【R18】完結・女なのにBL世界?!「いらない子」が溺愛に堕ちる!

たたら

文字の大きさ
159 / 208
エピソード集<R18>

お披露目からの裸体盛…?<3>

しおりを挟む





ひたすら文句を言っているヴァイオリンと
カーティスを横目に、
スタンリーは私からベールを取った。

「着替えるか?」

「うん、ありがとう」

正直、一人では脱げそうにない。

「試合の時、ユウのベールが
取れただろう」

「そうだったね。
応援するのに夢中になって」

「私は嬉しかったが、
ユウの美しさが皆に知られてしまったな」


美しさって。
スタンリーは真面目なくせに、
こういうところが、
素直というか、恥ずかしい。

「そうして、すぐ顔を
赤く染めるのも可愛らしいと私は思う」

さらに赤くなるようなことを
真顔で言うスタンリーに
私は内心、身もだえた。


誰かに褒められるのも
愛されるのも、正直、
そんなにまだ慣れていない。

いつか恥ずかしぬんじゃないかと
思っていると、不意に
ヴァイオリンとカーティスが
私の傍に立った。

「おい、なんでユウを
脱がしてるんだ?」

ヴァイオリンがスタンリーの
手を掴む。

「着替えを手伝ってるだけだ。
一人では脱げないだろう」

「じゃあ、私が
手伝ってあげるよ、ユウ。

いつも私が脱がしてあげてたものね」

カーティスが言いながら
私の服を大胆に脱がそうとする。

まって、まって。

背中のボタンを外してもらったら
あとは一人でできるから。

私は慌てて身をよじって
カーティスの手を逃れた。

「汗かいちゃったし、
お湯を浴びてくるから…
皆も着替えて来て?

