16 / 35
第16話「実験のラーニャ」
しおりを挟む
その後、三回の実験的計測と、三回、水晶を変え、計測を実行したが、どれも、『計測不可』と出るだけであった。
「ラーニャちゃん。きみを魔術学園に招待したい」
と、いうフレに、ラーニャは迷った。
「ジャークさんの特訓受けなければなりませんし……」
「うまくいけば、きみを最強の魔術師に仕立て上げることができるかもしれない」
「いや、魔術師にはなりたくないですし。騎士になりたいんです」
「果たして」
フレはラーニャを見つめる。
「果たして、きみの話を聞いて思ったのだが、訓練を始めてたった一年で、騎士になれるか? 否。断じて否。騎士志望の人間は何年もかけて、剣技を磨き、魔術を身につけ、正義の味方として、悪と戦う。だけどきみはどうだ? 数ヶ月筋肉トレーニングして、その後にやっと剣を初めて握ったという。そんなので、騎士になれるか? 再びいう。否であると」
そしてフレはラーニャの肩を掴み、顔を近づける。その迫力に、ラーニャは一歩下がった。
「騎士を舐めるな」
フレの厳しい言葉に、ラーニャはなすすべもない。なすすべというか、発する言葉がない。その通りだと、そう思ってしまったからだ。
今まで積み重ねた自分の理想や。
自分の意思や。
自分の思想が。
フレという、魔術師を育てる、いわば人間一人一人を育て上げるエキスパートの言葉によって、覆された。
さすがは育てのプロである。
ラーニャは人の言葉で変わる自分の心境や心情に新たな自分を見いだしつつ、やっと発した言葉が、
「どうすれば、騎士になれますか」
だった。
どんなに自分の気持ちが変わったところで。
強く正しく美しく。そんな騎士を志すことは、変わらなかった。
「魔力成長期の話をしよう」
「ラーニャちゃん。きみを魔術学園に招待したい」
と、いうフレに、ラーニャは迷った。
「ジャークさんの特訓受けなければなりませんし……」
「うまくいけば、きみを最強の魔術師に仕立て上げることができるかもしれない」
「いや、魔術師にはなりたくないですし。騎士になりたいんです」
「果たして」
フレはラーニャを見つめる。
「果たして、きみの話を聞いて思ったのだが、訓練を始めてたった一年で、騎士になれるか? 否。断じて否。騎士志望の人間は何年もかけて、剣技を磨き、魔術を身につけ、正義の味方として、悪と戦う。だけどきみはどうだ? 数ヶ月筋肉トレーニングして、その後にやっと剣を初めて握ったという。そんなので、騎士になれるか? 再びいう。否であると」
そしてフレはラーニャの肩を掴み、顔を近づける。その迫力に、ラーニャは一歩下がった。
「騎士を舐めるな」
フレの厳しい言葉に、ラーニャはなすすべもない。なすすべというか、発する言葉がない。その通りだと、そう思ってしまったからだ。
今まで積み重ねた自分の理想や。
自分の意思や。
自分の思想が。
フレという、魔術師を育てる、いわば人間一人一人を育て上げるエキスパートの言葉によって、覆された。
さすがは育てのプロである。
ラーニャは人の言葉で変わる自分の心境や心情に新たな自分を見いだしつつ、やっと発した言葉が、
「どうすれば、騎士になれますか」
だった。
どんなに自分の気持ちが変わったところで。
強く正しく美しく。そんな騎士を志すことは、変わらなかった。
「魔力成長期の話をしよう」
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる