カーキボーイ

柿崎ゴンドウ

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好奇心の手、手、手

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眩しさで目が覚める。

陽がまっすぐガラス天井にさして、瞼越しにも眩しい。
躰を支えているのが堅い物質なのに気がついた。コンクリートの上で寝ていたのだ。
ゆっくりと仰向けから躰を反転させる。
いつのまにか拘束も解かれていた。

「く、く、う…」

喉がカラカラだ。
フラフラと立ち上がる。

「!」

一面灰の山になっていた。自分を呑み込み、歓喜に全身を震わせていた肉壷は枯れきって、その肉感的な骨格は完全に姿を消していた。

屋敷内に戻ると魔女はおろか、従者、出入りする者ひとりも姿が見えなかった。
不信感しかない。
あてがわれた病室に戻る。特に変化はない。
冷蔵庫を開けると水が入っていた。ペットボトルの中身は瞬く間になくなる。
一息ついて、今の自分は腑抜けた情けない表情をしているだろうと思った。

洗面台の鏡を捉える。
疲れと忌まわしい体験で目つきはなんとなく険しくなっていた。

「?。。。!」

見て気づいた。六個のバングルは消え去っている。
実際に見ても、バングルをつけていたあとが微かに残っているだけだ。

日がたってしまったのかと思い、カレンダーを見つけるが確かに翌日だ。
鏡に映るアコ。細い躰つきが少し逞しくなっていた。

誰もいないなら屋敷に留まる必要はないと外に出ることにした。
が、荷物を探るも着てきた服がない。
代わりにベッドに自分では買わないであろうドレッシーなシャツとパンツが丁寧に畳まれて置かれていた。

「。。趣味と合わないな。。!」

『何年たってもあなたは美しいですね。美の秘訣は?』
『時間には逆らえないからね。最上の美容成分を肌に入れてもらってるんだ』
ギャラリーから驚きの声。

服に手を伸ばそうとした時に白昼の記憶が沸いてくる。
美容整形外科がスポンサーの動画だった。
整形手術で美青年なった俳優がインタビュアーへ優雅に答えている。

「(なんでこんな下世話な記憶が出てくるんだ…)」

日が沈んだ頃。
体調がある程度回復したアコは一度帰宅することにした。

駅の人混みを歩くのがかなり久しぶりな気がしてしまう。
それだけ、この数日の体験は異常を極めた。
行くべきホームはどこかとぼんやり構内を歩いていた。


後方から、ギラつく瞳でアコの尻の動きを眺める集団。


帰宅ラッシュに巻き込まれ、久しぶりにすし詰めにされる。

魔女は記憶が戻る手助けをしてくれるとアコを肉壷に入れた。
だが今のところ蘇ったのは、思い出すべき記憶だったのかも怪しい映像だけだ。

「ん。。」

電車が揺れているにしては、さっきから周囲との接触が多い気がする。

その接触は徐々に間隔が近くなり、触れる時間は長くなり、複数になった。
尻の曲線を知られ、腕の太さもわかり、太ももの硬さを調べられる。

「ん、あ。。//」

意識していないにも関わらず、数日の体験のせいで身体が反応してしまう。

「。。感じてるの?お兄さん」「!」

突然ささやく甘い声が耳元に入る。

「いいカラダだから、思わず、ね」

気がつくと周囲には端正な顔立ちに不釣り合いな熱を持った瞳の男たちが
アコを取り囲んでいた。
これは完全に犯罪だ。初めて被害者になり、唖然として固まってしまう。

「もっと知りたいな、あなたのこと」

甘い声色で抵抗する力を奪われる。
何本ともわからない手が伸びてきてアコに触れる。
優しく、暖かい掌が全身を愛ではじめる。

ゆっくりとシャツのボタンが外されていく。
腕で制止しようとも無駄だ。他の者に片腕ずつを導かれた。

「(触ら、されてる。。。///)」

ジーンズの上から掌で上下させられる。
服の上からでも見事なモノとわかってしまう。
その間にも両乳首に手が伸び転がされたり、首に唇が這う。

「く///んん////」
「がまんしないでよ。悪い子だなぁ」

電車であることを忘れそうだ。
外を確かめようにも彼らの体格がよく、視界は閉ざされている。

「は、ははぁ////」
「そう、息を吐いて。もっと感じて」

別の大きな手が軽く、執拗にアコの股間を撫で上げる。

「ほぉら、お兄さんのは正直だね」

言葉の通り、アコの男根は硬さを持ち始めた。
相次ぐ淫らな応酬にアコは完全にパニックに陥ってしまった。

「おやぁ?お兄さん。気分が悪そうだね」

リーダー格の男が仲間に目配せする。

「電車を降りようね。僕らが介抱してあげる」

不敵な笑みが間近に迫り、到着した小さな無人駅でアコはそのまま拉致された。



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