6 / 124
第一部 1章 ラジオ
第6話
しおりを挟む
次第に勝手を把握してきたみたいで、ユズハは「ここのネジ……」と呟くと立ち上がり、後ろにあった棚をごそごそと探るとドライバーと数本の電池を持って戻ってきた。それでネジを回して外してみるとぱかっと音を立てて一部分が綺麗に外れた。その中は見事に空洞だった。
「ユリもいながらあんたたち何やってたのよ。電池入ってないじゃない」
心底呆れたようにユズハはため息をつきながら可哀想なものを見る目でユースケをじっと見てくる。ユースケとしては情けない気持ちよりもまるでユリの方がユースケより頭が良いような扱いに対する憤りの気持ちが強かったが、それらよりもさらにこれでようやく使えそうだという喜びが勝った。そのユースケの気持ちが表情に表れていたのか、ユズハもふふっと笑って軽快に電池をラジオに詰めていった。ユズハもなんだかんだで未知の物へ興味を強く示しているようである。
外した板を元に戻しネジを巻き直してゆっくりと机の上に置く。しばし待ってみても何も起こらないので、電源を入れる必要があると察したユズハはラジオを上から眺め「電源はこれかな」とボタンの一つを軽く押した。途端にざざーっと大きなノイズが走った。
「うわっ」
いきなりの大きな音にユズハは後ろにのけぞった。その際にラジオを倒してしまい、ユースケが慌てて立て直す。しかし倒れてもなおざざーっと鳴り続けているのでは意味がないので、ユースケもラジオを色々操作しようと試みる。ユズハも座り直してユースケの手を目で追っている。
試しているうちに、ユースケは先ほどユズハが回した丸い出っ張りの部分を回した。すると、鳴っていた音の種類が変わり、次第に何も聞こえなくなった。
「あれ、もしかして壊れたのか」
「……もうちょっと回してみて。それで何か分かるかもしれない」
ユースケはユズハに指示された通りに再度回してみせる。途中、先ほどのノイズが走ったかと思えばまたしんと静まりかえり、その後も回し続けると何やら声が聞こえてきた。
その声に今度はユースケがひっくり返りそうになり、再びラジオが倒れそうになるがユズハが見事に倒れる寸前に支えた。ユズハはのけぞっているユースケににやにやした顔を見せつけている。
「おい、お前何か喋ってるか? 新しい特技でも身につけたのか?」
「何わけ分かんないこと言ってんのよバカ、このラジオから聞こえているのよこの声」
ぷりぷりと怒るユズハを意に介さず体を起こしたユースケは机の上に乗り出してラジオに近づく。ラジオから発せられる声は小さく、ユズハもその声を聞き取ろうと身を乗り出した。互いに身を乗り出し合っているため二人の顔が目と鼻の先の距離にあるのだが、お互いそのことに気がつかずにラジオに夢中になっている。
ラジオからはしゃがれた男性の声とやけに高く甘ったるい女性の声が聞こえてきて、何やらユースケたちの住む『望遠国』の教育制度について議論しているようである。時折、この二人の元に届いているという葉書を読み上げながら議論を発展させていた。
初めのうちは新鮮さを感じてノリノリで聞いていたユースケだったが、内容が内容だけに段々と興味をなくしていき、それにつれて丸めた背中を後ろへそらしていく。対してユズハは授業を真剣に聞いているとき以上に興味深そうな面持ちで聴き入っていた。
「へー……これ、録音された音声を聞いてるにしては電池以外に何かを入れられそうな所もなさそうだし、本当に今どこかでこの人たちがこういうことを話しているってことなのかしら……って、あんたには退屈な内容かもね」
「まさかここまで来てこの機械なんかに勉強させられたような気分にさせられるとは思わなかったぜ」
ユースケはげっそりとした表情で天を仰ぎ見る。その様子に、もしかしたらこのままユースケはこのラジオを置いて帰るかもしれないと危惧したユズハは足を伸ばしてユースケの脛を蹴った。ユースケもムッとユズハを睨み付けたが、挑発には乗らず立ち上がって大きくのびをすると「お茶か何か飲んで良いか?」と尋ねた。
