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第8話
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私の名前は田中麻結。今年で45才。いわゆる専業主婦だ。
最近、夫の様子が少し変だ。具体的に何が変なのか、はっきりと確信は持てないけど、前よりも活き活きしてる気がする。
滅多に残業や休日出勤が無かった仕事も、忙しいらしい。ここのところ、週に1、2日のペースで、残業や休日出勤がある。
夫は45才。疲れも出るはずなのに、元気なのだ。元気なのは、良いのだけれど、逆に不安になる。夫は家族のために無理をしているのではないだろうか?
そんな時、娘のユイが言った言葉に、ギョッとした。
『浮気・・・。』
今まで考えもしなかった。
あの人に限って浮気なんて。
それは無い。あの人は家族を愛している。
ユイが、夫を尾行して証拠を撮ると言い出したので、私も一緒に行くと、つい、言ってしまった。
娘に危険なことは、させられない。
これは、私達夫婦の問題なのだ。
夫は今度の火曜日に残業らしい。
事実は、私の目で確かめる、、、
火曜日。
ユイと夫の会社の最寄駅で待ち合わせした、
「お母さん、お待たせ。」
制服姿のユイが改札から出て来た。
私に似ず、キレイな顔をしている。性格も良い。私達夫婦には、勿体無いくらいの、よく出来た娘だ。
「いえ、そんなに待ってないわよ。私もさっき来たところ。」
夫の会社までは、歩いて数分。ちょうど目の前に、カフェがある。監視しやすそうだ。
「あそこのカフェに入りましょう。」
私とユイは、夫の会社の前にあるカフェに入って、一番窓側の席に座った。
娘は、ホットコーヒー。
私は、ダージリンティー。
しばらく、母娘の会話を楽しんだ。
そろそろ18時。
会社が終わる時間だ。
本当に残業なら、直ぐには出て来ないはず。
「いよいよだね。」
ユイが真面目な顔になる。
「お父さん、出てくるかな?」
出て来ないで、、、、
祈るような思いで、道の反対側を見つめる。
18時を過ぎると、スーツ姿の男性や、普段着の女性が、たくさん出て来た。真っ直ぐ帰宅する人、お酒を呑みに行く人、スポーツジムに行く人、エステに行く人、、、みんな、それぞれの目的地に向かうのだろう。
出て来ないことを祈りながら、夫の姿を探す。
「あっ!お父さん!」
娘が声を上げる。
私は、周りを見て、その姿を探す。
建物から出る夫が見えた、駅に向かうようだ。
私は素早く会計を済ませて、店の外に出る。
「お母さん、こっち!」
娘に言われるままについて行く。
夫は、そのまま、電車に乗るようだ。
私達も電車に乗る。家の方に向かう電車だ。真っ直ぐ帰るのだろうか?急に残業が無くなったとか?それなら良いけども。
と、夫が動いた。電車を降りるようだ。家の最寄りの駅は、まだ先。手前の駅に降りて、なにをするのだろう?私たちも慌てて電車を降りる。
改札口を出て、商店街の中にある、喫茶店に入った。
しばらく時間をおいて、私たちも喫茶店に入る。夫は、店の奥のテーブル席に座っている。どうやら、一人のようだ。
数分くらい経っただろうか?
カランコロン!
入口のドアのベルが鳴った、
別のお客さんが来たようだ。年齢は20代後半くらいだろうか?細身で小柄な女性が入ってきた。そして、店の奥に向かって手を上げる。
振り返ると、夫も手を上げていた。
まさか!そんなことはありえない!夫が別の若い女性と、、、密会!?
「お母さん、写真撮るよ。」
ユイは冷静だ。スマホを取り出して、写真を撮り始めた。
私は、あまりの動揺に何もできない。ただ、見ているしかできなかった。
夫のテーブルの前に座った女性は、親しげに夫と話している。何を話しているのかは分からない。夫も楽しそうだ。
「お母さん、写真は十分撮ったから、後は、どうする?このまま尾行を続ける?」
ユイが小声で話す。私は、もうこれ以上耐えられない。。。もし、この後、喫茶店を出て、ホ、ホテルになんて行ったら。。。気絶してしまう。
「行きましょう。ユイ。」
私は伝票を持って、レジに向かう。
「あ、お母さん。」
ユイも慌ててついてくる。
夫が浮気していたなんて。。。
ありえないと思っていた現実を突きつけられて、私はどうしていいのかわからなかった。
「お母さん、元気出して。まだ、決まったわけじゃないんだから。」
ユイが励ましてくれる。
「ユイ。お母さんは、どうしたらいいのかしら。」
「お母さんは、いつも通りで良いんだよ。お父さんには、私が聞くから。」
ユイは、本当にいい娘だ。本当は、母である私がしっかりしないといけないのに。
「私は、大丈夫。まだ、お父さんを信じているから。」
私とユイは、夫が帰宅する前に家に帰った。
夫に、動揺を見せてはいけない。いつも通り、何事もなかったように。
「お母さん、大丈夫だよ。私がついてる。私はお母さんの味方だから。」
ユイ・・・。涙が出そうになる。私も頑張らなくては。
「お父さんが帰ってきても、いつも通りに、ね。」
娘との絆がより深まった気がした。
ピンポーン。
夫が帰ってきた。
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
私は、いつも通り、笑顔で夫を出迎えた。
最近、夫の様子が少し変だ。具体的に何が変なのか、はっきりと確信は持てないけど、前よりも活き活きしてる気がする。
滅多に残業や休日出勤が無かった仕事も、忙しいらしい。ここのところ、週に1、2日のペースで、残業や休日出勤がある。
夫は45才。疲れも出るはずなのに、元気なのだ。元気なのは、良いのだけれど、逆に不安になる。夫は家族のために無理をしているのではないだろうか?
