女騎士ラーニャ

海鷂魚

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第17話「実験のラーニャ2」

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「魔力成長期とは、魔力の性質が、三歳までに決まる時期のことだ。決まるというか、三歳までに、魔力が安定する。その時期を魔力成長期というが、成長中であるということは、そこに手を加えることで、大いなる魔力を、成長期の幼児に与えることができる。成長の仕方を変えるんだ。自然に成長する魔力を、人工的に成長させる。そうすることで、強大な魔力を与えることができるはずなんだ。理論上はね。でもそうはいかない。大いなる魔力に耐えられないんだ。幼児の体は、大いなる魔力に耐えられない。だから理論上は幼児を最強の魔術師にできるが、それは現実にはできない。そこでだ。人工的な魔力が耐えられる年齢や体格はどのくらいか。それは十三歳くらいの年齢や体格ならば、人工的な魔力に耐えることがわかっているんだ(魔力成長期であることが前提)。ということは、今年で十六歳になったきみなら、大いなる魔力に耐えられることは明白だ(魔力成長期であることが前提)」
「つまり、現在成長中である私は、人の手によって成長しきれるということですか」
「そうだ。だからもう一度、きみに聞く。ラーニャちゃんを魔術学園に招待しようと思っているが、この話に乗らないかね?」
 ラーニャは数秒考えて、
「乗ります」
 一旦騎士への道を逸れ、いや、遠回りをして。
 ラーニャは魔力を得ることにした。
「まあ、きみが現在魔力成長期ではなく、何らかの原因で計測不可なのだとしたら、実験は失敗するんだけどね」
「そうなったらそうなったですよ。何年かかけて、働きながらでも騎士を目指して頑張ります」
「いや」
 フレは少し気まずそうにして、
「実験が失敗したら、魔力過多できみは死ぬ」
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