ユズハはわざとらしく大きくため息をつくと、「用意するから座ってて」と今にも勝手にウロチョロしそうなユースケを座らせながら台所に向かい、二人分のコップとお茶を取り出した。ユズハがコップになみなみと注がれるお茶をぼんやりと眺めていると、いつの間にか先ほどの議論が終わっていたのかラジオからは陽気な音楽が流れ始め、その音楽に乗っかるようにユースケが口笛を吹き始めた。あまりにもでたらめな音色に、ユズハも小さくふふっと笑った。
「へえ、面白そうじゃん。俺にも聞かせてくれよ」
そう言ってタケノリはカズキを連れてユースケの家に遊びに来ていた。
ことの発端はユースケが教室で金がないからとタケノリに昼食をたかろうとしていたことだった。当然タケノリは拒否したが、それで昨日ユースケの分の昼食を買ったことを思い出したらしく「お前、昨日の弁当代も出せよ」と手を出した。「金がないと言っている相手から金を巻き上げるつもりか君は」とユースケは文句を垂れながらも渋々財布を出して中身をひっくり返した。するとユースケ自身も驚くほど小銭が飛び出してきた。ちゃりんと大小様々な小銭が何枚か床に落ち、それを一枚一枚拾うタケノリに感謝しながら予想外の小銭の存在を不思議に感じていると、昨日のラジオの買い物のときに結局店主がただでくれたのを思い出した。ユースケはてっきりきちんと金を出して買ったものだと思い込んでいた。
「はあ、なんだそれ」
その経緯を説明すると横で聞いていたカズキが呆れながらパンを頬張る。昨日ユースケに奪われたにもかかわらず懲りずにパンを買う男であった。セイイチロウは未だに食堂で何を買うか迷っているらしく、タケノリとカズキはさっさと済ませて戻ってきていた。今日もタケノリがユースケの分の弁当を買ってきていた。
「それより、そのらじおってなんだ。お前が興味本位で買うなんて珍しいな」
「いやーそれがつまんなくってよ」
ユースケは昨夜ユズハの家で聞いた内容を思い出してうんざりしていた。ただで譲り受けたこともあって、あのままユズハの家に置いて帰ろうとしたが、ユズハが目敏くそれを許さなかった。今そのラジオは早速ユースケの出鱈目に服が詰め込まれているタンスに埋もれかけている。
ユースケとしてはいかにそのラジオがつまらないものであるのかを説明したつもりだったのだが、どうスイッチが入ったのか、却ってタケノリの好奇心をくすぐってしまったようでご機嫌に箸をペンに見立てて回していた。タケノリは勉強で詰まっていたところで理解が進むといつもペンを軽快に回しながらかりかりと景気よく走らせるタイプであった。
「へえ、面白そうじゃん。俺にも聞かせてくれよ」
そこで件のセリフが出てきて、タケノリはわざわざ下学年の教室にいる妹のセイラの所まで行って「今日もしかしたらユースケの家に泊まるかもしんねえわ」とだけ伝えてきた。タケノリのフットワークの軽さにはユースケも常々驚かされていたが、同時に妹に対する過保護気味な対応にも驚いていた。カズキも「俺も行ってみっかな~今日暇だし」と軽いノリで付き合おうとしていた。
そのとき、教室の扉が開きセイイチロウが入ってきた。
「いやー今日はなんかこれが食いたいって気持ちになんなくてなー。迷っちまった」
これまでの話の流れを知らないセイイチロウがマイペースにそう言って静かに席に着くと、構わずタケノリは「お前も今日ユースケの家に行かないか?」と誘っていた。セイイチロウは当然のようにきょとんとした顔をしていた。
ちなみにここまでユースケはうんともすんとも頷いてもいないのだが、特に気にする素振りもなく淡々と梅干しを口に運んでは口をへの字に歪めていた。
