女騎士ラーニャ

海鷂魚

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第18話「訪れのラーニャ」

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 魔術学園。正式名称を、聖魔術法学園。そこに、ラーニャはやってきた。
「はー。恐ろしく立派な建物ですね」
「三千人近くの生徒がいるよ」
 フレに案内されながら、ラーニャは様々な見たことのない服装の生徒や、内装を見学していた。
「まず、私の育てている生徒の中に、魔術法学研究部という、魔術を研究する専門家の生徒がいる」
「生徒なのに専門家ですか」
「生徒といっても、この学園は年齢制限がない。在学料といって、料金を払ってれば、いくらでも魔術という学問を突き詰めることができる」
「シビアですね~。お金持ちじゃないと立派な魔術師にはなれないですね」
「いや、独学という手もあるから、古典や教材を買うためだけに入学する人もいる。あとは勝手に退学したりすればいいから」
「なるほど」
「まあ、その点で言えば、きみは最も独学とは程遠い世界で魔力を得るわけだから、独学で頑張る人とかには言いふらさないほうがいいね。いわばチート的に能力を得るわけだから」
「チートに頼らないと、キャラクターは人気を得られませんからね。主人公として当然の待遇ですね」
 メタなこと言うラーニャだが。
 確かに、人工的に魔力を得ようとしているラーニャは、本当にチートで力を得ているゲームの主人公のようだ。
 だが、この世界はゲームではない。現実だ。なのでそのチートを使う前に、
「きみが本当に、魔力成長期なのかを調べる。そのための専門家たちに集まってもらっているのさ」
 ある教室の前に、フレが止まった。
「ここだ。入ろう」
 ドアを開けるフレに続いて、ラーニャは教室に入った。
「ようこそ、ラーニャさん」
 そこには、様々な年齢の男や女が、待ち構えていた。
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