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【人間界9】
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スマートフォンに肉球で触れる。
忙しいなどと言っていたわりに、同僚は一回半程度の呼び出し音で出た。
「どうだ?」
「……たった今、回収を終えました。一冊のみですが」
「どうした? 風邪でも引いたか?」
「引きませんよ」
そうか、とあっさりと納得されたあとで、ご苦労さん、という事務的なねぎらいの声をかけられた。
「今から、もう一冊の回収に向かいます」
「頼むぞ。まだ手間取りそうか?」
「行ってみないとわかりませんが、おそらく心配ないかと」
「そうか」
「白紙の書は、どうなりました?」
こちらのやる気があっても、肝心の仕事道具がないことには、任務を果たせない。
「安心しろよ。すでに手配済みだ」
「手配済み?」
同僚の声は笑いを含んでいて、何やら嫌な予感がする。
「びっくりするぞ」
「よくわかりませんが。現場で待っていれば、よろしいのですね?」
「よろしい、よろしい」
同僚は楽しそうな雰囲気で、最後にもう一度、頼んだぞ、と言ってから通話を切った。
忙しいなどと言っていたわりに、同僚は一回半程度の呼び出し音で出た。
「どうだ?」
「……たった今、回収を終えました。一冊のみですが」
「どうした? 風邪でも引いたか?」
「引きませんよ」
そうか、とあっさりと納得されたあとで、ご苦労さん、という事務的なねぎらいの声をかけられた。
「今から、もう一冊の回収に向かいます」
「頼むぞ。まだ手間取りそうか?」
「行ってみないとわかりませんが、おそらく心配ないかと」
「そうか」
「白紙の書は、どうなりました?」
こちらのやる気があっても、肝心の仕事道具がないことには、任務を果たせない。
「安心しろよ。すでに手配済みだ」
「手配済み?」
同僚の声は笑いを含んでいて、何やら嫌な予感がする。
「びっくりするぞ」
「よくわかりませんが。現場で待っていれば、よろしいのですね?」
「よろしい、よろしい」
同僚は楽しそうな雰囲気で、最後にもう一度、頼んだぞ、と言ってから通話を切った。
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