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第二夜
二
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絶叫した拍子に、足を階段から踏み外したことが分かった。どうすることもできなくて、そのまま階段を転げ落ちる。
「う……いた……」
肩や腰の痛みが私を目覚めさせた。暗い……。
「!?ここ!!」
あの地下道だ。地下道の壁にもたれかかった状態で座っていた。鏡を見て落ちて……それで……。それでどうしてこんなところに!?頭が混乱する。
「……!」
ハッとして、物置部屋のドアにしがみついた。昨夜と同じようにドアが動かない。そんな、また……!
嫌な予感に襲われながら、必死にドアを叩いた。
「アーウィン、起きてる!?ねえ、ここを開けて!!」
全部昨夜と同じだ。ドアが開かないのも。誰の助けも来てくれないのも。泣きながら、ようやく立ち上がる。
居間へ下りる階段で落ちたはずなのに……どうしてこんなところに?ここはまた悪夢の中?それとも現実こそが夢なの?私はどこにいるの……。
地下道が続いている。闇の中、微かにちょろちょろと水の流れる音がした。じっとりとした空気は冷たく澱んでいて、沼の中にいるような息苦しさを感じる。道は地の底へ導き、下っていた。傾斜がきついところもあるし、滑らないようにしなきゃ……。
死人と赤い縄で作られた門が見えた。全く動かない姿は、時折作り物にも見える。くぐると、相変わらず何かが腐った臭いと甘い妙な臭いが漂っている。鼻を押さえていても、甘い腐臭が体に染み込んできた。
進むと中庭へのハシゴがある。錆びているから、滑らないように気をつけなきゃ。
上り終えると、目の前に開かずの扉がある。立派なドアだ。ノブがないから、開けることはできない。
中庭にある噴水から赤い水が噴き出ていた。今夜は風がなくて空気が澱んでいる。
南の扉を少し開けて、何の物音も聞こえないことを確かめてから回廊の中に入った。
「…………」
東のドアを引いてみる。
「開いてる……」
昨夜、やっぱりここでこのドアを開けたんだ。間違いない。じゃあ……。私の顔をしたお化けもやっぱり現実にいたことになる。
「…………」
確かめてみよう。もう一度お化けを見たあの部屋に行って。扉をくぐらなきゃ。
狭い廊下は直角に折れて、奥の部屋へと続いている。廊下は狭く、息苦しさを覚える。
扉をくぐると、昨夜ランプを一つ壊してしまったから部屋の中は薄暗かった。倒したついたても、そのままになっている。そのそばには、割れたオイルランプ。全て昨夜のまま。足りないのはあの『おばけ』とーー。
「死体が、ない……?」
あの人の体がない。……誰かが動かした?ひょっとしてあのおばけが?でもなんのために?
「…………」
考え込んでいると、足元に落ちている小さなものが目に入った。それは血と泥で汚れた十字架のペンダントだ。これ、あの女の人の。置いていかれちゃったのね。ここでご主人様を待っているんだ。でもあなたのご主人様はもうーー。私はそれをそっと握りしめた。
この断罪の間は、鉄格子と壁で部屋の一角が仕切られている。柵の向こうには椅子、しきりの壁を突き抜けた石机が見えた。ここから見る限り、変なものは落ちてない。
柵の中にもう一つランプが灯っているので、多少明るい。薄暗くても床に広がる血の跡ははっきり見えてしまう。これはあの人の血?それとも他の誰かの血?あの人はどうしてここにいないの?やっぱりあれは夢だった?考えれば考えるほど分からなくなる。
「う……いた……」
肩や腰の痛みが私を目覚めさせた。暗い……。
「!?ここ!!」
あの地下道だ。地下道の壁にもたれかかった状態で座っていた。鏡を見て落ちて……それで……。それでどうしてこんなところに!?頭が混乱する。
「……!」
ハッとして、物置部屋のドアにしがみついた。昨夜と同じようにドアが動かない。そんな、また……!
嫌な予感に襲われながら、必死にドアを叩いた。
「アーウィン、起きてる!?ねえ、ここを開けて!!」
全部昨夜と同じだ。ドアが開かないのも。誰の助けも来てくれないのも。泣きながら、ようやく立ち上がる。
居間へ下りる階段で落ちたはずなのに……どうしてこんなところに?ここはまた悪夢の中?それとも現実こそが夢なの?私はどこにいるの……。
地下道が続いている。闇の中、微かにちょろちょろと水の流れる音がした。じっとりとした空気は冷たく澱んでいて、沼の中にいるような息苦しさを感じる。道は地の底へ導き、下っていた。傾斜がきついところもあるし、滑らないようにしなきゃ……。
死人と赤い縄で作られた門が見えた。全く動かない姿は、時折作り物にも見える。くぐると、相変わらず何かが腐った臭いと甘い妙な臭いが漂っている。鼻を押さえていても、甘い腐臭が体に染み込んできた。
進むと中庭へのハシゴがある。錆びているから、滑らないように気をつけなきゃ。
上り終えると、目の前に開かずの扉がある。立派なドアだ。ノブがないから、開けることはできない。
中庭にある噴水から赤い水が噴き出ていた。今夜は風がなくて空気が澱んでいる。
南の扉を少し開けて、何の物音も聞こえないことを確かめてから回廊の中に入った。
「…………」
東のドアを引いてみる。
「開いてる……」
昨夜、やっぱりここでこのドアを開けたんだ。間違いない。じゃあ……。私の顔をしたお化けもやっぱり現実にいたことになる。
「…………」
確かめてみよう。もう一度お化けを見たあの部屋に行って。扉をくぐらなきゃ。
狭い廊下は直角に折れて、奥の部屋へと続いている。廊下は狭く、息苦しさを覚える。
扉をくぐると、昨夜ランプを一つ壊してしまったから部屋の中は薄暗かった。倒したついたても、そのままになっている。そのそばには、割れたオイルランプ。全て昨夜のまま。足りないのはあの『おばけ』とーー。
「死体が、ない……?」
あの人の体がない。……誰かが動かした?ひょっとしてあのおばけが?でもなんのために?
「…………」
考え込んでいると、足元に落ちている小さなものが目に入った。それは血と泥で汚れた十字架のペンダントだ。これ、あの女の人の。置いていかれちゃったのね。ここでご主人様を待っているんだ。でもあなたのご主人様はもうーー。私はそれをそっと握りしめた。
この断罪の間は、鉄格子と壁で部屋の一角が仕切られている。柵の向こうには椅子、しきりの壁を突き抜けた石机が見えた。ここから見る限り、変なものは落ちてない。
柵の中にもう一つランプが灯っているので、多少明るい。薄暗くても床に広がる血の跡ははっきり見えてしまう。これはあの人の血?それとも他の誰かの血?あの人はどうしてここにいないの?やっぱりあれは夢だった?考えれば考えるほど分からなくなる。
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