公暁、武士になろうとした男

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公暁、武士になろうとした男

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「そなたは、将軍の男子ぞ!泣きべそをかくとは何事か!」
「あい!ととさま!」
 まだ赤子の域を出ず、よちよち歩いて尻もちをついて盛大に転んだ時も。修禅寺に向かおうとする父頼家との最後の別れの時も。
 幼い善哉は、涙をこらえて父を見つめ返した。
 そんな善哉を見て、父は満足げに頷いた。
「父君は、武勇に秀でた強いお方でした。母君の母方のおじい様、若君のひいおじい様であられる源為朝公は、剛勇無双を謳われた武士の中の武士であられたのですよ。若君も、父君やひいおじい様のようになられるのです!」
 めのとである波多野義定はことあるごとに善哉を叱咤して武芸の稽古に励ませた。
 善哉が叔父実朝の猶子となった時に、新たにめのとになった三浦義村は言った。
「これからは、叔父君が若君の御父上なのです。何事も叔父君の仰せに従い、勉学に励まれますように」
 この時、まだ数え七つだった善哉は、叔父の猶子ではあっても世継ぎにはなれない定めであることも、義村の言葉の意味も分かっていなかった。
「勉強は嫌い!ととさまやひいおじい様のような武士になるんだ!」
 善哉は、勉強などそっちのけで、来る日も来る日も、波多野義定のもとで、泥んこになり、傷だらけになって武芸の稽古に励んだ。
 仏の道に入ることが知らされた時、善哉は、本当のことを知った。
「そなたは武士にはなれぬ。生かされていることを感謝して御仏に仕える以外にそなたが生きる道はないのだ」
「御所様!」
 善哉の前で、叔父実朝の公暁の夢を打ち砕くかのような言葉に、同席していた大人たちは、それぞれ異なった心情から、慌てふためいた様子を見せた。
 執権北条義時は、善哉の父頼家との確執を公然と露わにされたことに動揺し。
 三浦義村は、真実を告げられた公暁の衝撃の大きさを憂慮し。
 波多野義定は、自らの思惑どおりに善哉を養育することができなくなることを恐れた。
「分不相応な望みを抱くことは、後々の禍根となる。こういうことは、はっきり言った方がよいのだ」
 若い叔父の瞳は、仏のように静かで澄んでいたけれど、それは間違いなく為政者のものだった。
 父頼家は、強く厳しい人だったけれど、善哉は身が震えるような恐怖を感じたことはなかった。
  叔父実朝は、父とは違う強さ、厳しさ、賢さを持った人だった。
 善哉はこの時初めて、家臣達の思惑などあらゆることを見通したうえでとっくの昔から覚悟を決めていた若い叔父の 強さを恐ろしいと思った。
 善哉は、当時の鶴岡八幡宮の別当だった定暁のもとで出家し、父が名付けてくれたその名を捨てた。父と受戒の師の一字ずつをとって新たに頼暁と言う名が授けられた。
 だが、父を思い出す唯一のよすがとなるであろうその名も、鎌倉を離れた後、捨てられてしまった。
 公暁(こうぎょう)。仏に仕えるためのその名は、屈辱以外の何物でもなかった。
 祖父頼朝の異母弟義経は、僧になることを拒否し、自ら名を決めて元服をしたという。
 平家打倒のため義経がしたように、まさか公暁が寺から出奔できようはずもないが。公暁は、密かにある決意をした。
「俺はいつか武士になる!」
 源為頼。母方の曽祖父為朝と父頼家から一字ずつ取って、公暁は自身の名をつけた。
 公暁がいた園城寺は、比叡山としょっちゅう仲違いをして武力衝突を起こしているような環境だったから。仏に仕える聖なる領域というのは建前のことであって、あたりを探せば坂東武者にも劣らぬ荒くれ者の僧兵達が大勢いた。
 公暁は、彼らの中に混じって、来る日も来る日も、仏に仕える者としての勉学などそっちのけで、人を呪い殺す方法と、武をもって人を殺す方法と、酒に、男か女を問わず色の道と、そんなものばかりに励むようになった。
