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3. 村に向かうふたり - 1
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(カラシン視点)
目を覚ますと、毛布を被って寝ていた。あれ? 俺の毛布じゃない。と思った途端、昨晩の記憶が蘇り慌てて起き上がる。だが身体が軽い。それに足の痛みが無い! 魔物に襲われて怪我をした右足を見て驚いた。怪我が無くなっている! 傷跡すら残っていない。あれは夢だったのか? いや、夢ではない証拠に、ズボンの太ももの部分が大きく裂けている。クマの魔物の爪にやられたのだ。しかし、ズボンに付いていた血さえ綺麗に無くなっているのはどういうわけだ?
そういえばあの娘はどこだ。周りをきょろきょろ見回していると、どこからか大きなフクロウが飛んできて、すぐ近くの木の枝に留まった。こちらを睨みながら
「ホゥ、ホゥ」
と大きな声でまるで威嚇するように鳴く。襲って来るのかと腰の剣に手をかけて身構える。フクロウは俺を睨みつけていたが、しばらくするとどこかへ飛び去った。なんだ唯のフクロウかと肩の力を抜く。
フクロウより娘のことだ。あの娘は何者だ、昨晩のことが夢でないとしたら、人外の者であるのは間違いない。この森に住む魔族として知られているのは、エルフ、ドワーフ、オーガ、アラクネ、ラミアで、外見で人間と区別が付くはずだ。ということはあの娘は俺達の知らない魔族か。人間そっくりと言うことは噂に聞く吸血鬼だろうか、口の周りに血が付いていたのは誰かの血を吸った直後だったから? 吸血鬼なら昼間は活動できないはずだ、見当たらないのはきっとそのせいだ。だったら逃げるのは今の内だ。
だが、俺の予想は外れだった。逃げようとした途端、視界の端に娘の姿が入った。朝日を浴びて平然と歩いている。吸血鬼ではありえない。いや、同じ吸血鬼でも真祖と呼ばれる上級種は日の光を恐れないと聞いた。だとすると、あの娘はとんでもない奴と言うことになる...。
(ソフィア視点)
湧き水で水筒に水を補給して戻ってくると、カラシンさんも目が覚めた様だ。こんな時は挨拶するんだったっけ...。怖いけど失礼な奴だと怒られたらいやだ。
「お、おはよう」
と言ってみると、意外にも「お、おはよう」と返ってきた。
挨拶が住むと、私はリュックからリクルの実をふたつ取り出し、途中で取ってきた大きな葉の上にのせて、食べやすい大きさに短剣で切る。もちろん短剣は湧き水で綺麗に洗ってある。
リクルの実をひとつ皿替わりの葉に乗せてカラシンさんに差し出すと、「あ、ありがとう」と言って受け取ってくれた。お母さん、私、人間と会話出来てるよ!
その後は朝ごはん替わりのリクルの実を食べる。ふたりとも無言だ。カラシンさんは寡黙な人の様だ。なんだか同類と言う感じで少し親近感が湧いた。
(カラシン視点)
娘(確かソフィアだったか)が無言で葉っぱに乗せた果物らしきものを差し出す。朝食ということだろう。確か昨晩も食べさせられたやつだ。昨晩は腹が減っていたからガツガツと食べてしまったが、正直言って俺には少し甘すぎる。まあこんな森の中で贅沢は言えない。俺なんか持参していた携帯食料はすべて食べつくしてしまっている。ソフィアに遭わなければ死んでいただろう。もっともソフィアの気分を害したらすぐに殺されるだろうから、生きた心地がしないのだが。
それにしても、明るい光の中で見るソフィアは昨晩とは別人の様だ。もちろん口の周りに付いていた血が綺麗に拭われているのも理由だ。背の高さは俺と同じくらい。俺は生まれ育った村では体格が良い方だった。身体に自信が無ければ、いくら魔法の才能があっても冒険者なんて危険な職業に就こうとは考えなかっただろう。その俺と同じくらいの背丈なのだ、女性の中ではかなり高身長の方だ。年齢は20くらいだろうか? なかなかの美人で、金髪に青い目で、身体はスリムだが出るところは出ていて抜群のプロポーションをしている。思わずドキッとした。何を馬鹿な事を考えている、相手は人間じゃないんだぞと自分に言い聞かせるが、ドギマギして、結局一言も話せなかった。
食事が終わるとソフィアが立ち上がり焚火に手を翳す。すると焚火が一瞬で消える。よく見ると燃えかすの表面に霜が張っている。魔法で一気に冷却して火を消したのだ! 恐ろしい程の魔力だ。人間の魔法使いなら10人掛りでも出来るかどうか。その後、驚愕している俺に向かって一言、
「いく」
と言って、ある方向を指さした。太陽の方向から考えて、今回俺達冒険者に魔物駆除の依頼を持ち込んできた開拓村がある方向だ。当然、俺に付いて来いという意味だろうと確信した。だが次の言葉で戸惑うことになる。
「カラシン、どこ、いく?」
一瞬迷ったが、これはひっかけだと確信した。俺の忠誠心を試しているのだ。一緒に行かなければ殺すつもりだ。
「い、一緒に行くよ。」
と震えながら言うと、なぜか嫌な顔をされた。何故だ? 何を間違った? 魔族の思考なんて俺に分かるはずがない。たぶん俺を殺したかったのに、殺す理由付けが無くなったからガッカリしたのかもしれない。
目を覚ますと、毛布を被って寝ていた。あれ? 俺の毛布じゃない。と思った途端、昨晩の記憶が蘇り慌てて起き上がる。だが身体が軽い。それに足の痛みが無い! 魔物に襲われて怪我をした右足を見て驚いた。怪我が無くなっている! 傷跡すら残っていない。あれは夢だったのか? いや、夢ではない証拠に、ズボンの太ももの部分が大きく裂けている。クマの魔物の爪にやられたのだ。しかし、ズボンに付いていた血さえ綺麗に無くなっているのはどういうわけだ?
