33 / 102
32. 鉱山の町
しおりを挟む
(シロム視点)
そんなこんなで、シンシアさん、マリアさんと別れ、再びドラゴニウスさんに乗ってガニマール帝国の皇都を目指して数日経った。常に念話でアーシャ様に呼びかけながら進むのでスピードは出せないが着実に皇都に近づきつつある。
残念ながら今のところアーシャ様の手掛かりは無い。途中の町でマークが聞き出してくれた情報によると、皇帝の正室の子供が聖なる山の神様を誰が最初に味方に付けるかで争っているらしい。正室の子供は3人、一番上がガイラスで僕達が祭壇で会った大男だ。二番目はアキュリス皇子、三番目がジャニス皇女らしい。このジャニスがアーシャ様を連れ去った可能性が高い。
ジャニス皇女は現在10歳。8歳にして国立魔道具研究所の所長に抜擢されたという天才らしいが、この辺りに来ているという噂は無いらしい。流石に10歳という歳でこんな辺境まで自ら赴くとは考えにくい。自分は皇都にいて部下にアーシャ様を連れ去らせたのだろう。
「!!」
それは突然だった。その時僕はドラゴニウスさんの背中で、例によってアルムさんに背中から抱き着かれていて良い匂いに少々夢見心地になっていたが、一瞬で我に返った。
「マーク、前方左手から神気を感じる。」
「なんだと! アーシャ様か!?」
「分からない。だけどあんな遠方から神気が届くなんてアーシャ様以外思いつかない。」
「行ってみるか?」
「も、もちろん。」
神気となればアーシャ様の可能性が高い。ドラゴニウスさんにお願いして神気がやって来る方向に進路を変えてもらう。街道から外れるとやがて深い山脈地帯に入った。標高も高くなり夏だと言うのに山々の山頂には雪が残っている。ここまで来るとマークも神気を感じてくれた。僕の勘違いで無かったことにホッとする。
「寒くなって来たな」
マークがそう言って脱いでいたローブを羽織る。僕とアルムさんもマークに倣った。途中で寄った町でアルムさんのローブを買っておいてよかった。
「ここはどこの国なのかな?」
と疑問を口にするが答えてくれる者はいない。周りは見渡す限り山ばかりで町や村はありそうにない。無人地帯なのかもしれない。気温が低いからこんなところで野宿はしたくない。一刻も早くアーシャ様のご無事を確認して戻らなければ。
更に進むと、山々に囲まれたわずかな平地に家々が密集しているのが遠くに見えた。こんな所に町がある.....。しかも神気は町のすぐ近くから発している様だ。
「マーク、ドラゴニウスさんがあそこに見える町で一泊した方が良いといっているよ。でないと野宿になるって。」
「あれか....。こんな所に町があるなんて不思議だな。」
「大丈夫かな.....。町に入ったらいきなり拘束されるなんてことはないかな?」
「その時は私がシロム様をお守りいたします。その為に剣を持たせていただいたのですから。」
アルムさんがそう言うが、短剣を購入したのはアルムさんの護身のためであって僕を守ってもらうためじゃない。第一アルムさんだって剣を持つのは初めてと言っていたじゃないか。
「シロムの杖があるから大丈夫じゃないか? いざとなれば身体を透明化すれば逃げ出せるさ。」
「僕か?」
僕が当てにされるとは.....心細い事この上ない。ドラゴニウスさんが一緒に来てくれたら心強いが騒ぎになるに決まっている。だが、マークの「大丈夫だって」の言葉に押し切られた。
と言う訳で、例によって身体を透明化して着陸してくれたドラゴニウスさんから降りた僕達3人は歩いて町を目指す。心細くなって来た携帯食料の補充が出来るかもしれないとの期待もある。