 仏の顔は、否応なしに若い叔父を思い出させ、公暁の恐怖は増していくばかりだった。
 公暁は、赤子の時に顔を何度か見ただけの異母弟栄実が謀反の旗頭にされたと聞いた時、己が身の行く末と重ね合わせずにはいられなかった。
 栄実は、一度は祖母の嘆願もあってか、僧籍にはいることで許されたが、和田の残党達に二度目の旗頭とされたときは許されず、殺された。
「俺は、知らぬ間に誰かの操り人形のように旗頭にされて、生涯を終えるなどまっぴらごめんだ!」
 公暁は、父頼家のことを思った。
 北条と対立した末の非業の最期。どれほど無念だったことだろう。
それでも、父は武士らしく、襲って来た刺客をすべて返り討ちにしてこと切れたという。
 どうせ死ぬなら、せめて、父のように、武士として、自らの意思をもって華々しく戦って散っていきたい、そう思った。
 そなたは武士にはなれぬ。御仏に仕える以外にそなたが生きる道はないのだ。
 何もかもを見通したうえで語りかけてくる澄んだ瞳に向かって公暁は叫んだ。
「俺は、武士だ!仏の慈悲など施されるくらいなら、未来永劫、地獄を這いずり回ってやるわ!」
「その心意気やよし!」
 僧兵達に交じって鍛錬を施す波多野義定が、大きく頷いた。
 義定のおじ忠綱は、和田合戦の論功行賞を巡り、政所の前での戦の時、誰が先陣を切ったかで将軍実朝の御前で三浦義村と口論となった。
 他の者の証言から、忠綱が先陣を切ったのは明らかとなったが、忠綱は義村に対し、「儂の息子の後ろにいたのに、儂の姿が見えなかったということがあるものか、お主は盲目か!」と悪口をついた。
 忠綱の言葉を聞いた実朝は、「裏切り者の汚名を着ることを覚悟の上で奮闘した同士への暴言は許せぬ!」と激怒し、罪科に準じて忠綱には恩賞が与えられなかった。
 それでも、忠綱の一番乗りの功績と忠綱の息子経朝の恩賞は認められたため、忠綱はそれ以上事を荒立てることはなかった。
 だが、義定には、三浦義村は波多野の手柄を横取りし、忠綱は屈辱を与えられながら保身のために矛先を収め、将軍実朝は三浦を擁護する一方で波多野の罪科を問うたように思われてならず、それぞれに対して怒りを隠せなかった。
 和田との合戦は、将軍への謀反ではあったが、和田方の惣領である和田義盛には将軍自身への個人的な恨みはなく、和田と北条との亀裂といった側面が強かった。
 だが、将軍実朝は、執権北条義時の言うがままにあらゆる沙汰を下したわけではないのは明らかだった。
 和田との戦の発端となった泉親衡事件の処罰にしても、和田一族への当初の処罰にしても、祖父頼朝や父頼家の行って来た粛清に比べれば、叔父実朝の判断は寛大すぎたといってもいい。
 実朝は、北条と和田との間で、ぎりぎりの妥協点を見極め、最悪の事態を避けようと奮闘し、それが叶わぬと分かって覚悟を決めて北条と運命を共にすることを選んだのだ。
 公暁は、まだ鎌倉にいた頃、叔父実朝が皆の前で公暁の進退についてはっきり告げた時の義時と義村の動揺ぶりを思い出した。
 実朝は、穏やかで優しげに見えて、あらゆることを想定して見抜いた上で、手の内を見せることなく、それでいてここぞという時に相手をゆさぶる、強かな人間だった。
 実朝自身、悩み苦しむということがないわけではなかろうが、どういう心情であったとしてもそれに耐えて最後は自らの責任で判断を下してきた。和田や栄実の討伐もまたしかり。
 実朝は、合戦後、京の院から一連の出来事を叱責され、院との関係が揺らぎそうになったが、信頼を回復して再び良好な関係を保っているし、そのために、皆と協力して政に真摯に取り組んだこともあって、義時や義村ら重臣達と実朝との絆も、合戦前よりも深まったと言ってもいい。
 大船建造自体も最終的には失敗に終わったものの、宋との貿易で鎌倉を発展させようという若い将軍が示した大きな夢に、多くの御家人達が乗り気となって事は動いた。
 実朝は、多くの人を従わせるだけの人望も持ち合わせていた。北条も、三浦も、将軍実朝を認めている。
 それに対して、俺は、何を持っているというのか!
