「打倒してしまっても構わんのだろう?」と魔王城へと向かい、逃げ帰ってきた勇者に追放された俺、その後英雄となり、美女たちと幸せライフを送る

ぐうのすけ

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勇者ブレイブ戦

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 ガーディーがリングの外に運ばれると、勇者ブレイブがリングに上がった。
 ブレイブに向けて罵詈雑言が飛び、ブレイブは観客を睨みつけた。

「さあ、注目の一戦ですが、先ほど到着しました魔王ガルゴン様に話を伺います」
「うむ、聖騎士ガーディーをウインが圧倒的な力量差で倒し勝利したようだが、見る限り勇者ブレイブより聖騎士ガーディーの方が基礎能力が高いように見える。次も同じ結果になるだろう」

「貴様!魔王!この国にまで入り込んでいたか!ウインを倒した後はお前を打倒してやる」
「そのような発言は勝ってから言うのだな。所でブレイブ、デイブック民主国でも嫌われているようだな。冒険者ランクがCに落ちたようではないか」

「う、うるさい!俺は皆に足を引っ張られただけだ。本来の実力はそんなものじゃない!今から見せてやる!」
「だから早く力を見せてみろ。早く戦え。それともいつもの口だけか?」

 ブレイブはぎゃあぎゃあと怒鳴るが、途中から魔王は無視するようになった。

 ブレイブ、魔王にも嫌われているのか。
 魔王はいつもならもっと紳士的な態度を取る。
 だがブレイブに対する不快感が半端ない。

「なあ、早く始めないか?」
「無能が口を挟むな!」
「クロノ、早く始めたい」

「は、はい。私の名前、憶えてくれたんですね。嬉しいです。それでは、ウイン選手対ブレイブ選手の試合、開始です!」

「ふ、ウイン、口だけでここまでのし上がった様だが、この瞬間からはそうはいかん」
「それさっきも聞いたからもういいぞ」
「貴様!俺の話を遮るな!」

 俺はショートソードでブレイブを斬りつけた。
「ぎゃああ、ぐ、ぐう、ひ、ヒール!」

 ガーディーよりこいつの方が罪は重い。
 10万のゴブリンを押し付けてこの国は多大な被害を出した。
 ただでさえ人が足りない中、10万のゴブリンとの戦いで戦える者が減り、人手不足がしばらく続いた。

「卑怯だぞ!正々堂々と戦え!」
 俺はショートソードで太ももを突き刺す。

「ぐう!!ヒール!貴様!ひきょ」
 俺はブレイブが口を開くたびにショートソードで斬りつけ、突き刺した。

 こいつと話をしても駄目だ。
 こいつと話をしても無駄だ。
 分かっている。
 俺が攻撃するたびにこの場が歓声に包まれた。

 だから俺は一方的にブレイブを挑発する。
 会話ではなく一方的に怒鳴る。
 ブレイブと同じやり方だ。
「どうする?この剣で何度も斬られて何度も突かれて、避ける事も出来ない。無能なら無能と認めて土下座したらどうだ?」
 
 俺はワザと『無能』の言葉を使った。
 ブレイブは剣で飛びかかって来るが、そのたびにショートソードで斬りつけた。

「ブレイブ!自分の無能を認めろ!こんなショートソードの攻撃も避けられない無能なんだ。お前は無能だ。まずそれを認めろ!なあ、無能のブレイブ。お前は無能だ。俺ごときの攻撃を避けることも出来ない無能のブレイブ」

「き、きさまあああああああ。無能が俺の事を見下すなああああ!!無能のお前が俺を無能扱いするなあああああ!!!」
 ブレイブが俺に剣を向かって剣を振り回す。
 俺は剣を躱す。
 剣をいなす。
 剣を受け止める。

 そしてショートソードで剣を突き立て、斬りつけていく。
「ブレイブ、あきらめろ」

「ふ、ふふふふははははははははははは!そうか!手加減はいらないようだなああああ!」
 お前、どう見ても本気だっただろ?
 ブレイブのステータスはガーディーより低い。
 ガーディーの方が強いだろう。

「無能なお前の為に切り札を使ってやる!俺の【ブレイブタイム】を使う!ブレイブタイムは勇者である俺だけが使える勇者の証だ!この技は1分間俺の戦闘力を2倍に上げる。お前はもう終わる。無能のお前はもう終わりだあああああ!!」

「……なあ、早く使ったら?」
 こいつ、お前程度の能力が2倍になった所で、何も変わらないって分からないのか?
 そのリーチの長いロングソードでこのショートソードに打ち負けているだろ?
 現状把握が出来ないのか?

「ふ、慌てるな。早く楽になりたいのは分かる。だが、回復魔法を使ってからだ。その後楽にしてやる」
 意味が分からない。
 俺が回復魔法とブレイブタイムのスキルを使うのを待って攻撃しないで待ってあげているんだが?
 俺が追い詰められてるみたいな言い方何なんだ?
 こいつの言っている意味が分からない。

 ブレイブを斬りつけたくなる衝動に駆られた。
 だが我慢だ。
 切り札を使わせてそれを余裕で完封する。
 そうしないとあいつはずっと勘違いをし続けるだろう。
 ブレイブのプライドをへし折る。

「ハイヒール!」
「……」

「はあ、はあ、怖いか?怖いだろう。はあ、はあ、お、俺の全力を、ぜえ、はあ、見せよう」
「疲れて動けないのか。言い訳してスタミナを回復したいのか」
「ち、違う。こ、これだから、ぜえ、はあ、無能は困る」

「……怖くないから俺から攻撃しよう」
 俺はブレイブを3回斬りつけた。

「ぐあ、貴様!やめろ!焦るな、ぬおおお!ブレイブタイム!」
 ブレイブの体が輝き、動きが早くなる。
 ブレイブが俺を攻撃するが、当たる気がしない。

 ブレイブの剣の音がぶんぶんと聞こえるがすべて回避する。
 何度も剣で斬りつけるが、ブレイブは諦めない。

 ブレイブを殴る予定だったが、すっかり忘れていた。
 俺はショートソードを鞘に戻した。

「は、ははははは!負けを認めたか!そうだろう!俺には勝てないよなあ!」
「はあ!?」

 いかんいかん。
 ブレイブと会話をしても駄目だ。
 素で受け答えをしてしまった。
 ブレイブが斜め上のクズ過ぎてあっけに取られてしまった。

 俺はブレイブの顔を殴る。
 ブレイブは反応出来ず直撃を受ける。

「ぐ、ふん、今日はみのが」
 俺はブレイブを殴る。

 何か言おうとするたびに殴る。
 ブレイブの切り札、【ブレイブタイム】の効果が切れ動きが悪くなる。

 その後数発殴ると、ブレイブは気を失って倒れた。

「ウイン選手の勝利です!」

 コロシアムは大歓声に包まれた。
 ブレイブ、ここまでやっても変わる気配が無いか。
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