授業が終わると、早速ユースケとタケノリ、カズキはユースケの家へと向かった。今日はタケノリが部活がない代わりにセイイチロウが予定があると言って来なかった。
「ユリもいながらあんたたち何やってたのよ。電池入ってないじゃない」
心底呆れたようにユズハはため息をつきながら可哀想なものを見る目でユースケをじっと見てくる。ユースケとしては情けない気持ちよりもまるでユリの方がユースケより頭が良いような扱いに対する憤りの気持ちが強かったが、それらよりもさらにこれでようやく使えそうだという喜びが勝った。そのユースケの気持ちが表情に表れていたのか、ユズハもふふっと笑って軽快に電池をラジオに詰めていった。ユズハもなんだかんだで未知の物へ興味を強く示しているようである。
外した板を元に戻しネジを巻き直してゆっくりと机の上に置く。しばし待ってみても何も起こらないので、電源を入れる必要があると察したユズハはラジオを上から眺め「電源はこれかな」とボタンの一つを軽く押した。途端にざざーっと大きなノイズが走った。
「うわっ」
いきなりの大きな音にユズハは後ろにのけぞった。その際にラジオを倒してしまい、ユースケが慌てて立て直す。しかし倒れてもなおざざーっと鳴り続けているのでは意味がないので、ユースケもラジオを色々操作しようと試みる。ユズハも座り直してユースケの手を目で追っている。
試しているうちに、ユースケは先ほどユズハが回した丸い出っ張りの部分を回した。すると、鳴っていた音の種類が変わり、次第に何も聞こえなくなった。
「あれ、もしかして壊れたのか」
「……もうちょっと回してみて。それで何か分かるかもしれない」
ユースケはユズハに指示された通りに再度回してみせる。途中、先ほどのノイズが走ったかと思えばまたしんと静まりかえり、その後も回し続けると何やら声が聞こえてきた。
その声に今度はユースケがひっくり返りそうになり、再びラジオが倒れそうになるがユズハが見事に倒れる寸前に支えた。ユズハはのけぞっているユースケににやにやした顔を見せつけている。
「おい、お前何か喋ってるか? 新しい特技でも身につけたのか?」
「何わけ分かんないこと言ってんのよバカ、このラジオから聞こえているのよこの声」
ぷりぷりと怒るユズハを意に介さず体を起こしたユースケは机の上に乗り出してラジオに近づく。ラジオから発せられる声は小さく、ユズハもその声を聞き取ろうと身を乗り出した。互いに身を乗り出し合っているため二人の顔が目と鼻の先の距離にあるのだが、お互いそのことに気がつかずにラジオに夢中になっている。
ラジオからはしゃがれた男性の声とやけに高く甘ったるい女性の声が聞こえてきて、何やらユースケたちの住む『望遠国』の教育制度について議論しているようである。時折、この二人の元に届いているという葉書を読み上げながら議論を発展させていた。
初めのうちは新鮮さを感じてノリノリで聞いていたユースケだったが、内容が内容だけに段々と興味をなくしていき、それにつれて丸めた背中を後ろへそらしていく。対してユズハは授業を真剣に聞いているとき以上に興味深そうな面持ちで聴き入っていた。
「へー……これ、録音された音声を聞いてるにしては電池以外に何かを入れられそうな所もなさそうだし、本当に今どこかでこの人たちがこういうことを話しているってことなのかしら……って、あんたには退屈な内容かもね」
「まさかここまで来てこの機械なんかに勉強させられたような気分にさせられるとは思わなかったぜ」
ユースケはげっそりとした表情で天を仰ぎ見る。その様子に、もしかしたらこのままユースケはこのラジオを置いて帰るかもしれないと危惧したユズハは足を伸ばしてユースケの脛を蹴った。ユースケもムッとユズハを睨み付けたが、挑発には乗らず立ち上がって大きくのびをすると「お茶か何か飲んで良いか?」と尋ねた。
