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1人目の戦士
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その時だった、テーブルがバンと叩かれた音が響いた。謎の盛り上がりに合間を縫ってきたのはエースだった。
「何をしている」
「…あ~…… すっごい…私達はじゃあ、ここで~ またね~」
そそくさと2人組は逃げるようにして去って行った。エースは隠す様子もなく大きなため息をついた。
「そちらの魔術師、少しは静めようとしてくれないか。ただでさえここは治安が悪いんだ」
「……気を付ける」
たったその一言しか返さないリヒトにエースは怪訝な表情をしたものの、まあいいと向かい合うようにイスへと座った。
「先の連中も言っていたが、俺は仲間になるつもりはない―――と言いたいところだが、事情が変わった」
事情?と返せば彼は人を捜さなければいけないと答えた。
人捜しって、と思いながらリヒトを見れば視線が自然と合った。
「その、差し支えなければ誰を探すのか教えてくれませんか?協力出来るかもしれないので…」
「その前に…1つ疑問なのだが、お前達…… 特にお前、なぜ俺に構う?」
じっと強さのある凛とした視線を俺に向けた。この顔を、俺は画面越しに何度見たことか
「そうですよね、急にすみません…エース、さんにとっては訳の分からないことかもしれないんですけど―――」
Trinity Spiritを始めたのはなんてことない、面白そうなゲームがあったし始めてみようかなと気楽に考えたものだった。
まずはキャラメイクから始まるし、どうせなら相棒のようで頼れる兄のような存在にしてみようと思って作ったのが懐かしい
俺にはないものを、とにかく詰め込んだ理想的な要素がとにかくあった。ゲームだから嫌な事があっても現実逃避出来た。
それに時々エースは俺を励ますような、ゲームだけど嬉しい言葉をくれる時もあったから尚更ハマった。
戦闘における操作性もスカッとする剣さばき、現実で溜め込んだストレスの発散にもなっていた。
何より格好良く作ったから当たり前なんだけど、いつ見ても飽きないと自画自賛してしまうくらい重症だった。
その熱量をまとまりのない状態で喋りだしたものだからエースは複雑そうに、リヒトは困惑していた。
「…え、と…… とにかく、エース…さん、が……」
「わ、分かった…もういい、まず理解が追いつかない」
やばい、エースにとっては意味不明な言葉をツラツラと並べてしまったかもしれない
すると、そんな俺を見たリヒトが助け舟を出してくれた。
「…エースにはエースの事情があるのかもしれない、急にこう言われても理解が難しいかもしれない……」
だが、とリヒトは言葉を繋げながらエースを見据えた。
「お前は…この方を、忘れてはならない」
彼の視線を貰い、やや緊張したところでしばらく沈黙になる。しばらくしてからエースは薄く息を吐いた。
「ずっと…何か抜け落ちている感覚はあった。それを考え続けても仕方ないと思っていたが、考え直す時なのかもしれないな」
初めて彼の口元が緩むような表情を見て、思わず目を見開いた。出会ってから難しい顔しか見ていなかったから驚いた。
お前達に同行する、とエースは手を差し出してきた。俺は手汗を拭ってからぐっとそれを掴み握手を交わした。
お互いに改めて名乗り、認識したところで厚いその手を見つめた。
(大きいし…やっぱりがっちりしてる…… すごい、本物だ…!)
「あの、手を」
すみません、と急いで手を離した。続けてエースはリヒトとも握手をしている様子が横目で見えた。
リヒトもエースも、手が硬く厚みがあって男らしかった。俺だってそこまで小さくないと思うんだけどな、と手の平を見つめる。
(比較対象が違うか…2人は俺みたいに平凡な生活してきてるわけじゃないし)
どちらにせよエースが同行してくれるならありがたいことこの上ない
「ところでエース、さんの」
「呼び捨てでいい。俺が捜している人の事なんだが……」
そこで彼は言葉に詰まった。分からないのかとリヒトが尋ねると、彼は手掛かりがないんだと答えた。
「しかしいつまでもこうはしていられない、と思った所でお前達と出会った感じだな」
「実は俺達もそうなんだ、とりあえず動いてみようって事でこの依頼を引き受けてるんだ」
エースに依頼書を見せ、これまでの経緯をざっくりと説明した。そしてこれから湖へ向かう事も伝えた。
「この湖はおそらくブループ湖の事だろう」
ふと思い出して俺は顔を上げた。ゲームの中でなら行ったことがある場所だったと思う
「青とか緑のグラデーションですごく綺麗な場所か…!」
「…そう、なのか?」
リヒトが不思議そうに聞いてきた。そう聞かれて俺は頭を悩ませた。誰を操作した時に行ったんだろうと唸る。
「なんだ?リヒトは行ったことがないのか?」