ここは小さな町で城壁ではなく木の柵に囲まれている。門には兵士がいたが、入町税としてひとり当たり銀貨1枚を払ったら問題なく通してくれた。不愛想だが、悪意があるという感じでもない。少しばかり被害妄想が過ぎた様だ。兵士からマークが聞き出した話では宿屋は2軒しかないらしい。
神官長様に頂いたお金がかなりあるから、少しくらい高くても快適な方が良いと高そうな方の宿を選んだ。高い方が安全な気もするしね。アルムさんが何か言いたそうにモジモジしていたが、どうやらお金を持っていないことを気にしているらしい。
「大丈夫、アルムさんは僕の従者なのでしょう。主人が従者の衣食住を面倒を見るのは当然ですよ。」
そう言うとアルムさんの顔が花の様に喜びに満ちた。
「シロム様、それでは私を従者にして頂けるのですね! ありがとうございます! 精一杯務めさせていただきます。」
「と、とりあえず旅の間はです。」
アルムさんの件についてはある程度妥協するしかないというのが、悩みに悩んだ末に僕が出した結論だ。もちろんアルムさんと結婚する気はない。本当は直ぐにでもジーラさんの元に送り届けたいのだが、それをすれば往復で数日、アルムさんの説得に時間を取られればそれ以上の時間をロスすることになる。アーシャ様の行方について貴重な手掛かりが得られた今は時間のロスを避けたい。となればアルムさんの件はアーシャ様が見つかるまで先送りにするしかない。従者にするというのは、僕がアルムさんの旅の費用を出すのに気兼ねをさせないための方便だ。
「いらっしゃいませ、3人様ですね。お食事ですか、それともご宿泊ですか。」
中に入ると直ぐに声が掛った。カウンターの奥にいる中年のちょっと小太りな女性だ。
「宿泊です。部屋はふたり部屋とひとり部屋をそれぞれひとつお願いしたいのですが、大丈夫ですか?」
マークが女性に答える。僕はもちろんマークだって宿屋に泊まるのは初めてだろうに、まるで旅慣れている様な口ぶりだ。ちなみに今までは町には立ち寄ったものの夜はすべて野宿で過ごした。ドラゴニウスさんが発見される可能性を考えてのことだ。
「ほい、部屋はいつでも開いているよ。ひとり1泊朝食付で銀貨10枚さ。おや、フードを被っていたから分からなかったけど皆若いね。悪いけど前金でお願いできるかい?」
僕達が子供だからお金を持っているか不安に思ったのかもしれない。アルムさんは僕達より何歳か年上なのだが小柄なので幼く見える。マークが銀貨10枚、僕がアルムさんの分も含めて銀貨20枚を払うと安心した様に微笑んだ。
「お兄さんたちは見かけない顔だね。恰好からして鉱山の関係者でもなさそうだけど。」
「鉱山ですか?」
「おや知らないのかい。近くに魔晶石の鉱山があってね、良質の魔晶石が取れるので結構有名なんだよ。」
「そうなんですね。僕達は遠くから来たので知りませんでした。ちょっと人を探してまして。」
「おやまあ、こんな所まで人探しとはご苦労さんだね。ゆっくり休んでいっておくれ。後で身体を拭くための湯を持って行くよ。それと宿泊には朝食は付くが、夕食は別料金だ。宿の食堂で食べても良いし、外に食べに行っても良いよ。もっとも小さな町だからね、食堂たって3軒しかないけど。」
「分かりました。」
その後、部屋の鍵を受け取り2階の自分達の部屋に入ろうとしたのだが、何故かアルムさんがふたり部屋の方に入って来る。
「ア、アルムさんの部屋は隣です。」
と言うと驚いた顔をする。
「そ、そうなのですね。てっきりシロム様と私の部屋だと.....。でも同じ部屋でないと従者としてシロム様にご奉仕できません。」
ご奉仕って? いやいや、アルムさんと同じ部屋に泊まったりしたらマリアさんに殺されそうだ。
「ぼ、僕はひとりで大丈夫です。」
「とりあえず食事にしょうぜ、腹がへったよ。この宿の食堂で良いよな。」
「そうだね。アルムさんもそれで良いですか?」
