしてある病室に案内してもらった
するとそこにはまぎれもなく渡邊華ちゃんがベットで眠っていた







これはあとから聞いた話だが
華ちゃんは若年性白血病になり京都の病院で入院していた
ほとんどの人生を病室で過ごしていたので悠太と遊んでいた日々がとても楽しく忘れられなかった
しかし遂に余命を告げられ
せめて最期は楽しかったあの兵庫に帰りたいとの本人たっての希望により神戸国際病院に移った
そして踊り場から居なくなったちょうどその時間に天国に旅立っていた



悠太が一緒にいたあの女の子は間違いなく華ちゃんであり
あの夏は今でも鮮明に思い出に残っている

華ちゃんと一緒に過ごしたあの夏の匂い、あの温もり、あの気持ちを忘れない

きっと華ちゃんは悠太との過ごした日々が何より大切だったから
また新しく大切な思い出をつくりたかったから会いに来てくれたのだろう

悠太と華のとても短くて儚い夏休みわは終わったが
最初で最後の永遠の夏休みはきっと
ずっと
これからも続いていく


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