 武士として生きようと思って自ら決めた名さえ公にすることは許されず。
「お父君のことをお忘れあるな!あなた様こそ、武家の頂点に立つべきはずだったお方なのです!」
 波多野義定の叱咤に、公暁は、分かっているといった目を向けた。
 やがて、公暁の受戒の師だった定暁が亡くなり、公暁は六年ぶりに鎌倉に戻った。
「若君は、鶴岡八幡宮の別当で終わるために鎌倉に戻って来たわけではないのですよ!」
「分かっている!」
 義定の言葉に、公暁は苛ついたように答えた。
 実朝は体が弱く、実子がいない。
 そのままぽっくり逝くことがあれば、公暁が還俗してお鉢が回って来ることがないとは言えない。公暁はその時に備えて髪を伸ばし、一室に籠って実朝を呪詛し始めた。
 現代から見るととても信じられない話だが、呪詛それ自体に人を殺す力があると信じられていた時代のことである。
 仏に仕えるための勉学などろくに身についていない公暁だったが、武芸と共に、聞きかじりでその手の密法だけは自分のものとしていた。
 やがて、祖母政子が、弟の時房を供に熊野詣に出かけたとの報が入った。
「ばあさまは、熊野詣と称して密かに京に向かったそうだな。一体何のために?」
「尼御台は、院と関係の深い卿二位殿と対面したそうですが。具体的にどのような話がなされたのかは全く分かりません。ですが、何かあると考えた方がよさそうです」
 公暁の問いに対し、義定は苦い顔をして答えた。 
 しばらくして、祖母政子は、出家した女性には破格の従三位を与えられた。
 実朝は左大将に任じられ、とうとう頼朝の官位を超え、左大将の直衣始めの儀が、公暁が別当を務める鶴岡八幡宮で行われた。
 それから、間もなく、実朝は内大臣に任じられた。摂関家の出身でもない、まだ二十代の武家の棟梁が大臣職に昇るなど異例のことだった。
 それだけではなく、祖母の政子までが従二位に昇進した。
(これは、間違いなく、何かある!)