「じ、従者の私もご一緒してよろしいのですか?」
「あー、まどろっこしいな。シロム、お前が連れ出したんだから、もう責任取って結婚しちまえ。」
「なっ! 何を? そんなこと出来るわけ無いだろう。僕にはカンナがいるんだ。」
「カンナとも結婚すれば良いじゃないか。法律上は何の問題も無い。」
「そんなこと出来るわけないだろう。」
いくら親友とは言え無茶を言い過ぎだ。確かにカルロ教国の法律では男性は3人まで妻を持つことができる。これはカルロ様が3人の妻を持っていたことに基づくものだけど、実際に複数の女性と結婚する人はほとんどいない。そんなことをしたら周り中から白い目で見られるに決まっている。
「それは一般人の場合だ。」
「僕は一般人だよ。」
「違うな。シロム、お前は一般人じゃない。300年ぶりに我が国に現れた預言者様だ。カルロ様の再来で神に近い存在なんだ。その預言者様が何人妻を持とうがとやかく言う奴がいるわけが無い。」
「アルムさん、違いますからね。マークの言う事は信じないで下さい。僕はそんな大それた者じゃありませんから。」
「はい、私はシロム様にお従いするだけです。」
アルムさんはそう返すが、嬉しそうな顔を隠しきれていない。心の中でマークを呪った。僕にそんな度胸があるわけないじゃないか......。
そんなこんなで、シンシアさん、マリアさんと別れ、再びドラゴニウスさんに乗ってガニマール帝国の皇都を目指して数日経った。常に念話でアーシャ様に呼びかけながら進むのでスピードは出せないが着実に皇都に近づきつつある。
残念ながら今のところアーシャ様の手掛かりは無い。途中の町でマークが聞き出してくれた情報によると、皇帝の正室の子供が聖なる山の神様を誰が最初に味方に付けるかで争っているらしい。正室の子供は3人、一番上がガイラスで僕達が祭壇で会った大男だ。二番目はアキュリス皇子、三番目がジャニス皇女らしい。このジャニスがアーシャ様を連れ去った可能性が高い。
ジャニス皇女は現在10歳。8歳にして国立魔道具研究所の所長に抜擢されたという天才らしいが、この辺りに来ているという噂は無いらしい。流石に10歳という歳でこんな辺境まで自ら赴くとは考えにくい。自分は皇都にいて部下にアーシャ様を連れ去らせたのだろう。
「!!」
それは突然だった。その時僕はドラゴニウスさんの背中で、例によってアルムさんに背中から抱き着かれていて良い匂いに少々夢見心地になっていたが、一瞬で我に返った。
「マーク、前方左手から神気を感じる。」
「なんだと! アーシャ様か!?」
「分からない。だけどあんな遠方から神気が届くなんてアーシャ様以外思いつかない。」
「行ってみるか?」
「も、もちろん。」
神気となればアーシャ様の可能性が高い。ドラゴニウスさんにお願いして神気がやって来る方向に進路を変えてもらう。街道から外れるとやがて深い山脈地帯に入った。標高も高くなり夏だと言うのに山々の山頂には雪が残っている。ここまで来るとマークも神気を感じてくれた。僕の勘違いで無かったことにホッとする。
「寒くなって来たな」
マークがそう言って脱いでいたローブを羽織る。僕とアルムさんもマークに倣った。途中で寄った町でアルムさんのローブを買っておいてよかった。
「ここはどこの国なのかな?」
と疑問を口にするが答えてくれる者はいない。周りは見渡す限り山ばかりで町や村はありそうにない。無人地帯なのかもしれない。気温が低いからこんなところで野宿はしたくない。一刻も早くアーシャ様のご無事を確認して戻らなければ。
更に進むと、山々に囲まれたわずかな平地に家々が密集しているのが遠くに見えた。こんな所に町がある.....。しかも神気は町のすぐ近くから発している様だ。