ね。
せっかくカッコいいお揃いの服が
汚れたらもったいないもん」

そう言ったら、
3人とも私と自分たちの
白い服を見て、頷いた。

「すぐに戻る」

ヴァイオリンは早足で
ドアに向かった。

「じゃあ、
私も着替えてこようか。
護衛はドアの外にいるから
部屋に出たらダメだよ」

カーティスもそう言って
部屋を出ていく。

「何かあれば、
護衛に声を掛けろ。
すぐにもどってくる」

最後にスタンリーが
私の頭を撫でて、出て行った。

やれやれ。

私はゆっくりお風呂に
入らせてもらうことにした。

朝からずっと外にいたのだ。
疲れないはずがない。

お昼に休憩があって、
サンドイッチを食べさせてもらったけど
闘技場みたいなところでは
気も休まらなかった。

でも。
恰好良かったな、3人とも。

戦ってる姿を
初めて見た気がする。

命の危険がないからこそ、
のんびり応援ができたのだとは思うけど。

ふーっと息を吐いて、
私は湯に浸かった。

気持ちいい。

元の世界では、
広いお風呂に入ることは無かった。

アパートのお風呂は
狭かったし、

育った施設のお風呂も
広いと言えば広かったけど
子どもたち皆と入るので、
ゆっくりお湯に浸かることは
あまりなかったと思う。

夏の暑い日は、
庭でホースを使った
水まきの時に、ついでに
頭も洗って夜はお風呂無し、
なんてことも、多々あった。

たぶん、水道代を
節約してたんだと思う。

そんなわけで、
一人でのんびり、
足を伸ばしてお風呂に入るのは、
私にとってはかなりの贅沢だ。

のんびり湯に浸かって、
身体を洗って。

洗ってからもまた、
湯に浸かる。

そうしていたからだろう。

「ユウ、大丈夫?」
ってカーティスの声がした。

「あ、うん」

慌てて返事をしたら、
浴室の扉が開いた。

「あんまり遅いから
中で倒れてるかと思った」

なんて笑うから、
私は慌てて湯から出る。

「ごめんね、のんびりしちゃった」

お湯からでると、
カーティスが大きなタオルで
私をくるんでくれる。

「大丈夫。
急かしちゃったかな」

「ううん。
そろそろ出るつもりだったから」

私の身体を拭くのを
手伝ってくれるけど、
カーティスって王子様なんだよね。

そう思うと、
不思議と言うか、
なんというか…

不敬、とは思わない。
元の世界で王様っていなかったから
何が普通なのかよくわからない。


総理大臣が目の前にいても、
たぶん、偉い人とは思うけど、
話をするのに不敬とかは思わない気がする。

日本人って、敗戦国だからか
そういうのを曖昧にしがちだし。

だからカーティスが
王子様でも私にとっては
大切な人で、大事な友人でもあって。

大好きって思う人でもあるけれど。

カーティスが私の世話を焼くのを
嫌がる人もいるんだろとは、思っている。

だって、皆に守られて
あまり外に出ない私でも、
階級とか、地位とか、家柄とか、
そういうのが厳しい世界だって、
みんなのことを見ていたら
なんとなく理解できてきたから。


カーティスに連れられて
ソファーの所に戻ると、
スタンリーもヴァレリアンも
すでに楽なシャツの姿になって
戻ってきていた。


「どうした? ユウ。
難しい顔をして」

スタンリーが聞いてきた。


このスタンリーも宰相の息子で
ヴァイオリンは王弟の息子なんだよね。


ほんと、金聖騎士団って
権力者の集まりみたい。

いつか嫉妬されて、
嫌がらせとかされたりして。

なんて考えて。
つらつらとそんな話をしたら
ヴァイオリンは呆れたような顔をした。


「嫉妬されるなら俺たちの方だろ。
なにせ、女神の愛し子を
独り占めだからな」

「確かに」とスタンリーも頷く。

「それに私は王子でも
3番目だからな」

カーティスだけが
少しひっかかる言い方をした。

「何番目に生まれても
カーティスはカーティスでしょ?
何が違うの?」

「そう…だね。
何も、違わない…かな?」


「きゃっ」

カーティスはそう言って
私を抱き上げた。

私はまだ、裸のままだ。

大きなタオルを
体に巻いているとはいえ
早く着替えたい。

「ユウ、お腹すいてない?
軽食を用意させたんだ」

楽しそうな声で
カーティスは私をソファーに座らせた。

着替え…と思ったけど、
カーティスが嬉しそうなので
言い出せない。


テーブルの上には
フルーツが綺麗にカットされて
大きなお皿に並んであった。

夕食まで少し時間があるからか
ゼリーのような甘い軽食も
一緒に置いてある。

「何か食べる?」

カーティスが私の横に座り、
お皿を手に取った。

「待て、先に服を着た方が良いだろう」

スタンリーが声を掛けてくれた。

「このままでも構わないよ。
どうせ、脱ぐんだから」

……脱ぐ?

カーティスが不穏なことを言う。

私が眉をひそめると
ヴァイオリンが笑った。

「そうだな。
ユウはどうせ脱ぐからな」

「なんで?」

聞き返すと、ヴァイオリンは
にやり、と笑う。

「ユウはここで皿になるからだ」

は?

何を言ってるんだろう、って
顔でヴァイオリンを見たら
同じような顔で
スタンリーとカーティスも
ヴァイオリンを見ていた。


「ユウを皿にして
これを食べるのも、美味そうだろ?」

ってヴァイオリンが
笑いながらテーブルの上の
果物を指さす。

カーティスの目が輝いた。

スタンリーも息を飲む。

え?

どういうこと?

「な、ユウ。いいだろ?
頑張った俺たちに、ご褒美だ」

ご褒美…?

は、いいけど。

まって?

状況がつかめてないの、
私だけ???







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

COCO
BL
「ミミルがいないの……?」 涙目でそうつぶやいた僕を見て、 騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。 前世は政治家の家に生まれたけど、 愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。 最後はストーカーの担任に殺された。 でも今世では…… 「ルカは、僕らの宝物だよ」 目を覚ました僕は、 最強の父と美しい母に全力で愛されていた。 全員190cm超えの“男しかいない世界”で、 小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。 魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは── 「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」 これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』

バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。  そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。   最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

処理中です...