【R18】完結・女なのにBL世界?!「いらない子」が溺愛に堕ちる!

たたら

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女ですけどBL世界に転生してもいいんですか?

12:え? 誘われてる?!なわけがないか<+王子様SIDE>

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この屋敷に来てから、
どれぐらいたったのだろう。


10日ぐらいは経っているのかもしれない。


私はベットから降りると、窓を開けた。



まだ明け方で、外は暗い。
風も冷たいが、何故か部屋の中は温かかった。



おそらく、魔法が関係しているのだろう。


ここに来たときは、泉に落ちたせいか
風邪をひいてしまったらしく、
苦い薬をひたすら飲まされた。


あとはここにいる騎士…だと思う。

6名の美形騎士様たちが、交代で私の手を握り、
あったかい『何か』を体に流してくれる。


これが<魔力>なんだと気づいたのは
つい最近のことだ。


彼らは、気を抜くとじっと見つめてしまう程の美形顔で
親切で、優しくて、丁寧に…まるで壊れ物ののように私を扱った。


ほんとに…私が何も知らずにこの扱いを受けていたら
絶対に恋に落ちていたと思う。


生まれて初めて、
人に優しくしてもらったのだ。


私はいつも「施設の子だ」という目で見られていた。


優秀でも、そうでなくても、
結局私はどんな場所でも
「施設の子」だった。



でも、ここは違う。



施設なんて無いし、世界すら違うのだ。


私は…きっとここでなら、
素直に生きていけるのかもしれない。



ドアがノックされ、振り返ると
茶色がかった金髪の青年が心配そうに顔を出した。


琥珀の瞳が綺麗で、熱でうなされていた時、
うっすらと目を開けるとこの琥珀がいつも見えて、
安心したものだ。


彼は私の世話係のようで、何から何まで
私に付き添って手を貸してくれる。


まるで過保護なママのようだと思う。


今日もいつもなら眠っている時間なのに、
早起きした私の気配に気が付いたのだろう。


どうしたのかと心配そうな顔をして近づいてくる。


言葉はまだわからない。
けれども、言葉がわからなくても
騎士さんたちは毎日たくさん、話しかけてくれる。


楽しい雰囲気に心は温かくなる。


ちょっと怖そうな印象の青い髪の騎士さんは、
私に絵が描かれたカードのようなものを手渡しては
何かを伝えてくれる。


絵を指さし、同じ言葉を繰り返す彼が、
言葉を教えてくれているのだと気が付いたときは、
彼の手を握って、何度も感謝を伝えた。


言葉もわからない。
世界を救えと言われても、何をするのかもわからない。


そんな出来損ないの私に、
ここの人たちは、優しくて、
それが嬉しくて。


そして、たぶん、勇くんの体の記憶に
ひきづられているのだと思う。


体の大きな男性を前にすると、
勇くんの体は、一瞬、びくっと強張り、
緊張で声が出なくなってしまう。


でも騎士さんたちは、そんな私の様子に
触れることなく、優しい笑顔で接してくれる。


ありがたい。
そして、つい、甘えたくなってしまう。


甘えるなんて、20年以上も生きてきて
一度もしたことがなかったのに。


こんな自分の変化に驚くけれど、
でも、決して嫌ではなくて。


この場所では、何をしても許されるような気がする。


寂しい、怖い。
そんな気持ちを吐き出しても大丈夫な気がする。


目の前の騎士様は、いつも優しい。
大きな手で、長い前髪を掻き上げてくれる。

熱で辛い時は手を握って、汗を拭いてくれた。

だから…
きっと、今また甘えても、
この騎士様なら、許してくれるだろう。


私は琥珀色の目をした騎士様の手を掴み、
さっきまで寝ていたベットに連れて行った。


ベットに入ると、
驚いたような顔をする騎士様の手をひっぱり
ベットに引きずり込む。


いつもなら他人が。