「マーク、ドラゴニウスさんがあそこに見える町で一泊した方が良いといっているよ。でないと野宿になるって。」
「あれか....。こんな所に町があるなんて不思議だな。」
「大丈夫かな.....。町に入ったらいきなり拘束されるなんてことはないかな?」
「その時は私がシロム様をお守りいたします。その為に剣を持たせていただいたのですから。」
アルムさんがそう言うが、短剣を購入したのはアルムさんの護身のためであって僕を守ってもらうためじゃない。第一アルムさんだって剣を持つのは初めてと言っていたじゃないか。
「シロムの杖があるから大丈夫じゃないか? いざとなれば身体を透明化すれば逃げ出せるさ。」
「僕か?」
僕が当てにされるとは.....心細い事この上ない。ドラゴニウスさんが一緒に来てくれたら心強いが騒ぎになるに決まっている。だが、マークの「大丈夫だって」の言葉に押し切られた。
と言う訳で、例によって身体を透明化して着陸してくれたドラゴニウスさんから降りた僕達3人は歩いて町を目指す。心細くなって来た携帯食料の補充が出来るかもしれないとの期待もある。
ここは小さな町で城壁ではなく木の柵に囲まれている。門には兵士がいたが、入町税としてひとり当たり銀貨1枚を払ったら問題なく通してくれた。不愛想だが、悪意があるという感じでもない。少しばかり被害妄想が過ぎた様だ。兵士からマークが聞き出した話では宿屋は2軒しかないらしい。
神官長様に頂いたお金がかなりあるから、少しくらい高くても快適な方が良いと高そうな方の宿を選んだ。高い方が安全な気もするしね。アルムさんが何か言いたそうにモジモジしていたが、どうやらお金を持っていないことを気にしているらしい。
「大丈夫、アルムさんは僕の従者なのでしょう。主人が従者の衣食住を面倒を見るのは当然ですよ。」
そう言うとアルムさんの顔が花の様に喜びに満ちた。
「シロム様、それでは私を従者にして頂けるのですね! ありがとうございます! 精一杯務めさせていただきます。」
「と、とりあえず旅の間はです。」
アルムさんの件についてはある程度妥協するしかないというのが、悩みに悩んだ末に僕が出した結論だ。もちろんアルムさんと結婚する気はない。本当は直ぐにでもジーラさんの元に送り届けたいのだが、それをすれば往復で数日、アルムさんの説得に時間を取られればそれ以上の時間をロスすることになる。アーシャ様の行方について貴重な手掛かりが得られた今は時間のロスを避けたい。となればアルムさんの件はアーシャ様が見つかるまで先送りにするしかない。従者にするというのは、僕がアルムさんの旅の費用を出すのに気兼ねをさせないための方便だ。
「いらっしゃいませ、3人様ですね。お食事ですか、それともご宿泊ですか。」
中に入ると直ぐに声が掛った。カウンターの奥にいる中年のちょっと小太りな女性だ。
「宿泊です。部屋はふたり部屋とひとり部屋をそれぞれひとつお願いしたいのですが、大丈夫ですか?」
マークが女性に答える。僕はもちろんマークだって宿屋に泊まるのは初めてだろうに、まるで旅慣れている様な口ぶりだ。ちなみに今までは町には立ち寄ったものの夜はすべて野宿で過ごした。ドラゴニウスさんが発見される可能性を考えてのことだ。
「ほい、部屋はいつでも開いているよ。ひとり1泊朝食付で銀貨10枚さ。おや、フードを被っていたから分からなかったけど皆若いね。悪いけど前金でお願いできるかい?」
僕達が子供だからお金を持っているか不安に思ったのかもしれない。アルムさんは僕達より何歳か年上なのだが小柄なので幼く見える。マークが銀貨10枚、僕がアルムさんの分も含めて銀貨20枚を払うと安心した様に微笑んだ。
「お兄さんたちは見かけない顔だね。恰好からして鉱山の関係者でもなさそうだけど。」
