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第16話「実験のラーニャ」
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その後、三回の実験的計測と、三回、水晶を変え、計測を実行したが、どれも、『計測不可』と出るだけであった。
「ラーニャちゃん。きみを魔術学園に招待したい」
と、いうフレに、ラーニャは迷った。
「ジャークさんの特訓受けなければなりませんし……」
「うまくいけば、きみを最強の魔術師に仕立て上げることができるかもしれない」
「いや、魔術師にはなりたくないですし。騎士になりたいんです」
「果たして」
フレはラーニャを見つめる。
「果たして、きみの話を聞いて思ったのだが、訓練を始めてたった一年で、騎士になれるか? 否。断じて否。騎士志望の人間は何年もかけて、剣技を磨き、魔術を身につけ、正義の味方として、悪と戦う。だけどきみはどうだ? 数ヶ月筋肉トレーニングして、その後にやっと剣を初めて握ったという。そんなので、騎士になれるか? 再びいう。否であると」
そしてフレはラーニャの肩を掴み、顔を近づける。その迫力に、ラーニャは一歩下がった。
「騎士を舐めるな」
フレの厳しい言葉に、ラーニャはなすすべもない。なすすべというか、発する言葉がない。その通りだと、そう思ってしまったからだ。
今まで積み重ねた自分の理想や。
自分の意思や。
自分の思想が。
フレという、魔術師を育てる、いわば人間一人一人を育て上げるエキスパートの言葉によって、覆された。
さすがは育てのプロである。
ラーニャは人の言葉で変わる自分の心境や心情に新たな自分を見いだしつつ、やっと発した言葉が、
「どうすれば、騎士になれますか」
だった。
どんなに自分の気持ちが変わったところで。
強く正しく美しく。そんな騎士を志すことは、変わらなかった。
「魔力成長期の話をしよう」
「ラーニャちゃん。きみを魔術学園に招待したい」
と、いうフレに、ラーニャは迷った。
「ジャークさんの特訓受けなければなりませんし……」
「うまくいけば、きみを最強の魔術師に仕立て上げることができるかもしれない」
「いや、魔術師にはなりたくないですし。騎士になりたいんです」
「果たして」
フレはラーニャを見つめる。
「果たして、きみの話を聞いて思ったのだが、訓練を始めてたった一年で、騎士になれるか? 否。断じて否。騎士志望の人間は何年もかけて、剣技を磨き、魔術を身につけ、正義の味方として、悪と戦う。だけどきみはどうだ? 数ヶ月筋肉トレーニングして、その後にやっと剣を初めて握ったという。そんなので、騎士になれるか? 再びいう。否であると」
そしてフレはラーニャの肩を掴み、顔を近づける。その迫力に、ラーニャは一歩下がった。
「騎士を舐めるな」
フレの厳しい言葉に、ラーニャはなすすべもない。なすすべというか、発する言葉がない。その通りだと、そう思ってしまったからだ。
今まで積み重ねた自分の理想や。
自分の意思や。
自分の思想が。
フレという、魔術師を育てる、いわば人間一人一人を育て上げるエキスパートの言葉によって、覆された。
さすがは育てのプロである。
ラーニャは人の言葉で変わる自分の心境や心情に新たな自分を見いだしつつ、やっと発した言葉が、
「どうすれば、騎士になれますか」
だった。
どんなに自分の気持ちが変わったところで。
強く正しく美しく。そんな騎士を志すことは、変わらなかった。
「魔力成長期の話をしよう」
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