【完結・R18】「いらない子」が『エロの金字塔』世界で溺愛され世界を救う、そんな話

たたら

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獣人の国

232:できることから

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 パパ先生と話をして、
当分私はパパ先生とこの家に住むことにした。

私も自分の『力』に関して
何もわかってないし、
制御もうまくできていない。

そう言った意味での研究と
この国と隣国を『力』を使って
どう繋げるかを検証するためだ。

内心、パパ先生と親子みたいに
過ごせることを喜んだのはナイショだ。

ディランとマイクは揉めそうだと
思ったけれど、この国の状態を
正常に戻すことが先決だ。

マイクは私が言ったら、
手伝ってくれると思う。

ただ、マイクはこの国の人間じゃないし、
一人で王宮に泊まるのは嫌がるかもしれない。

それにたぶん、いやきっと、
私とずっと離れ離れになるのは
嫌だと言うだろうから、
パパ先生の家と宮殿を
私が1日おきに行き来することにした。

パパ先生が一人で研究したいことも
あるだろうし、私は私で
できることもあるだろうから。

朝食を食べた後の食器もそのままに
パパ先生と今後のことを話し合っていたら
ドアを叩く音がする。

「おはようございます、ユウさま!」

大きな声に、
パパ先生と目を合わせて苦笑する。

パパ先生は席から立ち上がり、
玄関の扉を開けに行く。

「やぁ、おはよう」

扉を開く音と、
パパ先生の声がして、
マイクとディランの声がする。

「二人ともおはよう」
と私も席を立つと、二人は立ち止まって私を見た。

「何?」

「ユ、ユウさま!
何故そのような恰好を!」

マイクが慌てて私に駆け寄り
来ていた上着を私にかける。

「うん?
パジャマが無かったから、
パパ先生のシャツを借りてたの」

足が出過ぎてたか?

「ディラン、なんでそこで怒ってるの!」

殺気のようなものを感じて、
私は慌てて叫ぶ。

「着替えを持ってなかったんだから
仕方ないでしょ」

私はディランも手招きをした。

「悠子……ユウは愛されてるね」

パパ先生は、そういって笑う。

「二人とも過保護なんです」

「当たり前だ!」

「ユウさまは私の全てですから」

なんか、マイクの口から
妙な言葉が飛び出したぞ。

でも、全員、スルーだった。

マイクは私を抱きしめたまま
耳元で「お怪我はありませんか?」
なんて聞いて来るけど、

ただおしゃべりして、
お泊りしただけなのに
いったいなにがあるというのか。
……過保護すぎる。

パパ先生は朝食後の食器を片付けて
新しくお茶を淹れてくれた。

その間に私はマイクが
持って来てくれていた服に着替えて、
4人でテーブルに座る。

もちろん、私とパパ先生は隣同士だ。
親子だからね。

二人は不満そうだったけど。

そこで改めて、私は二人に
パパ先生と親子になったこと。

そしてパパ先生も女神ちゃんが
私のサポートをするために
私が元居た世界からこの世界に
連れて来たこと。

パパ先生の『賢者』としての力。
『見て・知る』という能力も
女神から授かったものだということを
説明した。

「つまり、あなたはユウさまの
父上であり、ユウさまを助けるために
この世界に来たと言うことですね」

マイクの言葉にパパ先生が
そうなるかな、と頷くと
マイクは「なんて尊い親子の!愛でしょう」
と先ほどまでの敵意など全く消し去り、
パパ先生に笑顔を向けた。

親子の愛、というところが
やけに力が入っていたような気がするけど
気が付かなかったことにする。

「じゃあ、女神はこの国を
どうにかしようとは、
考えてくれてるんだな」

ディランはパパ先生をじっと見る。

「ええ、もちろんです。
女神はこの国の現状を憂いてましたよ」

「そうか。戻ってきたら、
かなり酷い状態だったから
この国は女神から見捨てられたのかと
心配してたんだ」

ディランは安心したように言う。

私とパパ先生はこっそり目を合わせてしまった。

その気持ち、わかるもん。

「そんなわけで、
私は今からこの国を変えるために頑張ります。
マイクも手伝ってくれるよね?」

「もちろんです。
ユウさまがそれを望むのであれば、
全力でお手伝い致します」

よし!
言質はとったぞ。

それからはパパ先生の独壇場だった。

パパ先生はまとめた資料を
二人に見せながら、
私と話をしたことを追加して
説明していく。

最優先は、やはり『聖樹』だ。

種は女神からパパ先生が受け取り、
保管しているらしい。

驚きだが、パパ先生は
何もない空間に物を隠すことができるらしい。

私にはない能力だ。

泥棒に入られても、
空間に隠されているものは
当たり前だけど誰にも盗むことはできない。

どれぐらいの質量を隠せるかは
試したことは無いらしいけれど、
手に掴むことができるものは
どんなものでも『隠す』ことができ、
欲しいと思ったら空間から出てくるんだとか。

いいなー。羨ましい。

『聖樹』の種はそんなわけで
誰にも盗られることがない場所で保管されている。

あとはそれを使う場所だ。

「僕はユウちゃんの『力』を使ってもいいと思うんだ」

あ、悠子ちゃんからユウちゃんになった。
ユウという名前を「ちゃん」付けで呼ばれるのは
初めてで、ちょと嬉しい。

「ユウちゃんの力は聞いた。
この子の力であれば、
土地を広げ、区画整理をして、
それぞれの望む家屋を移動、もしくは
造ることができると思う」

え?
できるかな?
街を作るんでしょ?

そんな壮大ことができるなんて言ってないよ?

「その為の場所の設定と、
『聖樹』の力が及ぶ範囲の特定は
急いだ方がいいな。

あと住人たちへの説明も必要だろう。

それから『呪い』の話だが、
じつはそれは、呪いではなく『獣化」なんだ。
そのことも話さねばならないな」

どんどん話がふくらんでいく。
ディランは考える素振りをして、
パパ先生を見た。

「一度、王宮に来てもらうことはできるか?」

俺一人で判断できる範疇を超えそうだ、と
ディランが言うと、パパ先生も頷く。

「そうだね。
その方がいいだろう。
ユウちゃんも荷物を持っておいで」

「うん。わかった」

「「荷物?」」

二人が声を揃えて聞くので
「パパ先生とここで一緒に住むの」
と返事をすると、
二人は目を見開いて、怒涛のごとく反対した。

いや、一生住むわけじゃないし、
今だけだから。

そんなに縋り付くような目で
私を責めないでーっ。








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