そんな時、娘のユイが言った言葉に、ギョッとした。
『浮気・・・。』
今まで考えもしなかった。
あの人に限って浮気なんて。
それは無い。あの人は家族を愛している。
ユイが、夫を尾行して証拠を撮ると言い出したので、私も一緒に行くと、つい、言ってしまった。
娘に危険なことは、させられない。
これは、私達夫婦の問題なのだ。
夫は今度の火曜日に残業らしい。
事実は、私の目で確かめる、、、
火曜日。
ユイと夫の会社の最寄駅で待ち合わせした、
「お母さん、お待たせ。」
制服姿のユイが改札から出て来た。
私に似ず、キレイな顔をしている。性格も良い。私達夫婦には、勿体無いくらいの、よく出来た娘だ。
「いえ、そんなに待ってないわよ。私もさっき来たところ。」
夫の会社までは、歩いて数分。ちょうど目の前に、カフェがある。監視しやすそうだ。
「あそこのカフェに入りましょう。」
私とユイは、夫の会社の前にあるカフェに入って、一番窓側の席に座った。
娘は、ホットコーヒー。
私は、ダージリンティー。
しばらく、母娘の会話を楽しんだ。
そろそろ18時。
会社が終わる時間だ。
本当に残業なら、直ぐには出て来ないはず。
「いよいよだね。」
ユイが真面目な顔になる。
「お父さん、出てくるかな?」
出て来ないで、、、、
祈るような思いで、道の反対側を見つめる。
18時を過ぎると、スーツ姿の男性や、普段着の女性が、たくさん出て来た。真っ直ぐ帰宅する人、お酒を呑みに行く人、スポーツジムに行く人、エステに行く人、、、みんな、それぞれの目的地に向かうのだろう。
出て来ないことを祈りながら、夫の姿を探す。
「あっ!お父さん!」
娘が声を上げる。
私は、周りを見て、その姿を探す。
建物から出る夫が見えた、駅に向かうようだ。
私は素早く会計を済ませて、店の外に出る。
「お母さん、こっち!」
娘に言われるままについて行く。
夫は、そのまま、電車に乗るようだ。
私達も電車に乗る。家の方に向かう電車だ。真っ直ぐ帰るのだろうか?急に残業が無くなったとか?それなら良いけども。
と、夫が動いた。電車を降りるようだ。家の最寄りの駅は、まだ先。手前の駅に降りて、なにをするのだろう?私たちも慌てて電車を降りる。
改札口を出て、商店街の中にある、喫茶店に入った。
しばらく時間をおいて、私たちも喫茶店に入る。夫は、店の奥のテーブル席に座っている。どうやら、一人のようだ。
数分くらい経っただろうか?
カランコロン!
入口のドアのベルが鳴った、
別のお客さんが来たようだ。年齢は20代後半くらいだろうか?細身で小柄な女性が入ってきた。そして、店の奥に向かって手を上げる。
振り返ると、夫も手を上げていた。
まさか!そんなことはありえない!夫が別の若い女性と、、、密会!?
「お母さん、写真撮るよ。」
ユイは冷静だ。スマホを取り出して、写真を撮り始めた。
私は、あまりの動揺に何もできない。ただ、見ているしかできなかった。
夫のテーブルの前に座った女性は、親しげに夫と話している。何を話しているのかは分からない。夫も楽しそうだ。
「お母さん、写真は十分撮ったから、後は、どうする?このまま尾行を続ける?」
ユイが小声で話す。私は、もうこれ以上耐えられない。。。もし、この後、喫茶店を出て、ホ、ホテルになんて行ったら。。。気絶してしまう。
「行きましょう。ユイ。」
私は伝票を持って、レジに向かう。
「あ、お母さん。」
ユイも慌ててついてくる。
夫が浮気していたなんて。。。
ありえないと思っていた現実を突きつけられて、私はどうしていいのかわからなかった。
「お母さん、元気出して。まだ、決まったわけじゃないんだから。」
ユイが励ましてくれる。
「ユイ。お母さんは、どうしたらいいのかしら。」
「お母さんは、いつも通りで良いんだよ。お父さんには、私が聞くから。」
ユイは、本当にいい娘だ。本当は、母である私がしっかりしないといけないのに。
「私は、大丈夫。まだ、お父さんを信じているから。」
私とユイは、夫が帰宅する前に家に帰った。
夫に、動揺を見せてはいけない。いつも通り、何事もなかったように。
「お母さん、大丈夫だよ。私がついてる。私はお母さんの味方だから。」
ユイ・・・。涙が出そうになる。私も頑張らなくては。
「お父さんが帰ってきても、いつも通りに、ね。」
娘との絆がより深まった気がした。
ピンポーン。
夫が帰ってきた。
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
私は、いつも通り、笑顔で夫を出迎えた。
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