男性が怖くて私の体がこわばるのに、
今は、騎士様の体が硬くなっている。


それがなんだか可笑しい。


どうやら自分から行動するのであれば、
緊張もしないし、体も拒否反応はでないようだ。


私は琥珀の騎士様の腕にしがみついた。


薄いシャツを着ているだけだからか、
筋肉が服の上からでもわかる。

そして、あったかい。


一人じゃないという安心感から、
だんだん眠くなってきた。


今からなら、もう少しは眠れそうだ。


騎士様の体温は、あったかくて、心地よい。


安心できて…赤ちゃんが母親に感じる安心感って
こんな感じなのかもしれない、なんて思う。


ここは…誰も私を捨てたりはしない。



頑張らなくても、熱を出しても
迷惑をかけたとしても。


私は…捨てられない。



目を閉じると頭を撫でられる感覚がする。


気持ちいい…。



私はそのまま眠りへと落ちていった。











まずい、まずい、まずい。


頭の中はそんな言葉でいっぱいだった。


私は役立たずの3番目とはいえ、王族だ。
欲望のまま、他人の体に触れるなどあってはならないし、
そもそも、欲情などしたことがない。


……のだが。


今、私はベットの中で
激しく自分の欲情した下半身をもてあましていた。


私は<彼>の隣の部屋で毎日を過ごしている。


<彼>の警護は交代制で、それ以外の時間はそれぞれ
訓練をしたり<彼>が言葉を覚える練習に付き合ったり。


町まで出かけて食料を買い込んだり、ついでに
町の人たちの陳情を受けて、それを解決したりしていた。


<彼>が熱を出していた時は、常に同じ部屋で待機していたが
今は<彼>の体調も良く、私も隣の部屋で眠っている。


だが、やはり任務中という意識もあるのだろう。
小さな気配に目が覚めて、隣の部屋を訪れた。


すると<彼>が窓を開けて空を見上げていた。


初めて会った時のような澄んだ瞳で、
まるで、女神の世界に戻ってしまうかのように
儚い微笑を浮かべて。


慌てて<彼>に近づくと、<彼>は嬉しそうに笑った。

きちんと私を見て、笑ってくれる。
それだけでうれしくなる。


私を「王子」ではなく、ただの一人の男として、
<彼>は接してくれる。


この金聖騎士団の仲間でさえ、
「地位と立場」が越えられないときもあるのに、
彼はそんなものは関係なく、私に愛情を向けてくれた。


それがどんなに嬉しいことか、
きっと<彼>は知らないだろう。



<彼>は私の手を取ると、ベットへと連れていく。


何がしたいのかとわからずに付き合ったが、
<彼>はベットに入ると、シーツを開けて
私に入るよう促した。


まさか、誘われているのか?!

どくん、と心臓が鳴る。


<彼>はぐいぐい腕を引っ張って、
私はそれに押されるようにベットに入った。


<彼>は私の腕をつかみ、体を摺り寄せてくる。


私の隠していた欲望は膨れ上がり、
唾をのみ込んだ。


ほんとに…いいのだろうか。
いや、<彼>が私を求めてくれているのなら拒絶する理由はない。


そういえば、あの白い獅子の聖獣も言っていたではないか。
愛し子を愛してほしいと。


いや、こういう「愛する」ではないかもしれないが、
とにかく、こうなってしまっては、私も
行動するのは、やぶさかではない。


というか<彼>に惹かれているのは一目瞭然で
否定などできない。


否定できなくて、<彼>が私を求めてくれているのに
私は何を迷っているのだろうか。


そうだ!
迷う必要などない。


覚悟を決めて<彼>に目を向けて…


私は天を仰いだ。


<彼>は眠っていた。
幸せそうに。


「はは、そうじゃないと、気が付いていたけどね」

自分をごまかすように呟いてみたが、
下半身に集中した熱だけが
私をあざわらっているかのように主張していた。












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