バッドエンド確定の悪役令嬢に転生したので、周りに感謝から始めます

百合谷百合花と申します

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『悪役令嬢』と『感謝の公爵令嬢』

ウェスト村1

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 シンリーと抱擁の後、彼女は疲れていたのか、あたしのベッドですーすー…と寝息を立てながら、眠っている。そんな彼女の髪を撫でながら、あたしはあたしなりに癒されていた。

コンコンコンッ

「ディア、入るよ」
「ディブロお父様、どうかいたしましたか?」
「先程、『ハルデア皇太子殿下』が王城へお帰りになられた。ただ、随分と怒っていた様だが、何があったのか教えてくれないかい?」

 あたしの部屋がノックされたので扉を開けるとそこには焦った表情をしたディブロお父様が立っていた。

「んー、自己紹介されて、趣味を聞かれて、最後に婚約を断っただけです」
「ディアならやりかねないと思っていたが、現実になってしまうとは……」

 彼なりに推測はしていたのだろうが、あたしの言葉を聞いた途端、ディブロお父様は青褪める。

「それより、ディブロお父様、明日から約束通り視察ですからね!!」
「成長したと思ったが、飛んだ間違いだったよ」

 あたしの言葉に分かったと言わんばかりに、両手を上げながら、縦にこくりと頷いた。そして、そのまま、ディブロお父様はあたしの部屋を肩を落としながら、退室していった。

 その後、電気を消して、あたしは眠っているシンリーに起こさないよう、気をつけながら。彼女へ抱きついて眠ることにした。

ーーーーー

「ディアお嬢様、起きてください」
「天使?」
「もうっ!!」
「朝食だよね。行こっか」

 まず、朝といえばあたしの顔を上から覗くシンリーを見て、天使と錯覚することからスタートである。このやり取りも通算16回目である。

 最近はシンリーに抱きついて、暫くの間、頬ずりしても彼女は許してくれるようになった。

 話を戻そう。ハルデア皇大使殿下の騒動後、『ウェスト村』への視察の予定だった。

 しかし、ディブロお父様が『ハルデア皇太子殿下』の後処理に追われているのか、忙しそうにしていたので、更に1週間が経過してしまった。

 そのため、その間も邪道のレベル上げをしていた結果、現在のステータスはこんな感じだ。

『Lv18
 名前:ディア・ベルンルック
 称号:3年以内に99%死亡/父親泣かせ
 HP:1000
   MP:1900
 扱える闇魔法:ダークフレイム(小)、ダークヒール(小)、ダークシールド(小)、ダークセイバー(小)
 通り名:小麦叩きの公爵令嬢
     引きこもり令嬢  
     自意識過剰令嬢
     感謝の令嬢
     邪道令嬢
     皇太子殿下の恨みを抱かれる令嬢 』
 
 
 称号には『父親泣かせ』、通り名には『皇太子殿下の恨みを抱かれる令嬢』が追加されることとなった。このステータスを見ていると、あたしが何をしたって叫びたくなる。

「ディアお嬢様?」
「あ、シンリーごめん。今行く」

 ステータスをガン見していたら、シンリーに首を傾げられてしまったため、そのまま彼女の後へ着いていくこととなった。

ーーーー

「ディア、シンリーおはよう」
「ディアちゃん、シンリーおはよう」
「ディブロお父様、ステラお母様、おはようございます」
「旦那様、奥方様おはようございます」

 相変わらず、豪勢に彩られた朝食を前に涎が止まらなかった。

 口に運んでいると、いつもより、ロールパン自体がふわっと柔らかくなっていたような気がして、美味しく感じた。しかし、あたしはそろそろ『ウェスト村』へ訪れたい!!

「ディブロお父様…!!今日こそは…!!ウェスト村の水産に視察を…!!」

 そんな訳で、久しぶりにゆったりしているディブロお父様の様子を見て、お願いしてみた!!

「ねぇ、あなた、そろそろディアちゃんを連れていってあげたらどう?この美味しいパンもディアちゃんのおかげらしいですし」
「もしかして、今あたしが食べているパンですか?いつもよりふんわりしてて美味しいんです」

 想定外のステラお母様の援護と共に、イースト村の方々がわざわざあたしのために、ロールパンを送ってくれた事実が何よりも嬉しく感じた。
 
「ええ、村の方々はディアちゃんへすごく感謝してたらしいの。一体何をしたのかしら?」
「ステラお母様、あたしは何もしていませんよ。ただ、彼らに感謝を伝え、手伝っただけです」
「奥方様、ディアお嬢様は目を輝かせながら、領民の方々と小麦の収穫を手伝っておられました」

 その後、ステラお母様とシンリーのあたしのベタ褒めが続くこととなり、顔の温度が上昇し朝食が進まない事態に陥った。

「ディブロお父様、お願い致します。以前にも伝えた通り、あたしは感謝を伝えたいだけです」
「…………はぁ。分かったから準備しなさい」
「本当ですか!?ありがとうございます!!」

 ディブロお父様がやっと重い腰を上げ、あたしをウェスト村へ連れていくことを決意した。

 そのため、朝食を終えた後、ドレスルームの方へ移動して、シンリーに服を選んでもらう。今日は黄緑色の鮮やかなドレスらしい。

「シンリー、どう?」
「世界一可愛いと思います!!」
「それはシンリーの方だよっ!!」

 ドレスを選んだ後は、シンリーに連れられて、3Fから1Fの方へ降りて、屋敷を出る。

 屋敷を出ると以前に乗った赤茶色の馬2頭と黒塗りで大きな馬車、あたし達を守ってくれる護衛兵達、そして見送りを待つメイド達がいた。

「ディア、シンリー、後ろへ乗りなさい」
「ディブロお父様、少し待っててください」

 まず、あたしは連れていってくれるお馬さん達への方へ移動する。

「いつもありがとう。今日もよろしくね!!………え?タテガミ触らせてくれるの?」

 お馬さん達が首元をあたしの方へ出してきたのでゆっくりと彼らのタテガミや首筋を優しく撫でることにした。

「ふわっふわっでとっても気持ちいいよ!!いつもありがとう!!今日も頑張ってね!!」
「「ヒヒーーン!!」」

 馬達が大きな声で鳴いたのを見届けて、あたしはディブロお父様が乗ってる馬車へ乗り込む。

「護衛の皆様もいつも当家のために尽力いただきありがとうございます!!皆様の力を信頼して、頼りにしてますから!!」
「「「「うおおおおおおお」」」」
 
 護衛兵の方々もあたしが声をかけるとやる気を出してくれたので安心する。やはり、あたしは死ぬ前にもっとたくさんの人に感謝をしたい!!

ーーーーー

 ガララララ……

「ディアお嬢様、見てください!!あれがウェスト村で『ベルンルック領』で唯一、海に面している村ですよ!!」
「おぉー!!確かに。潮風が気持ちいいよー!!」
「こらこら、ディアもシンリーもはしゃぎすぎない様にね」
「うっ、ディブロお父様、ごめんなさい」
「旦那様、失礼いたしました」

 ディブロお父様に注意されたため、馬車から覗いてみるのはやめる事となった。

 そして、すぐにウェスト村の門へ到着した。

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