「鉱山ですか?」
「おや知らないのかい。近くに魔晶石の鉱山があってね、良質の魔晶石が取れるので結構有名なんだよ。」
「そうなんですね。僕達は遠くから来たので知りませんでした。ちょっと人を探してまして。」
「おやまあ、こんな所まで人探しとはご苦労さんだね。ゆっくり休んでいっておくれ。後で身体を拭くための湯を持って行くよ。それと宿泊には朝食は付くが、夕食は別料金だ。宿の食堂で食べても良いし、外に食べに行っても良いよ。もっとも小さな町だからね、食堂たって3軒しかないけど。」
「分かりました。」
その後、部屋の鍵を受け取り2階の自分達の部屋に入ろうとしたのだが、何故かアルムさんがふたり部屋の方に入って来る。
「ア、アルムさんの部屋は隣です。」
と言うと驚いた顔をする。
「そ、そうなのですね。てっきりシロム様と私の部屋だと.....。でも同じ部屋でないと従者としてシロム様にご奉仕できません。」
ご奉仕って? いやいや、アルムさんと同じ部屋に泊まったりしたらマリアさんに殺されそうだ。
「ぼ、僕はひとりで大丈夫です。」
「とりあえず食事にしょうぜ、腹がへったよ。この宿の食堂で良いよな。」
「そうだね。アルムさんもそれで良いですか?」
「じ、従者の私もご一緒してよろしいのですか?」
「あー、まどろっこしいな。シロム、お前が連れ出したんだから、もう責任取って結婚しちまえ。」
「なっ! 何を? そんなこと出来るわけ無いだろう。僕にはカンナがいるんだ。」
「カンナとも結婚すれば良いじゃないか。法律上は何の問題も無い。」
「そんなこと出来るわけないだろう。」
いくら親友とは言え無茶を言い過ぎだ。確かにカルロ教国の法律では男性は3人まで妻を持つことができる。これはカルロ様が3人の妻を持っていたことに基づくものだけど、実際に複数の女性と結婚する人はほとんどいない。そんなことをしたら周り中から白い目で見られるに決まっている。
「それは一般人の場合だ。」
「僕は一般人だよ。」
「違うな。シロム、お前は一般人じゃない。300年ぶりに我が国に現れた預言者様だ。カルロ様の再来で神に近い存在なんだ。その預言者様が何人妻を持とうがとやかく言う奴がいるわけが無い。」
「アルムさん、違いますからね。マークの言う事は信じないで下さい。僕はそんな大それた者じゃありませんから。」
「はい、私はシロム様にお従いするだけです。」
アルムさんはそう返すが、嬉しそうな顔を隠しきれていない。心の中でマークを呪った。僕にそんな度胸があるわけないじゃないか......。
0
あなたにおすすめの小説
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
没落港の整備士男爵 ~「構造解析」スキルで古代設備を修理(レストア)したら、大陸一の物流拠点になり、王家も公爵家も頭が上がらなくなった件~
namisan
ファンタジー
大陸の南西端に位置するベルナ子爵領。
かつては貿易で栄えたこの港町も、今は見る影もない。
海底には土砂が堆積して大型船は入港できず、倉庫街は老朽化し、特産品もない。借金まみれの父と、諦めきった家臣たち。そこにあるのは、緩やかな「死」だけだった。
そんな没落寸前の領地の嫡男、アレン(16歳)に転生した主人公には、前世の記憶があった。
それは、日本で港湾管理者兼エンジニアとして働き、現場で散った「整備士」としての知識。
そして、彼にはもう一つ、この世界で目覚めた特異な能力があった。
対象の構造や欠陥、魔力の流れが設計図のように視えるスキル――【構造解析】。
「壊れているなら、直せばいい。詰まっているなら、通せばいい」