 直感で公暁はそう思った。
 将軍実朝、尼御台政子、執権北条義時らの身辺に探りを入れたところ、驚くべき極秘情報がもたらされた。
 院の皇子で御台所の姉を生母に持つ冷泉宮頼仁親王を実朝の次の後継者として鎌倉に呼び寄せ、公暁の異母妹で、実朝の御台所の猶子となっていた鞠姫と娶せる段取りが進んでいるのだという。
 神にも等しい治天の君である院から見れば、坂東の諸大夫身分に過ぎない北条義時や元は鄙の尼に過ぎない祖母政子が皇子をくれと願い出たところで院が承諾するはずもない。
 実朝は、和田との合戦後、信頼回復に奮闘し、院と実朝との関係はこれまでにないほど濃密なものとなっていたのだった。
 実朝の急激な昇進と政子の叙位は、皇子を後継者に迎えるに際しての格式を整えるためと見返り、そして、院自身の実朝への深い信頼の現れに他ならなかった。
 色好みの気のあった祖父頼朝や父頼家とは違い、色事に対して潔癖な叔父実朝は実子に恵まれないからといって、決して御台所以外の女人を近づけようとはしなかった。御台所への愛情もあったであろうが、御台所と縁戚関係にある院への政治的配慮もあったのだ。
 個人的な事情さえ、政治的交渉の材料とする若い叔父の強かさを公暁は失念していた。
 女系を通してであっても源氏だけでなく北条の血も残るのであれば、政子も義時も実朝の提案に反対する理由もない。
「だが、俺はどうなる!」
「我らの動きは、北条義時を通して御所様にすべて漏れておりました!」
 声を荒げた公暁に対し、波多野義定は苦虫を潰したような顔で答えた。
 頼家と北条氏は、やるかやられるかの関係にまで追い詰められてしまったが、義時と実朝は、時には意見が異なって揉めることはあったが、妥協のし合いが可能な関係にあった。
「公暁殿は、誰にも会おうとせず、髪を伸ばし、何やら怪しげな祈祷をしているそうにございますが。いかがなさいますか」
 そう告げた義時に対し、実朝は、「呪詛それ自体に私を殺す力があると思っているような馬鹿のことなど捨ておけ」と一蹴した。
「御所様と違って通常の者は、自分が呪詛されていると知れば、それで心が弱くなり、次第に衰弱してついに…ということもありうるのでしょうな」
 義時は苦笑しながら、やれやれと言った様子で言葉を続けた。
「源氏の男の血は争いを呼ぶようで」
 実朝も、義時の答えに呆れたように言葉を返した。
「叔父御が今更それを言うとはな。それゆえ、源氏将軍は私の代で終わらせるのだ。神聖な皇家に対し、臣下が血で汚すという最悪の事態は起こらぬであろうからな」
 実朝は、尊貴な血統による平和的な世を願っていたのかもしれない。
 だが、源氏の血を終わらせるという選択は、公暁にとって、源氏の血と誇り、父頼家への冒涜にしか思えなかった。
「俺が馬鹿だった!実朝は、呪詛されたくらいでくたばるような男ではなかったのだ!こうなったら、俺自身の手で確実に実朝をやるしかあるまい!」
「よく、決断なさいました」
 波多野義定は、そう言って公暁に対し頭を垂れた。
 波多野義定は、伊勢の領地を巡って朝廷との軋轢が生じたため、実朝の父頼朝に新恩地を没収された経緯もあり、    
もともと将軍と緊密な関係にある院が絶大な権力を持つ朝廷を快く思っていなかった。
 だが、藤原氏の出である波多野氏は、摂関家など院とはあまり関係がよくない貴族、伊勢神宮縁の神官らなどと強いつながりを持っていた。西国方面では、そのつてを利用し、義定が動けば、坂東では相模の波多野一族も動くかもしれない。
 成功する可能性は低いが、源氏の男としての誇りにかけてやるしかあるまい、公暁はそう思った。
「三浦は、どうなさいますか」
 義定の問いに対し、公暁は答えた。
「義時と実朝に我らの動きが漏れたのは、三浦がそれを伝えたからだ。三浦を事前に抱き込めば我らの動きが義時と実朝に筒抜けになるのは明らかだ。事が成就すれば、三浦も我らに従わざるをえまい。実朝と義時に、呪詛だけではすまぬことを身をもって思い知らせてやろうではないか!」
 だが、そのような機会が訪れるだろうか。そう思っていた矢先のことであった。
