【R18】完結・女なのにBL世界?!「いらない子」が溺愛に堕ちる!

たたら

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愛とエロはゆっくりはぐくみましょう

44:久しぶりの再会!……そして衝撃

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私たちはカオスを放置して、場所を移動した。

放置したのは、祈り続ける神父さんとケインだ。

女神像の前に私たちは移動して、長椅子に座った。

「それは妖精なのか?」

スタンリーが不思議そうに私の頬にへばりついている
妖精勇くんを見た。

「わかんないですけど…それに近いものかも?」

「妖精はいいけど、なんでユウにひっついてるわけ?」


カーティスが妖精勇くんをつまみ上げようとするのを
私は慌てて阻止した。

「大丈夫です。とってもいい子ですから」

「いい子ってことは、知ってるのか?
ユウに似ているとは思うが……」


ヴァレリアンに聞かれて、私は頷く。

「はい、この子は私の大事な……」
弟、と言いかけて、本当の弟じゃないからダメか、と思い、
でも、他人じゃないし、友達でもない。


なかなか、勇くんと私の関係は形容し辛い。

以前、共依存なのではないかと思ったぐらい、
私と勇くんはお互いに無くてはならない存在だったし、
恋愛感情は無かったけれど、とても大切な人だった。


「私が生きていく理由をくれた子です」


とっても大切な、勇くん。


そういうと、その場にいた全員が固まり、
頬にへばりついていた妖精勇くんも泣くのをやめ


「僕も、僕も大好きーっ」と叫んで、また泣いた。


ぐずぐずなく勇くんを人差し指で突いてて、
「もう、泣くのはやめなよー」と揶揄う。


「勇くんはすぐ泣くんだから。
私が勇くんの涙に弱いの、知ってるでしょ?」

「じゃあ、また抱きしめてくれる?」

「いいけど、そのサイズじゃちょっと無理」

そう言って笑うと、勇くんも笑った。

それだけで、嬉しい。


「なんか…疎外感で嫌だな」

カーティスが私の手を掴んだ。

「ユウは私のなのに」

「おまえだけのもんじゃないけどな」


私が返事をする前に、ヴァレリアンが答えてくれた。

勇くんはきょとんとして、笑った。

「良かった。大切な人、見つけたんだね」

「うん、まぁね」

私たちは笑いあう。

「ちょっと二人だけで話したいのですがいいですか?」

一応、許可を取ると、カーティスは絶対にダメだと言って、
スタンリーは、姿が見える場所なら構わないという。

エルヴィンも、バーナードも、こういう時、
団長であるヴァレリアンに従うのが基本だから、
私はヴァレリアンの返事を待った。


「さっき神父にお茶を入れてもらった部屋がある。
奥まっていて、外から侵入されることはないだろう。

念のため扉は開けておく。

俺たちは護衛で扉の外にいる。

それでいいか?」

もちろん、オッケーです!

私は大いにうなずき、
ヴァレリアンの手を握って感謝を示す。

そして、戻ってきた神父さんとケインが勇くんを見て、
またお祈りを始める前にお茶の準備をして
ヴァレリアンが言っていた部屋に案内してもらった。

テーブルの上に、お茶のカップが2つ。
だけど、勇くんは小さいのでカップからは飲めない。

私はじぶんのお皿に置いてあったティースプーンに
お茶を入れて、フーフーと冷ましてあげる。

そしてスプーンを勇くんに差し出すと、
勇くんはおそるおそるスプーンから紅茶を飲んで、
おいしい、と笑った。

うん、可愛い。


「……可愛い……」

私の心の声が漏れたかと思ったけど、
この声はきっと、バーナードだ。

少し一緒にいて、バーナードが可愛いものが好きなのが
じつはわかってきた。

みんなには隠しているみたいだったけど、
私も可愛いものが好きなので一緒にいると、
つい可愛いもの好き談義をしてしまう。

バーナードもそれに乗ってたくさん可愛いモノの話をするので
私の前ではちっとも隠せていない。

そのことに、いつ気が付くのか、楽しみだ。


「それで、勇くんはどうやってここに来たの?」

違った。
なんでここに来たの?と聞くべきだったか。

勇くんは、わからない、という。

「でも僕、悠子ちゃんに謝らないとって思って。
怖くなって、辛くなって、パニックになって。

そしたら、あの女神さんの声がして、
『わしは忙しいから、一人で何とかするがいい』って。

気が付いたら、こうなってた」

女神ちゃん…全部丸投げかーい!

いいのだ。
女神ちゃんのやることに、いちいち怒っていては身がもたない。

「それで…?」

私は勇くんに話を促した。

ドアの外には皆がいるけど、小さな声なら
外にまでは聞こえない。


……はず、たぶん。


まぁ、聞かれたとしても
頭のおかしい会話にしか見えないだろうしね。


「あのね、悠子ちゃん」

勇くんは私をお姉ちゃんと呼ばないときは、
甘える時ではなく、真剣に話をしたいとき。

私と対等に話をしたいときで、
大事な話をするときのクセだった。

私が施設を出るときも、就職先を決めた時も。
勇くんが施設を出るか進学するかを迷っていた時も、
職場を決めて、すぐに転職することになったときも。

いつも勇くんは私を、お姉ちゃん、と言って
すがって泣いたが、
落ち着くと、私を悠子ちゃん、と呼んだ。

もう子どもではないのだと、
自己主張しているように私は思えた。

そんな勇くんは、しっかりと私の目を見て、
ごめんなさい、と頭を下げた。

「僕、好きな人ができました」







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