女騎士ラーニャ

海鷂魚

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第31話「回帰のラーニャ」

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「久しぶりじゃの」
「大して日にち経ってないですけどね」
 なんて言いつつ、ジャークアパートに帰って来たラーニャ。
 帰って来たはおかしいか。
 別に住み込んではいない。
「はい、じゃあ、素振り三時間行ってこい」
 相変わらずのジャークの物言いに、少し安心するラーニャ。
 自分は大きく変わった。だが、自分の師匠は少しも変わっていない。それがなぜか、ほっと溜息をつける安心感があるのだ。
 ラーニャは外に出て、案山子を目の前に立つ。 
「よしっ。えい!」
 案山子に向かって一撃。
 一撃目。
 ジャークの固有魔法、『防護』によって頑強に作られていた案山子が、吹き飛んだ。
「うおっ」
「なんじゃ!」
 ベランダへ出てくるジャークに、ラーニャは、
「いや、何も……」
 と、リーデルに肘打ちされたこと思い出しつつ答える。
「何が『何も……』じゃ。案山子が壊れとるわい。魔術学園で何を覚えて来たんじゃ」
「魔法……」
(身体能力が魔力によって上がることがあるが……儂の防護を破壊するまでの力が……?)
 ありえない。と、ジャーク。だが、実際に目の当たりにすると、現実味は誤魔化せない。
「お前、二日三日見ないうちに随分強くなったな」
「ええ。天才になって帰って来ましたよ」
 ブイサインが少しうざいが、その通りみたいである。
「場所を移そう。いきなりじゃが、最終試験じゃ」
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