 実朝は、欠員が生じたために、その年の暮れにはとうとう右大臣に昇進した。
 親王推戴は目前に迫っており、そうなれば、公暁の出番はなくなる。
 鶴岡八幡宮は、別当である公暁にとって、自分の庭のようなものだった。
 叔父の左大将拝賀の際の行動の情報も分かっている。やるならば、叔父の右大臣拝賀の儀式の時。警備が手薄になる時間と場所も分かった。
「その隙をついて、俺は自らの手で実朝を殺す!」
「西国とのつなぎをつけるため、息子の義典を伊勢へ行かせます」
 公暁の決意を聞いた義定も覚悟を決めた。
 雪が多く積もる寒い日の夜だった。止むことなく降り積もる雪は、天が自分に味方をしている証だと公暁は思った。
 叔父と京からやって来た公卿たちとわずかな共しかいない静まり返った空間。ついにその時がやってきた。
突然現れた数人の僧兵姿の男達の姿を見ても、実朝は顔色一つ変えなかった。
「みなみなは、早く逃げられよ」
 実朝は、武家の棟梁として毅然とした態度を崩さないまま、恐怖で震える殿上人達を先に逃がした。
 白い頭巾をかぶった若い男が、実朝に刃を向けて攻撃してきた。実朝は、それをゆらりとした動きと共に、持っていた笏で防いだ。
 実朝は、頭脳明晰で強かな為政者であったが、身体能力はさほど高くはなく、武芸は不得手のはずではなかったか。
 公暁は、思ってもいなかった叔父の動きを目の前にして動揺した。
 実朝は、義時から、しばしば、武芸も怠らぬようにとの諫言を受けていた。そういう義時自身も、戦働きは得意な方ではない。
 北条は、どちらかといえば武勇よりも、まつりごとや文官としての能力に長けた一族だった。まつりごとの世界において、保身の術を身に着けた義時は、武術においてもそうだった。
 実朝に密かに護身の武術を仕込んだのは義時だった。北条によって育てられた実朝は、まつりごとにおいても、武芸においても、北条の影響を色濃く受けていた。
 実朝の側にいた文官の男は、一瞬の隙をつかれて僧兵に斬られた。
「義時ではなかったか!」
 叫んだ公暁に対し、闇の中で恐ろしいほどに冷めた若い叔父の言葉が返ってきた。
「こういうことも起きるやもしれぬと思い、北条の叔父御は、私の判断でここへは来させなかった。本当にやってくるとは、馬鹿の極みだ」
「馬鹿で結構だ!あんたは、我が父の敵、源氏の裏切り者だ!だから殺す!」
「私はそなたの義父でもある。朝臣である右大臣を殺せば、朝廷への謀反ともなる。親殺し、主殺し、朝敵、これほどの重罪人を、武家の棟梁として認めるものなどいない」 
 実朝は、公暁からの一撃目の攻撃で折れた笏をその場に投げ捨てて、ふうと大きく息をついて、それでも余裕の態度を崩そうとはしなかった。
 賢すぎる若い叔父に対し、やはり俺は馬鹿なのだろう、公暁はそう思った。
 だが、それなら、馬鹿の意地をみせてやろうではないか。
 公暁は、再び進撃を開始した。
 護身術による防戦一方の実朝だったが、意外に手こずらせた。
 応戦が長引いた後、公暁は、渾身の力を込めて、とうとう実朝の胸部に致命傷を与えた。
 どうっと実朝の体は崩れ落ちた。
 公暁は、実朝の首を掻き切り、それをかかげて大音声で叫んだ。
「俺は、源頼家が遺児、源為頼だ!親の仇を取った!ただいまから、我こそが大将軍なり!」
 しかし、公暁が将軍の座でいられたのは、その日のうちだけだった。
 実朝の死により、百を超える御家人達がそれを悼んで髻を切ったが、公暁に対して跪いて頭を垂れたのは波多野義定だけだった。
 やがて、公暁は、謀反人として討ち取られた。
 公暁は、ここはどこなのだろうかと思いながら、ふらふらとさまよい続けた。
「もうよいのだ、善哉。いい加減、楽になって、浄土(こちら)へおいで」
 哀れむように、父頼家は語りかけてくる。
 だが、武士となった男はそれをよしとはしない。
「いいえ、父上!俺は未来永劫、仏の邪魔をし続けると決めたのです!」
 善哉は、欲界の王、天魔となった。
「俺は、源頼家が息子、第六天魔王源為頼なり!」
 善哉の戦いは終わらない。

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