そういえばあの娘はどこだ。周りをきょろきょろ見回していると、どこからか大きなフクロウが飛んできて、すぐ近くの木の枝に留まった。こちらを睨みながら
「ホゥ、ホゥ」
と大きな声でまるで威嚇するように鳴く。襲って来るのかと腰の剣に手をかけて身構える。フクロウは俺を睨みつけていたが、しばらくするとどこかへ飛び去った。なんだ唯のフクロウかと肩の力を抜く。
フクロウより娘のことだ。あの娘は何者だ、昨晩のことが夢でないとしたら、人外の者であるのは間違いない。この森に住む魔族として知られているのは、エルフ、ドワーフ、オーガ、アラクネ、ラミアで、外見で人間と区別が付くはずだ。ということはあの娘は俺達の知らない魔族か。人間そっくりと言うことは噂に聞く吸血鬼だろうか、口の周りに血が付いていたのは誰かの血を吸った直後だったから? 吸血鬼なら昼間は活動できないはずだ、見当たらないのはきっとそのせいだ。だったら逃げるのは今の内だ。
だが、俺の予想は外れだった。逃げようとした途端、視界の端に娘の姿が入った。朝日を浴びて平然と歩いている。吸血鬼ではありえない。いや、同じ吸血鬼でも真祖と呼ばれる上級種は日の光を恐れないと聞いた。だとすると、あの娘はとんでもない奴と言うことになる...。
(ソフィア視点)
湧き水で水筒に水を補給して戻ってくると、カラシンさんも目が覚めた様だ。こんな時は挨拶するんだったっけ...。怖いけど失礼な奴だと怒られたらいやだ。
「お、おはよう」
と言ってみると、意外にも「お、おはよう」と返ってきた。
挨拶が住むと、私はリュックからリクルの実をふたつ取り出し、途中で取ってきた大きな葉の上にのせて、食べやすい大きさに短剣で切る。もちろん短剣は湧き水で綺麗に洗ってある。
リクルの実をひとつ皿替わりの葉に乗せてカラシンさんに差し出すと、「あ、ありがとう」と言って受け取ってくれた。お母さん、私、人間と会話出来てるよ!
その後は朝ごはん替わりのリクルの実を食べる。ふたりとも無言だ。カラシンさんは寡黙な人の様だ。なんだか同類と言う感じで少し親近感が湧いた。
(カラシン視点)
娘(確かソフィアだったか)が無言で葉っぱに乗せた果物らしきものを差し出す。朝食ということだろう。確か昨晩も食べさせられたやつだ。昨晩は腹が減っていたからガツガツと食べてしまったが、正直言って俺には少し甘すぎる。まあこんな森の中で贅沢は言えない。俺なんか持参していた携帯食料はすべて食べつくしてしまっている。ソフィアに遭わなければ死んでいただろう。もっともソフィアの気分を害したらすぐに殺されるだろうから、生きた心地がしないのだが。
それにしても、明るい光の中で見るソフィアは昨晩とは別人の様だ。もちろん口の周りに付いていた血が綺麗に拭われているのも理由だ。背の高さは俺と同じくらい。俺は生まれ育った村では体格が良い方だった。身体に自信が無ければ、いくら魔法の才能があっても冒険者なんて危険な職業に就こうとは考えなかっただろう。その俺と同じくらいの背丈なのだ、女性の中ではかなり高身長の方だ。年齢は20くらいだろうか? なかなかの美人で、金髪に青い目で、身体はスリムだが出るところは出ていて抜群のプロポーションをしている。思わずドキッとした。何を馬鹿な事を考えている、相手は人間じゃないんだぞと自分に言い聞かせるが、ドギマギして、結局一言も話せなかった。
食事が終わるとソフィアが立ち上がり焚火に手を翳す。すると焚火が一瞬で消える。よく見ると燃えかすの表面に霜が張っている。魔法で一気に冷却して火を消したのだ! 恐ろしい程の魔力だ。人間の魔法使いなら10人掛りでも出来るかどうか。その後、驚愕している俺に向かって一言、
「いく」
と言って、ある方向を指さした。太陽の方向から考えて、今回俺達冒険者に魔物駆除の依頼を持ち込んできた開拓村がある方向だ。当然、俺に付いて来いという意味だろうと確信した。だが次の言葉で戸惑うことになる。
「カラシン、どこ、いく?」
一瞬迷ったが、これはひっかけだと確信した。俺の忠誠心を試しているのだ。一緒に行かなければ殺すつもりだ。
「い、一緒に行くよ。」
と震えながら言うと、なぜか嫌な顔をされた。何故だ? 何を間違った? 魔族の思考なんて俺に分かるはずがない。たぶん俺を殺したかったのに、殺す理由付けが無くなったからガッカリしたのかもしれない。
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