ユズハはわざとらしく大きくため息をつくと、「用意するから座ってて」と今にも勝手にウロチョロしそうなユースケを座らせながら台所に向かい、二人分のコップとお茶を取り出した。ユズハがコップになみなみと注がれるお茶をぼんやりと眺めていると、いつの間にか先ほどの議論が終わっていたのかラジオからは陽気な音楽が流れ始め、その音楽に乗っかるようにユースケが口笛を吹き始めた。あまりにもでたらめな音色に、ユズハも小さくふふっと笑った。
「へえ、面白そうじゃん。俺にも聞かせてくれよ」
そう言ってタケノリはカズキを連れてユースケの家に遊びに来ていた。
ことの発端はユースケが教室で金がないからとタケノリに昼食をたかろうとしていたことだった。当然タケノリは拒否したが、それで昨日ユースケの分の昼食を買ったことを思い出したらしく「お前、昨日の弁当代も出せよ」と手を出した。「金がないと言っている相手から金を巻き上げるつもりか君は」とユースケは文句を垂れながらも渋々財布を出して中身をひっくり返した。するとユースケ自身も驚くほど小銭が飛び出してきた。ちゃりんと大小様々な小銭が何枚か床に落ち、それを一枚一枚拾うタケノリに感謝しながら予想外の小銭の存在を不思議に感じていると、昨日のラジオの買い物のときに結局店主がただでくれたのを思い出した。ユースケはてっきりきちんと金を出して買ったものだと思い込んでいた。
「はあ、なんだそれ」
その経緯を説明すると横で聞いていたカズキが呆れながらパンを頬張る。昨日ユースケに奪われたにもかかわらず懲りずにパンを買う男であった。セイイチロウは未だに食堂で何を買うか迷っているらしく、タケノリとカズキはさっさと済ませて戻ってきていた。今日もタケノリがユースケの分の弁当を買ってきていた。
「それより、そのらじおってなんだ。お前が興味本位で買うなんて珍しいな」
「いやーそれがつまんなくってよ」
ユースケは昨夜ユズハの家で聞いた内容を思い出してうんざりしていた。ただで譲り受けたこともあって、あのままユズハの家に置いて帰ろうとしたが、ユズハが目敏くそれを許さなかった。今そのラジオは早速ユースケの出鱈目に服が詰め込まれているタンスに埋もれかけている。
ユースケとしてはいかにそのラジオがつまらないものであるのかを説明したつもりだったのだが、どうスイッチが入ったのか、却ってタケノリの好奇心をくすぐってしまったようでご機嫌に箸をペンに見立てて回していた。タケノリは勉強で詰まっていたところで理解が進むといつもペンを軽快に回しながらかりかりと景気よく走らせるタイプであった。
「へえ、面白そうじゃん。俺にも聞かせてくれよ」
そこで件のセリフが出てきて、タケノリはわざわざ下学年の教室にいる妹のセイラの所まで行って「今日もしかしたらユースケの家に泊まるかもしんねえわ」とだけ伝えてきた。タケノリのフットワークの軽さにはユースケも常々驚かされていたが、同時に妹に対する過保護気味な対応にも驚いていた。カズキも「俺も行ってみっかな~今日暇だし」と軽いノリで付き合おうとしていた。
そのとき、教室の扉が開きセイイチロウが入ってきた。
「いやー今日はなんかこれが食いたいって気持ちになんなくてなー。迷っちまった」
これまでの話の流れを知らないセイイチロウがマイペースにそう言って静かに席に着くと、構わずタケノリは「お前も今日ユースケの家に行かないか?」と誘っていた。セイイチロウは当然のようにきょとんとした顔をしていた。
ちなみにここまでユースケはうんともすんとも頷いてもいないのだが、特に気にする素振りもなく淡々と梅干しを口に運んでは口をへの字に歪めていた。
授業が終わると、早速ユースケとタケノリ、カズキはユースケの家へと向かった。今日はタケノリが部活がない代わりにセイイチロウが予定があると言って来なかった。
0
あなたにおすすめの小説
〜仕事も恋愛もハードモード!?〜 ON/OFF♡オフィスワーカー
i.q
恋愛