アレンは錆びついた古代の「浚渫(しゅんせつ)ゴーレム」を修理して港を深く掘り直し、魔導冷却庫を「熱交換の最適化」で復活させて、腐るだけだった魚を「最高級の輸出品」へと変えていく。
ドケチな家令ガルシアと予算を巡って戦い、荒くれ者の港湾長ゲンと共に泥にまみれ、没落商会の女主人メリッサと手を組んで販路を開拓する。
やがてその港には、陸・海・空の物流革命が巻き起こる。
揺れない「サスペンション馬車」が貴族の移動を変え、「鮮度抜群の魚介グルメ」が王族の胃袋を掴み、気性の荒いワイバーンを手懐けた「空輸便」が世界を結ぶ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
異世界最底辺職だった俺、実は全スキルに適性Sだった件~追放されたので田舎でスローライフしてたら、気づいたら英雄扱いされてた~
えりぽん
ファンタジー
最底辺職「雑用士」として勇者パーティーを支えていたレオンは、ある日突然「無能」と罵られ追放される。
だがその瞬間、封印されていた全スキルの適性が覚醒。
田舎でのんびり生きるつもりが、いつの間にか魔物を絶滅させ、王女を救い、国を動かす存在に――?
本人まったく自覚なし。にもかかわらず、世界が勝手に彼を「伝説」と呼びはじめる。
ざまぁ有り、ハーレム有り、そして無自覚最強。
誰にも止められない勘違い英雄譚が、いま動き出す。
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
完結·異世界転生したらアザラシ? でした〜白いモフモフでイケメン騎士たちに拾われましたが、前世の知識で医療チートしています〜
禅
恋愛
ネットでアザラシを見ることが癒しだった主人公。
だが、気が付くと知らない場所で、自分がアザラシになっていた。
自分が誰か分からず、記憶が曖昧な中、個性的なイケメン騎士たちに拾われる。
しかし、騎士たちは冬の女神の愛おし子を探している最中で……
※小説家になろう、Nolaノベルにも投稿しています
※完結まで毎日投稿します
『悪役令嬢』は始めません!
月親
恋愛
侯爵令嬢アデリシアは、日本から異世界転生を果たして十八年目になる。そんな折、ここ数年ほど抱いてきた自身への『悪役令嬢疑惑』が遂に確信に変わる出来事と遭遇した。
突き付けられた婚約破棄、別の女性と愛を語る元婚約者……前世で見かけたベタ過ぎる展開。それを前にアデリシアは、「これは悪役令嬢な自分が逆ざまぁする方の物語では」と判断。
と、そこでアデリシアはハッとする。今なら自分はフリー。よって、今まで想いを秘めてきた片想いの相手に告白できると。
アデリシアが想いを寄せているレンは平民だった。それも二十も年上で子持ちの元既婚者という、これから始まると思われる『悪役令嬢物語』の男主人公にはおよそ当て嵌まらないだろう人。だからレンに告白したアデリシアに在ったのは、ただ彼に気持ちを伝えたいという思いだけだった。
ところがレンから来た返事は、「今日から一ヶ月、僕と秘密の恋人になろう」というものだった。
そこでアデリシアは何故『一ヶ月』なのかに思い至る。アデリシアが暮らすローク王国は、婚約破棄をした者は一ヶ月、新たな婚約を結べない。それを逆手に取れば、確かにその間だけであるならレンと恋人になることが可能だと。
アデリシアはレンの提案に飛び付いた。
そして、こうなってしまったからには悪役令嬢の物語は始めないようにすると誓った。だってレンは男主人公ではないのだから。
そんなわけで、自分一人で立派にざまぁしてみせると決意したアデリシアだったのだが――
※この作品は、『小説家になろう』様でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる