バッドエンド確定の悪役令嬢に転生したので、周りに感謝から始めます

百合谷百合花と申します

文字の大きさ
3 / 17
『悪役令嬢』と『感謝の公爵令嬢』

家族に感謝

しおりを挟む
「もうパーティー会場へ戻らなくていいわ。それより、あたしの私室ってどこだったかしら?」
「ディアお嬢様、案内いたします」
「シンリー、ありがとう」

 あたし達はお風呂を浴びた後、自分の部屋に移動することをシンリーに提案した。そして、彼女はそれを承諾してくれる。

 それにしても、ゲームの中だったから分からなかったけど、『公爵家』の屋敷はすごく広い。

 シンリーに聞いた話だと、螺旋構造の階段になっており1Fは当家の兵士達、2Fはメイドやシェフ達の部屋や食事場所、3Fは客人用と外出用のドレスルーム、最上階の4Fにあたしやディブロお父様、ステラお母様の部屋があるらしい。

「こちらがディアお嬢様のお部屋です」

 シンリーに案内された部屋は、一流ホテルのスイーツルームの如く、部屋内はモノクロの大理石でできた床、ゆったりできる黒色のソファー、赤色と黒色で構成された天蓋ベッド、広々としたトイレ等があり、実に快適な空間が広がっていた。

「それでは私はこれで……」
「ダメっ!!」

 シンリーはあたしを部屋へ案内した後、すぐに退室しようとする。あたしは、彼女が出て行こうとした瞬間、彼女の裾を引っ張った。

「えっと…ディアお嬢様?」
「もう少し話したいと言ったらダメかしら?」
「いいえ。いいえっ、ぜひお話ししましょう!!」
「シンリー、ありがとう」
「こ、紅茶をお持ちしますっ!!」

 そこからシンリーが淹れてくれた紅茶を片手に彼女とたくさんのことを話した。

 シンリーは9歳になったばかりらしく、この屋敷に来て、まだ日が浅いらしい。平民の出自で、メイドの仕事も未経験だったらしい。そもそも、いくらゲーム内とはいえ、なぜ、『セブン⭐︎プリンセス』の世界では9歳で働かせる設定にしたのか、と運営へクレームをつけたくなった。

 他には昔のあたしが色んな婚約者候補達に無理難題を押し付けて断ってきた事やその一方で一時期、『ハルデア皇太子殿下』に夢中だったけど、相手にされていなかった事まで、シンリーは自分の知ってる全てをあたしに話してくれた。

 コンコンコンッッ

「ディア、入るよ」
「ディアちゃん?入るわね」
「ディブロお父様、ステラお母様、あたしの誕生日パーティーを催して頂いたにもかかかわらず、途中で抜けてしまい大変申し訳ございません」

 シンリーと紅茶を嗜みながら様々な話をしている途中、私の部屋をノックしながら、入ってきたのは、あたしを心配してくれたであろうディブロお父様とステラお母様だった。

「誕生日パーティーはもういいんだ。しかし、今日は『ディア』の様子が心配でね…」
「ええ。それは仕方ない事だわ。それよりも、いつものディアちゃんなら怒り狂うかなと…」
「ディブロお父様、ステラお母様、その節は大変ご心配をおかけしました。あたしは今日、生まれ変わりました。何より、お父さん、お母さん、今日まであたしを健康に育ててくれてありがとう」

 あたしの言葉を聞いた瞬間、ディブロお父様もステラお母様も号泣し始めた。

 そして、隣に座っているシンリーまで泣き始めて事態の収集がつかなくなり、暫くの間、苦笑いしながら、落ち着くのを待つことにした。

ーーーー

「えーと、ディブロお父様、頼みたい事があります。シンリーと共に明日、当家が管理している領地へ視察に訪れてもいいかしら?」
「それは構わんがどうしてだい?」
「あたしは、民が努力をして貴族の生活は成り立つと考えています。だから、あたしはたくさんの領民の方々へ感謝を届けたいと考えていますの」

 あたしは『ディア•ベルンルック』で『セブン⭐︎プリンセス』の『バッドエンド確定』の悪役令嬢、ゲームの看板名を『ディア⭐︎DEATHズ』と呼ばれるような異名を持つキャラクターだ。

 そんな異名を持つあたしは『セブン⭐︎プリンセス』のメイン舞台である『セブンス学園』で卒業する前に死ぬことになるだろう。

 だから、どうせ死ぬくらいなら関わるたくさんの人に感謝を伝えてから、死にたいと考えた。

「ふむ…しかし、貴族は恨みを買いやすい。もしかしたら、冷たい反応もあり得るやもしれん」
「存じています。もちろん、領民に同情で金貨を払いません。ただ、あくまで、あたしができる声掛けの感謝を領民へ送りたいのです!!」
「旦那様、奥方様、私が命に変えても『ディアお嬢様』へ指一本触れさせません。だから、どうか『ディアお嬢様』の願いを一考ください」
「昔のディアちゃんならともかく、今のディアちゃんならいいんじゃないかしら?」

 もちろん、あたしの行動は『公爵令嬢』としては軽率と呼ばれるかもしれない。それに加えて、領民の方々からは『貴族の驕りだ』等と罵倒を受ける可能性もある。

 それでも前世を含めて、これまでの人生でたくさんの迷惑をかけた分、今度は感謝を伝えて1人でも笑顔にしたい。だからこそ、身体を震わせながら、シンリーがあたしの援護をしてくれた事が嬉しかったし、ステラお母様の助太刀も心強い。

「いいだろう。明日、領地を見に行こうか」
「ディブロお父様、感謝いたしますわ!!」
「それとシンリーと言ったか?」
「は、はい」
「ディアはお前を気に入っているみたいだ。仮にも、公爵である私に意見を言う姿勢もいい。私の大事な愛娘のディアを隣で支えてやってくれ」
「はい!!この命、燃え尽きるまで尽力します!!」

『セブン⭐︎プリンセス』内において、ディアが破滅の末路を辿った理由の大半が『ディブロお父様』の権力が占めており、彼女を溺愛していたため、なんでも許容をしてしまったことにある。

 だからこそ、あたしはディブロお父様の権力を正しい使い方で利用したいと思った。

 この日、この時を持ちシンリーは『あたし専属のメイド』から、その実は『公爵公認の公爵令嬢の側近』として異例の出世を遂げる事となった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...