エースのその言葉にリヒトがぴくりと反応した。妙な雰囲気を感じたが、次に彼の表情を見た時にはいつも通りだった。
「何をしている」
「…あ~…… すっごい…私達はじゃあ、ここで~ またね~」
そそくさと2人組は逃げるようにして去って行った。エースは隠す様子もなく大きなため息をついた。
「そちらの魔術師、少しは静めようとしてくれないか。ただでさえここは治安が悪いんだ」
「……気を付ける」
たったその一言しか返さないリヒトにエースは怪訝な表情をしたものの、まあいいと向かい合うようにイスへと座った。
「先の連中も言っていたが、俺は仲間になるつもりはない―――と言いたいところだが、事情が変わった」
事情?と返せば彼は人を捜さなければいけないと答えた。
人捜しって、と思いながらリヒトを見れば視線が自然と合った。
「その、差し支えなければ誰を探すのか教えてくれませんか?協力出来るかもしれないので…」
「その前に…1つ疑問なのだが、お前達…… 特にお前、なぜ俺に構う?」
じっと強さのある凛とした視線を俺に向けた。この顔を、俺は画面越しに何度見たことか
「そうですよね、急にすみません…エース、さんにとっては訳の分からないことかもしれないんですけど―――」
Trinity Spiritを始めたのはなんてことない、面白そうなゲームがあったし始めてみようかなと気楽に考えたものだった。
まずはキャラメイクから始まるし、どうせなら相棒のようで頼れる兄のような存在にしてみようと思って作ったのが懐かしい
俺にはないものを、とにかく詰め込んだ理想的な要素がとにかくあった。ゲームだから嫌な事があっても現実逃避出来た。
それに時々エースは俺を励ますような、ゲームだけど嬉しい言葉をくれる時もあったから尚更ハマった。
戦闘における操作性もスカッとする剣さばき、現実で溜め込んだストレスの発散にもなっていた。
何より格好良く作ったから当たり前なんだけど、いつ見ても飽きないと自画自賛してしまうくらい重症だった。
その熱量をまとまりのない状態で喋りだしたものだからエースは複雑そうに、リヒトは困惑していた。
「…え、と…… とにかく、エース…さん、が……」
「わ、分かった…もういい、まず理解が追いつかない」
やばい、エースにとっては意味不明な言葉をツラツラと並べてしまったかもしれない
すると、そんな俺を見たリヒトが助け舟を出してくれた。
「…エースにはエースの事情があるのかもしれない、急にこう言われても理解が難しいかもしれない……」
だが、とリヒトは言葉を繋げながらエースを見据えた。
「お前は…この方を、忘れてはならない」
彼の視線を貰い、やや緊張したところでしばらく沈黙になる。しばらくしてからエースは薄く息を吐いた。
「ずっと…何か抜け落ちている感覚はあった。それを考え続けても仕方ないと思っていたが、考え直す時なのかもしれないな」
初めて彼の口元が緩むような表情を見て、思わず目を見開いた。出会ってから難しい顔しか見ていなかったから驚いた。
お前達に同行する、とエースは手を差し出してきた。俺は手汗を拭ってからぐっとそれを掴み握手を交わした。
お互いに改めて名乗り、認識したところで厚いその手を見つめた。
(大きいし…やっぱりがっちりしてる…… すごい、本物だ…!)
「あの、手を」
すみません、と急いで手を離した。続けてエースはリヒトとも握手をしている様子が横目で見えた。
リヒトもエースも、手が硬く厚みがあって男らしかった。俺だってそこまで小さくないと思うんだけどな、と手の平を見つめる。
(比較対象が違うか…2人は俺みたいに平凡な生活してきてるわけじゃないし)
どちらにせよエースが同行してくれるならありがたいことこの上ない
「ところでエース、さんの」
「呼び捨てでいい。俺が捜している人の事なんだが……」
そこで彼は言葉に詰まった。分からないのかとリヒトが尋ねると、彼は手掛かりがないんだと答えた。
「しかしいつまでもこうはしていられない、と思った所でお前達と出会った感じだな」
「実は俺達もそうなんだ、とりあえず動いてみようって事でこの依頼を引き受けてるんだ」
エースに依頼書を見せ、これまでの経緯をざっくりと説明した。そしてこれから湖へ向かう事も伝えた。
「この湖はおそらくブループ湖の事だろう」
ふと思い出して俺は顔を上げた。ゲームの中でなら行ったことがある場所だったと思う
「青とか緑のグラデーションですごく綺麗な場所か…!」
「…そう、なのか?」
リヒトが不思議そうに聞いてきた。そう聞かれて俺は頭を悩ませた。誰を操作した時に行ったんだろうと唸る。
「なんだ?リヒトは行ったことがないのか?」
エースのその言葉にリヒトがぴくりと反応した。妙な雰囲気を感じたが、次に彼の表情を見た時にはいつも通りだった。
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