切り替えギャップ鬼上司に翻弄されちゃうオフィスラブ☆
最悪な失恋をした主人公とONとOFFの切り替えが激しい鬼上司のオフィスラブストーリー♡
バリバリのキャリアウーマン街道一直線の爽やか属性女子【川瀬 陸】。そんな陸は突然彼氏から呼び出される。出向いた先には……彼氏と見知らぬ女が!? 酷い失恋をした陸。しかし、同じ職場の鬼課長の【榊】は失恋なんてお構いなし。傷が乾かぬうちに仕事はスーパーハードモード。その上、この鬼課長は————。
数年前に執筆して他サイトに投稿してあったお話(別タイトル。本文軽い修正あり)
モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ&チート持ちだった!カードから美少女を召喚します!強いカード程1癖2癖もあり一筋縄ではない〜
KeyBow
ファンタジー
1999年世界各地に隕石が落ち、その数年後に隕石が落ちた場所がラビリンス(迷宮)となり魔物が町に湧き出した。
各国の軍隊、日本も自衛隊によりラビリンスより外に出た魔物を駆逐した。
ラビリンスの中で魔物を倒すと稀にその個体の姿が写ったカードが落ちた。
その後、そのカードに血を掛けるとその魔物が召喚され使役できる事が判明した。
彼らは通称カーヴァント。
カーヴァントを使役する者は探索者と呼ばれた。
カーヴァントには1から10までのランクがあり、1は最弱、6で強者、7や8は最大戦力で鬼神とも呼ばれる強さだ。
しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。
また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。
探索者は各自そのラビリンスが持っているカーヴァントの召喚コスト内分しか召喚出来ない。
つまり沢山のカーヴァントを召喚したくてもコスト制限があり、強力なカーヴァントはコストが高い為に少数精鋭となる。
数を選ぶか質を選ぶかになるのだ。
月日が流れ、最初にラビリンスに入った者達の子供達が高校生〜大学生に。
彼らは二世と呼ばれ、例外なく特別な力を持っていた。
そんな中、ラビリンスに入った自衛隊員の息子である斗枡も高校生になり探索者となる。
勿論二世だ。
斗枡が持っている最大の能力はカード合成。
それは例えばゴブリンを10体合成すると10体分の力になるもカードのランクとコストは共に変わらない。
彼はその程度の認識だった。
実際は合成結果は最大でランク10の強さになるのだ。
単純な話ではないが、経験を積むとそのカーヴァントはより強力になるが、特筆すべきは合成元の生き残るカーヴァントのコストがそのままになる事だ。
つまりランク1(コスト1)の最弱扱いにも関わらず、実は伝説級であるランク10の強力な実力を持つカーヴァントを作れるチートだった。
また、探索者ギルドよりアドバイザーとして姉のような女性があてがわれる。
斗枡は平凡な容姿の為に己をモブだと思うも、周りはそうは見ず、クラスの底辺だと思っていたらトップとして周りを巻き込む事になる?
女子が自然と彼の取り巻きに!
彼はモブとしてモブではない高校生として生活を始める所から物語はスタートする。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
とめどなく波が打ち寄せるように
月山 歩
恋愛
男爵令嬢のセシルは、従者と秘密の恋をしていた。彼が従者長になったら、父に打ち明けて、交際を認めてもらうつもりだった。けれども、それを知った父は嘘の罪を被せて、二人の仲を割く。数年後再会した二人は、富豪の侯爵と貧困にあえぐ男爵令嬢になっていた。そして、彼は冷たい瞳で私を見下した。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる