新米女神トモミの奮闘記

広野香盃

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第1章 惑星ルーテシア編

2. お義母様からの依頼

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だめだ、何も考えつかない。私は助けを求めてハルちゃんに目を向けた。ハルちゃんも驚いていたが、私のヘルプサインを理解したのか、すぐにお義母様おかあさまの傍にかがんで話しかけた。

 「■■■■■■■■■■」
 「△△△△△△△△△!!! △△△△△△△△△△△」
 「■■■■■■■■■■■■■■」
 「△△△△△△△△△△△△△△△△△△」

 ふたりで真剣な顔で話しているが、この世界の言語なのだろう私には一言も理解できない。突然ハルちゃんが驚いた顔で私をみた。あんぐりと口が開いている。

 何? 何? なんなのよ??? 

 「その... 母が言うにはトモミは神様、それも上級神なんだそうだ。 ...正確にはトモミの前世はということなんだけど....」

 ハルちゃんが説明してくれるが、理解不能である。突然あなたは神様ですといわれて、ハイそうですかと言うやつがいたら顔を見てみたい。

 その後、ハルちゃんの提案でとにかくお茶でも飲んで落ち着こうということになり、部屋の中央にある大きなテーブルについた。すぐに少し緊張した顔のメイドさんと思われる女性がふたり入室し、テーブルにお茶とクッキーの様な菓子を並べ始めた。不思議なことに、メイドさんの顔が、私を見る時限定でこわばっているのは気のせいだろうか。私の前にお茶の入ったカップを置く手が微かに震えている。お義母様おかあさまの前に置く時はそんなことなかったのに。 私、メイドさんを怖がらせてる???

 私何もしないよ。怖くないよと心の中でつぶやいた。

 お義母様おかあさまは全員にお茶が置かれるとメイドさんに向かって短く言葉を発した。途端にメイドさんの顔が笑顔になり頭を下げてから退室していった。「ありがとう」とでも言ったのだろうか。よかった。やっぱりお義母様おかあさまは気さくで優しそうな人(神)だ。

 私は意を決して立ち上がり、お義母様おかあさまに向かって深々と頭をさげてから挨拶をした。

 「始めましてトモミと申します。この度縁あってハルトさんと結婚させていただきました。不束者ではありますが、ハルトさんの妻として精一杯頑張りますのでよろしくお願いします。」

 よし! 噛まずに言えた。偉いぞ私。昨晩練習しといて良かった。そしてハルちゃんに向かい

 「通訳よろしく。」

 と付け加える。

 「トモミ。 母は念話で直接トモミと話したいそうなんだけどいいかな? 念話なら言語がちがっても分かり合えるからね。 あっ、でも、口にしたことだけでなく頭の中で考えたことも相手に伝わるから注意してね。」

 へっ、つまり心の中を読まれるということ? でもお義母様おかあさまと直接話せるならその方が良いかな。別に隠すこともないし。そういえば顔を合わせた時理解できる言葉で話しかけられたけど、あれが念話かな。私が頷くとお義母様おかあさまも立ち上がりさっそく話しかけてきた。

 << トモミ様。愚息が結婚相手をお連れして帰郷することはきいておりましたが、まさかそのお相手が上級神様だとは知らず取り乱してしまいました。 失礼の数々どうかご容赦下さい。
 その上でご無礼を承知でお願い申し上げます。私は後1年でこの惑星を去る様、上位神様から指示を受けております。私が去った後この惑星は神の居ない星となります。神の居ない星はほかにもありますが、この星はまだ幼く独り立ちができるまで成長しておりません。私が居なくなった後滅びてしまう可能性が高いのです。
 トモミ様が愚息と共にこの惑星をご訪問してくださったことは、天の采配に違いありません。この星が安定期にはいるまでで結構でございます。この惑星に留まりそのお力でこの世界を滅びからお救いいただけないでしょうか。>>

 そのまま床に膝を付き土下座しそうな勢いで頭を下げてくる。
 私はお義母様おかあさまの言葉の意味を理解するやいなや、 心の中で ギャ~~~! と絶叫しながらお義母様おかあさまの前に走り寄り膝を付いた。お義母様おかあさまに頭を下げさせるなんて、嫁としての印象が最悪だよ!
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