Buddy

シン

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不仲な兄弟

喧嘩するほど

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犯罪組織が蔓延はびこる荒れた地域、鬼吹きぶき
そこには専用の特殊警察、鬼吹特殊警察署が設置されている。その中でも特に異色を放つ部署、『潜入捜査室』。
ここは経歴なんて関係なく、実力者だけが集まる。
そのせいか、どこかズレた人間がこの部署には多い。

━━━━━━━━━━━━━━━

「はーざいます…」
欠伸混じりにだらしない挨拶をするクセのある緑髪の青年。黒いマスクをつけている。
彼は『潜入捜査室』のエース、西条さいじょういつきだ。
「だっらしない挨拶…やる気ないの?」
キツめの声で斎に突っかかるのは茶髪を肩の辺りで切り揃えた女性、鏑木かぶらぎ律香りっか
「昨日は徹夜だったんだ…」
斎は髪を掻き回しながら低い声で返し、自分のデスクに着く。
「睡眠時間もろくすっぽ管理できない馬鹿は要らないから死ねば?」
パソコンから全く目を上げず、斎のデスクから離れたデスクに座る青年がキツい声を投げる。
長くクセのない緑髪を後ろで雑に括りあげた彼は、西条さいじょう桐斗きりと。斎の三つ下の弟だ。
過去に何かあったらしく、斎のことを酷く嫌っているが、何があったのか、潜入捜査室の面々は知らない。
「ちょっと桐斗、言い方……」
「律香、いいから」
斎は律香を遮り、自分のパソコンを立ち上げた。
マスクをつけたまま、キータッチの音を響かせている。
桐斗はしばらくパソコンをいじっていたが、不意にガタンと椅子を蹴るように立ち上がり、『室長室』と書かれた扉を開けた。
そこには重厚なデスクに座る銀髪の男性と、その男性に書類の束をチェックさせている女性がいた。
莉久りくさん、揃った。朝礼やんなきゃ」
先程と違って柔らかい声で桐斗が声をかける。
声をかけられた男性、潜入捜査室室長の井綱いづな莉久りくがホワンとした笑みを浮かべる。
「桐斗くん、ありがと。菜花なのかくんと向かうね」
「うん、よろしく~」
桐斗が出ていくと莉久は立ち上がり、ファイルを抱えて不安そうにしている宮古みやこ菜花なのかに笑いかけた。
「行こっか」
「あ、はい…」
「桐斗くん苦手なのはわかるけどそんな露骨じゃなくても…」
扉を閉めた桐斗は頭を掻いた。
(僕、そんなに怖いかな……)
一ヶ月前にここに配属されたばかりの新人、菜花には初対面から怖がられていたことを思い出して少し凹んだ。
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